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魔王の導き  作者: 未来 昇
中学生編
11/13

第7話 後編 彼女の思考

場面は戻り華恋が転校したところまで遡る。


今日は転校初日だからしくじらないようにしないと。第一印象が大事だからね!

よし!

トイレの個室から出て、鏡の前で立ち止まる。

華恋大丈夫?わたしが変わろうか?

いや、大丈夫。今日はいけるとこまで頑張りたい。

そう?分かった。




「…一ノ瀬中へ」


ほら呼ばれてるよ華恋!

ん、あごめんそれじゃ景気良く行ってきます!

ダメそうだこりゃ。


「はい」


教室へゆっくりと入っていく。

緊張で歩き方が変になってる。話しかけたら足を躓いて転びそうだ。



「すぅーはぁー…はじめまして私の名前は一ノ瀬華恋です。この春からここに来て、今日から通うことになりました。よろしくお願いします」


ペコリとつむじが見えるぐらい低い礼を披露した。

頭下げすぎたかな?

(大丈夫でしょ。たぶん…)


「と言うわけで今日から2年生の一員として共に学ぶから仲良くするように」

「「…」」

「に!」

「「はーい」」

「一ノ瀬は空いてる席に座ってくれ」

「はい」


空いていた席に着くとすぐに周りの人に話しかけられたけど、楽しい。

前の学校じゃこんな話すことなかったから。





放課後、華恋と玲那は手芸部の部室に向かっていた。


「ねぇかれんちゃんって、部活とか決めた?」

「いや私は…」

(どうしたの?華恋)

何か嫌な気配がしたんだけど…気のせいかな。


パンッ!という音とともに玲那が「わ!」と声を発した。

「わ!」

と反射的に出た声とともに華恋は尻もちをついた。


おっと、何かとは言わないが見えてるんじゃないか。

「ふーん…。って大丈夫!?」

「いてて、すいませんありがとうございます」

玲那がさしだした手を握り立たせてもらう。


「ごめんね。かれんちゃん急に黙り込んじゃうから」

「いえ、私も急に止めてしまってすいません」




「ほら、あそこ」

玲那が指さした先に目的の場所、部室があった。

「道案内ありがとうございます」

「いや良いよ、それじゃはいろー」


玲那が部室のドアを開け、華恋を前に誘導する。

「さきちゃんいるー?」


部室には3人ほどいた。

刺繍をしている人、絵を書いている人、居眠りをしている人といったかんじでまとまりがない。

その中の一人、手縫いをしていた人が手を止めこちらに向いてきた。


「部長、新入部員が入りましたよ」

「ナイスさきちゃん」


彼女は三つ編みの髪を褒めてほしそうにしている。

それに気づいたのか分からないが玲那が頭をなでなでしている。


「えっと…」

「あっ!ほら部長しっかりしてください」


玲那の撫でる手を制止して彼女がこちらに視線を向けてきた。


「あ、そうだった。彼女が一ノ瀬華恋ちゃんでこっちがくれない咲希さきちゃん。2人とも好きな呼び方で呼んでいいよ」

「ではさきさん。今朝はありがとうごさいました」


ペコリと丁寧な礼を見せた。

つむじが見えており、会釈、敬礼、最敬礼のどれにも当てはまらないものだが彼女の気持ちが伝わってくる。


「あー…そうゆうことならどういたしまして。恐らくですが、私の方が1個下だと思います」


咲季は素直に礼に応じたが、気まずそうにした。


「えっ…あっ…」


制服の名前の刺繍の色が1個下だというのをたしかにあらわしていた。


「話が終わった感じなので…かれんちゃん手芸部入る?」

「手芸部はいいです。私やったこととかないので」

「えー意外、もしかしてアウトドア?」

「えっと…それもたぶん違うかな?」

「そっか、私はこれから部活だけどそれじゃこのまま帰る?」

「そうします。では今日はありがとうございました」

「うん、じゃねー」

「さよならです」

「はい」

ガラガラと音を立て扉が閉まった。



ふぅー、疲れた。

(華恋、大丈夫だった?)

大丈夫だよ、きっと。きっとね…

華恋は頭を押さえながら壁つたいで廊下を歩いている。

(ホントに無理しないでよ?)

大丈夫だっ、…。

勢いよく床に倒れた。

(仕方ないか)

倒れてから数秒後、何事もなく立ち上がり校門まで歩いて車に乗った。

「ここもダメかな」

車に揺らされながら華恋はそう呟いた。

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