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【完結】星の海、月の船  作者: BIRD
第8章:アルビレオの日常

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第77話:艦内カフェ

セラフィと侍女たちが移民団に加わってから、艦内に喫茶スペースが出来たよ。

これまでは食堂でドリンクとお菓子を食べる程度だったけど、農園の延長で花園が出来て、そこにテーブルと椅子を置いて、花を眺めながら飲み物やお菓子を味わえるようになった。

年齢問わず女性陣に大人気となった花園カフェは、朝食と昼食の間や、昼食と夕食の間にティータイムを楽しむ人で毎日賑やかだ。

色とりどりの花々を眺めながらのティータイムが、まさか宇宙船の中で楽しめるとは。

太陽系を出た時には想像もしなかったよ。


 宇宙船アルビレオ号

 艦長トオヤ・ユージアライトの日記より




種類豊富な農作物が集められた農園エリア。

そこに隣接する花園から、今日も楽しそうな声が聞こえる。

様々な惑星の花が咲く庭園は、まるで植物園のよう。

メイド服を着た2人の女性型アンドロイドたちが、上品で洗練された所作でお茶を淹れている。

今日の茶葉は艦内農園で栽培している地球系ハーブのレモングラスとカモミールのブレンドティーで、柑橘類のような味とリンゴに似た味がほどよく混ざり合っている。

レモングラスには消化促進や胃痛緩和効果が、カモミールには消炎作用や血液循環を促す作用があり、健康茶としても飲まれていた。


「まさか宇宙船の中で、こんな服を着てお茶を飲むとは思わなかったわ」

「アルビレオはあちこち宇宙船っぽくないところがあるけどね」

「乗組員がドレスを着るなんて、コロニーじや考えつかないわ」


そんな会話を交わすのは、貴族の令嬢かと思うようなドレスを着せられた女性乗組員たち。

着ているドレスは、メイド型アンドロイドたちが仕立てた物。

アルビレオ艦内の花園カフェでは、優雅なティータイムを楽しんでもらおうと、ドレスの着付けサービスが始まった。


「お嬢様方、ダンスレッスンなども提供出来ますが、いかがですか?」

「それ、いいかも!」

「うふふ、彼も巻き込んじゃおう」


メイドの提案に、期待に目を輝かせる女性陣。

彼女たちはすぐに、付き合っている男性乗組員を巻き込もうと企む。

その後、花園カフェで始まるダンスレッスンに、何人かの男性陣が引っ張り込まれる事となった。


「クッキーのおかわりいかがですか?」

「ありがとう! そうだ、アイオもダンスレッスンしない?」

「アイオはドレスが似合いそうだから、女性パートがいいかも」

「トオヤもダンスレッスンに巻き込んだら?」

「楽しそうな計画ですね」


おかわりのスイーツを届けに来たアイオを見た女性乗組員たちから、ダンスレッスンの誘いからドレスを着せてみよう計画まで上がる。

更には、トオヤも巻き込もう計画まで出てきた。


計画は実行され、ドレス姿のアイオにおねだりされたスーツ姿のトオヤが、花園でダンスレッスンを受ける様子が見られるようになった。

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