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魔王の導き  作者: 未来 昇
魔人編
13/13

第10話 魔人

季節はあっという間に巡る。

特に病院てのは学校よりも実感しやすいものだと感じた。

はじめましてとして会った人もいつか退院していった。

ここ数ヶ月でいろんな人と会って仲良くなって、お別れした。

そして今日、俺も退院した。

魔王の力がどうたらこうたらで、奇跡的に完治したらしい。

手の痺れは若干あるが。

え?あの子とはどうなったか?

彼女はまだ車椅子だけど、リハビリ頑張って歩けるようになるって嬉しそうに言ってた。

こっちも奇跡だって。

魔王お前…。て干渉に浸るのはここまでにして…、

「さっきから誰に言ってるんだ?」

「お前さー…」






魔王が真の中に取り込まれてから約2年が経過しようとしていた。


真は現在熱を出している。

「ゴホッ、ゴホッ」

リビングで真の咳が響く。

「大丈夫?兄さん」

「あー、大丈夫、大丈夫だから咲希行ってこい」

口ではそう言っているが、とても辛そうだ。

「でも、今日は家に誰もいないし…」

「大丈夫、留守は任せとけって話だ」

「そこまで言うんなら…行ってくるよ?」

時計を確認すると咲希はリュックを背負った。

「おうよ」

「行ってきます」

「いってらー」

ガチャッと戸が閉まったのを耳で聞き、床に倒れた。

「さすがにキツイな…」




「真、少しいいか?」

目を開けると、果てのない黒い空間の中にいた。あとなぜか全裸で、下半身がちょうど黒い霧で隠されてる。

「ここは?」

「俺の世界、まぁカッコつけた言い方をするならそうだな…精神世界(ロスト・ワールド)て名前にでもしとくか」

「適当だな。それで?」


「魔人が来る」

魔人?

「魔人って?あの髪の毛が金髪になる主人公が登場する漫画のピンクのやつ?」

「それはなんだ?」

あぁ知らないか。結構有名だと思うけど。

「チョコとかお菓子に変えるやつだよ」

「知らんな。まぁ大体合ってるかもしれんが」

「あってんの?」

「じゃあ合ってないと言っておこう」

どっちだよ。

「それでその魔人が?」


「その前にまず、魔人と魔神の違いは知ってるか?」

真の視界に人と神の文字が浮かび上がる。

「違いとかあるのか?」

「あぁ、まず魔人は基本魔界にいる魔族の中でも人型のことを言う」

はへぇー。魔界って本当にあるのか。

「それで?」

「魔神はまぁ似て非なるものだが、ざっくりいえば上位互換…ここに来れば災害をもたらすような存在だ」

そんなに違いがあるのか。


「じゃあ神の方が来たらやばいじゃん!」

「そうだな。まず俺たちには勝てない」

「魔王の力でも?」

「確かに我は強い。強いがそれは相手が人間の場合だ。いくら我でも魔神と戦うのは身の程知らずもいいとこだ」

「でも今回来るのは人の方なんだろ?」

「そうだな」

「なら安心じゃん」

「そうもいかん」

魔王の顔にしわが寄る。

少し話が脱線するが、魔王の顔は前に出てる。

甲冑も初めて会った時よりいくらかかっこよくなっており、孤高の騎士のような印象がある。


「なんで?」

何も考えずただ真っ直ぐに聞いた。

「今まで戦ってきたのは力があるとはいえ、人間だ。それが魔人…つまり俺にもダメージが入る」


その言葉で気づいた。たしかに今まで魔王が俺の身体を使って、なにかしてたことが何回かある。

その時は俺が筋肉痛だけで、魔王にはなにも起こっていなかった。


「てことは…」

「最悪、俺が死ぬことがある。それは真、お前の死を意味する」

「いやそれはいくら何でもいいすぎだろ?」

「よく考えてみろ。俺が死んだ状況でお前が生きてると思えるか?」

「それは…」

無理だ。魔王が死んだって状況がまず分からないが、仮に死んだとして俺が無事っていう保証はどこにもないもんな。

ん?でも待てよ


「俺の肉体を使うことでお前は動けるよな」

「そうだな」

「じゃあどうやって相手はお前に攻撃してくるんだ?」

「なるほど、良い質問だ。ではそこらへんも説明しよう」

魔王が言うとホワイトボードのようなものが現れた。

キュッキュと音を立てひらがなで真ん中にしんと書かれた棒人間をかく。

「これがお前だ」

「おう」

「そして…」

ちびキャラのような魔王の絵を棒人間のしんの横にかく。

「これが我だ」

絵の差がすごいな。

「では憑依した状態だったしよう」

憑依と書く。

「それで?」

空いたスペースに絵のタッチが今までと明らかに違う上手い絵が浮かび上がる。

「どうやってやったんだ?」

「それは置いといて…この状態で攻撃してきたとしよう」

矢印を棒人間へと引いていく。

「今までは身体、つまり真の肉体にだけ攻撃が当たっている」

「そうだな」

棒人間の線のところにギザギザを加える。

「だが俺の肉体にまでは当たっていない」

「ああ」

上手い絵から矢印を伸ばし、棒人間の身体を貫く。

「だが魔人からの攻撃は肉体を貫き、その真髄—つまり我にまで攻撃が当たる」


「精神攻撃とは違うのか?」

「精神攻撃は、肉体を保持する者—つまりお前の魂が影響されるから我には効かん」

「じゃあなんで魔人からの攻撃は効くんだ?」

「同じ魔族だからと言いたいとこだが、それじゃ納得いかないだろ?そうだな…やつらはただの攻撃とは違い魔力を使い攻撃してくる」

「ああ」

「その魔力は外部だけでなく一心同体となってる俺の体にも届くわけだ」

「でも、俺に憑依…いや…ってことは魔力は使用者自体に攻撃しているわけか?」

「そうゆうことだ。だから人間が攻撃したものは形ある肉体にだけ攻撃し、魔力が使用されたものは我にもダメージが入る」


なんとなく分かったような、分からないような。

「じゃあこれからは俺に2倍のダメージが入るのか?」

「それは違うな。あくまで使用者にダメージが入るだけ…つまり我が怪我をした状態の時、使用者を真に返さなければお前は無傷だ」

俺の体次第ってわけなのか。

「大体分かったと思う」

「そうか」


「んで、いつになったら精神世界ここから出れんだ?」

「そう焦るな。ここは時間の流れが現世の10分の1の速さで進んでいる」

まじかよ便利だな。

「まだ話すことがあるのか?」

「一ノ瀬華恋についてだ…」

一ノ瀬…忘れるわけない。俺はアイツのせいで…。

「一ノ瀬についてなにか分かったのか?」

「あぁ、奴の後ろにはなにかもっと強大なものが隠されている」

「ん、?ん?」

強大なもの?

「なんでそんなの分かったんだよ」

「貴様が入院してから、行動範囲が拡大したわけだ」

ほほう?俺が入院してるあいだに散歩してたのか。

「なに、貴様と違ってうつつを抜かしていたわけではない」

「おい、まるで俺があの子に好意を持ってるみたいじゃないか!」

「違うのか?」

いや、違うとは言い切れないけど。


「それで?」

「一ノ瀬を商店街でたまたま見つけ後を追っていたんだが…」

ゴクリと唾を飲み込む。

「なんと生着替えを拝めてな。ガハハ」

おう…そうか、そうかつまり君は…

「このヤロウ!!!」

右の拳を今までで一番の速さで、魔王の眉間にきめるが、魔王は無傷だった。当たった箇所から煙は出ているが。


「んで終わりか?」

「いやーそれはそれは素晴らしい物を見させてもらった」

なんだコイツ、ただの変態じゃないか。

「もう帰るぞ」

「待て待て、色を聞きたくないか?」

!?

俺も男だ。聞きたくないわけないだろ!って言いたいところだが、真面目な話の最中にするもんじゃないだろ。

「…今はいい」

「聞こえないな」

「今はいい!!」

「コホン、仕方ないなそんなに聞きたいのか」

「いや、だから…」

深淵を覗く者(アビス・ゲイザー)…」

「アビスゲイザー?なんだその痛い名前」

「アビスがいた」

「もしかしてそいつ魔人なのか?」

「そうだ」

さっきまでふざけてたじゃないか。なんだよアビスゲイザーて、言ってるこっちが恥ずかしいわ。


「一ノ瀬の方は嘘なのか?」

「それは…まぁ」

おい言えよ、気になるだろ。

「アビスてのはなんなんだ?」

「それはまた次の機会にしよう。そろそろ体が起き上がる」

「おい、まて…」




ふっと体が軽くなったと思うと冷たい床の上にいた。

「…つめた」

起き上がろうとするが、頭痛と熱でまた倒れる。

「魔王?」

名前を呼ぶが、返事がない。

どこに行ったんだ?あいつ、俺を置いて

「ゴホッ、ゴホッ」

くそ…お前のせいで悶々としてるんだよ。

なんとか冷蔵庫を開け、水を飲む。

やっぱ水は美味いな。



「たっだいまー」

誰だこの声?耳障りな声を聞きながら再び眠りについた。

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