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第1話 日本語が分からない若者たち

 結婚前のことだから二十年以上前の話である。

 新年、神社でおみくじを引いて読んでいたら、若者たちの会話が聞こえてきた。

「ねえ、これさあ、日本語で書いて欲しいよね、読めないよ」

 衝撃が走った。

 彼らは、おみくじが読めないのである。彼らにとっておみくじは日本語ではないのだ。思わず、じろじろと観察してしまった。十代後半の男女だった。

 おみくじは場所によっては確かに、和歌だけしか書いておらず、それだと難解かもしれない。だけど、そこのおみくじはそんなことはなかった。それに、そもそも、和歌は日本語であり、外国語ではない。


 またあるとき、ぼんやりテレビを見ていたら、カラオケの曲は最近横文字が多いですね、どうですか? という内容を質問された若者が、「英語の方がいいよね! かっこいいし、読みやすい。日本語で書いてあると、よく読めなくてぇ」と答えていた。

 お前は日本人か!?

 英語の方がいいとか、頭おかしいんじゃないのか⁉

 と、そのときも衝撃が走った。


 さて、数年前のことである。

 インタビュアーに「あたしたち、動画世代だから、文章読めなくて」と答えている女の子がいた。

 何だと⁉

 お前は日本人か⁉ てゆうか、テレビで堂々と「文章読めなくて」とかよく言えるよな。ありえなくない?

 と、深い絶望感に打ちひしがれたのである。


 いずれもあまりにも印象的な出来事で、忘れることは出来ない。

 なぜ、こんなことが起こるのだろう?


 小学校から英語教育が始まった。

 わたしは、ほとんど意味がないと思って、その様子を眺めていた。次男(現在中3)の年から始まったと思う。

 英語の習い事をさせるおうちは多い。

「うちの子、家では英語を話しているの!」という話を聞いたことがある。わたしは「でも、日本人ですよね? 日本語は?」とその度に心の中で思っていた。

 わたしは、英語よりも日本語が出来る子になって欲しかったのである。

 現在次男は英語で苦しんでいる。

 でもきっと、小学校のころからやっていたって、きっと苦手なままだったよ、と思う。語学は、意識的に自分でやらないと身につかない。それは別に中学生でもいいのではないかしら?


 どうしてこんなに、英語英語の世の中なんだろう?

 英語は確かに世界公用語のように使われている。

 だけど、今は翻訳と言う便利なツールがあるし、そこまで英語英語って言わなくてもいいんじゃない? 

 英語コンプレックスの裏には、やはり日本は敗戦国なんだ、というのを強く感じてしまう。

 英語はもちろん勉強した方がよろしい。

 だけど、英語よりまずは日本語って思う。


 自分の子どもが得意な言語が、日本語より英語でいいのだろうか?

 わたしは嫌だ。

 おみくじは読めるようになって欲しいし、日本語の文章が読める人間であって欲しい。


 だって、日本人なのだから。



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