実績解放
どうも
世界は残酷だ。産まれた時に凡人と天才を分け、世界を二分している。凡人に選ばれた人間は、陽の当たらないカスみたいな人生を余生が終わるまで、永遠に耐えなければならない。逆に天才に選ばれた人間は、陽の当たる悠々自適な生活を送りまさに天国の様で生きていく。
例えばだ。今車道を走っている高級車は天才側に選ばれた人間。一方でありふれた車に乗っているのは選ばれなかった凡人側。世界はこうやって、身近なところに貧富の差が現れてる。でも、俺たちはそれを知らないふりをして日々を享受する。
何故、何故なんだろうか。同じ人間、同じ種族、同じ知能、そういう風に人を作れば争いも諍いも全て消えると言うのに。神はそういったことを考えずに人を作ったのだろうか。自分の暇を潰す娯楽として。
だとしたら、俺は神を許せないことだろう。命を創造し、人生ゲームのコマのように嘲笑い好きなように生きさせない。そんな選択肢を否応にも与えてくる神など、到底許せるはずもない。
そして、俺に与えらた選択肢はもちろん凡人側。陽の当たらない人生を否応なく与えられた人間。平凡にそれとなく過ごす事が俺の全てだった。生きる意味もなく、目標もない。親への恩返しなんてものも考えたことがない。
俺は仕事終わり、ダラっと家への帰路についていた。月明かりがそろそろ太陽に変わりそうな時間帯。これが俺のいつも仕事から帰る時間だった。俺は零細企業に勤めていた。まともな勉強なんてしてこなかったからやっとこさで就職できた場所は、ブラックもブラック企業。とことん俺は底辺の土を舐めるに相応しい人間だった。
仕事が終わって、また仕事が始まるまでのちょっとの自由時間。職場にいると気が滅入る。それに風呂とか着替えとかもしないと、体臭がきつくなって人に嫌われてしまう。今更、そんな些細なことを気にするのも馬鹿らしいと思える。だが、人としての最低限のことは無くしてはいけない気がしていた。
俺は疲れた体を引きづりながら信号を待っていた。ぼーっと、空に浮かぶ淡くなった空と薄くなった月を見ていた。
そのせいだったのか、俺は交差点に猛スピードで侵入してくるトラックに気付けなかった。いや、きっと気付いても俺は避けなかった。
交差点に侵入してきたトラックと電柱の間に俺は挟まった。ミシミシと骨の軋む音と肉のちぎれる音。不思議と痛みは感じなかった。血がダラダラと垂れて、腕と足、すべての四肢の感覚が死んでいくのを感じる。朝方のせいで人通りもない。死にゆく俺の代わりに救急車を呼んでくれる人などいない。
俺は悟った。このまま死ぬんだと。そもそもトラックに突っ込まれて生きている人間など聞いたことがない。だから、仮に誰かが救急車を呼んだとしても俺の生きる見込みは限りなくゼロに近い。ボケやていく視界は人生の幕が終わることを鮮明にさせる。
なんともいえない人生だったな。社会の歯車として生きて、ゴミみたいな親の元に産まれて、なんの目標もなく死んで。結婚すらも出来なくて。やりたいことすらできない人生だった。俺の親は何かあれば奇声を上げて、八つ当たりのように物を投げてきて。本当に全てが苦しかった。あぁ、でも。もし、次があるなら全てをやり直してみたい。
『実績解除 生への渇望』
こうして、俺の一度目の人生は幕を閉じた。