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【完結】星の海、月の船  作者: BIRD
第6章:作られた生命

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第57話:セラフィ

記憶領域に閉じ込められた【アイオ】の救出のため、僕はセラフィを眠らせ、アルビレオの思念抽出プログラムを流し込んだ。

フィリウス殿下が興味津々の様子だったので、眠っているセラフィを抱っこさせてあげた。

自分のために作らせた子に拒否されるなんて気の毒だから、セラフィが考えを改めてくれるといいんだけど。

今はアイオの影響を受けているだけかもしれないから、それを抜き取ってどう変わるかを見てみよう。


 宇宙船アルビレオ号

 艦長トオヤ・ユージアライトの日記より




思念抽出プログラムによってセラフィの記憶領域から救い出された【アイオ】は、アルビレオ艦内医務室のベッドに横たえられた身体に戻された。


「おかあさん!」

「かあちゃん!」

「よかったぁ!」


医務室には子供たちが大集合していて、アイオが目を開けた途端に大騒ぎになった。

子供たちに抱きつかれてもみくちゃにされながら、アイオは嬉しそうに微笑む。

アルビレオの乗組員は、大人も子供もアイオを1人の人間として扱っている。

アイオは、それが嬉しかった。



一方、アルマ国の王宮では、セラフィがアイオからコピーしていた全データの消去が行われていた。

セラフィの脳はアイオが記憶領域に入る以前の状態に初期化され、自我だけが残されている。


「これでアイオや僕に関するデータは全て消えました。所有者データも無い初期状態です」

「アエテルヌムの英知に感謝します。ではしばし、セラフィと2人きりにさせてください」


フィリウスの要望で、セラフィは彼の私室へ運ばれる。

もしかしたら初期化状態なら最初に見た者を所有者として認識するかもしれない、というのがフィリウスの希望的観測。

それはジュリアやトオヤも同感で、セラフィが目覚めるまでフィリウスと2人きりにして隣室に待機した。


「上手くいくかしら……?」

「アルビレオの計算では確率70%くらいです」


侍女が淹れてくれたお茶を飲みつつ、ジュリアとトオヤはそんな話をしている。

隣の部屋では、フィリウスがベッドに寝かせたセラフィに寄り添っていた。


「この星での所有者登録は、本来どういう風にするんですか?」

「通常は人格形成プログラムをインストールした後、所有者になる人が設定した場所に触れながら名前を呼んで起動します」


ジュリアが言う方法の後半部分を、今まさにフィリウスが試している真っ最中だった。

人格形成プログラムが入っていないセラフィには、起動の設定はされていない。

それでフィリウスは、頭の先から足の先まで全身に触れながら、セラフィの名を呼んでみている。


「セラフィ、起きなさい」


眠り姫を起こすように接吻も試したけれど、少女が目覚める事は無かった。

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