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【完結】星の海、月の船  作者: BIRD
第6章:作られた生命

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第54話:プログラム拒絶

ジュリア博士に案内してもらって見学した研究室には、納品準備中の人工生命体がいた。

肉体の容姿はお客の好みに合わせるそうで、【殿下】が注文した人工生命体は美しい少女の姿をしている。

手術台に寝かされた少女は目を閉じていて、意識は無いみたいだ。

衣服はまだ着せられてなくて、ブランケットがかけてある。

納品が遅延している原因は、この工場ではイレギュラーな事だった。


 宇宙船アルビレオ号

 艦長トオヤ・ユージアライトの日記より




甲高いエラー音が鳴る。

繰り返す不具合に、作業する人々は疲れ果てていた。


「……なんでだよ……なんで人格形成プログラムが拒否されるんだ……」


疲労困憊で髪はボサボサ、目の下にクマが出来ているスタッフが溜息混じりに言う。

この工場で作られる人工生命体には、顧客からのオーダーに沿った能力や性格が与えられる。

人格形成プログラムは、所有者好みの疑似人格を作り上げるものだった。


「アエテルヌムの方が力を貸してくれる事になったわ」

「本当ですか?!」

「ありがたい!」


研究室に入ったジュリアが告げると、スタッフの表情が一斉に明るくなる。

案内されて入ったトオヤたちの制服を見て、アルビレオ号の艦長と乗組員一行だとすぐ分った様子。


「不具合はどんな状況ですか?」

「教育系のプログラムは全てインストール完了しましたが、人格形成プログラムをインストールしようとするとエラーが出て受け付けないのです」


アイオの問いに、ボサボサ髪のくたびれた男が答える。

人格形成プログラムのインストールが出来なければ、オーナー登録も出来ず意識を保つ事も出来なかった。


「この子の脳にアクセスしてみますね。トオヤ、ボクの身体を支えてもらえますか?」

「OK」


アイオは手術台の傍らに立ち、片手を手術台の上の少女に差し伸べる。

トオヤはアイオの胴に両腕を回して、抱き締める体勢で支えた。

少女の額にアイオの手が触れた時から、脳へのアクセスが始まる。

アクセス中のアイオは自分の身体を動かせなくなるので、倒れたり額から手が離れたりしないようにトオヤが支えた。



まだ身体を動かす疑似人格が無い、人工生命体の少女。

その脳の記憶領域は空白で何も無い……筈だった。


(え?!)


記憶領域へ入り込んで異常が無いか調べていた【アイオ】は、突然何かに引っ張られた。

同時に、トオヤが支えていたアイオの身体が、大きく仰け反る。


「アイオ? どうした?!」


驚いたトオヤが呼びかけても、反応は無い。

仰け反った時に少女の額から手が離れ、アイオの身体は完全脱力状態となった。


「……お、おかあさん……」

「……どうしたの?」


見学していたチアルムとカールが、不安そうに声をかける。

トオヤはアイオを仰向けにして呼吸で胸が上下しているか、口元に頬を近付けて息がかかるかを確認した。


「呼吸はしてる。生きてるよ」


トオヤが告げると、子供たちは少しホッとした様子になった。


「……え?!」

「お、おい……どうなってるんだ?!」


騒ぐ声がして、トオヤは手術台の方を振り返る。

そこに寝ていた少女が起き上がり、こちらを見ている姿が視界に入った。

アイオと同じサラサラしたストレートの長髪は白金色、開かれた瞳は緑色、美しく作られた少女は手術台から降りて、トオヤに歩み寄る。


「……そんな……まだプログラムを入れる前なのに……」


ジュリア博士も呆然として、トオヤに近付いていく少女を見つめていた。

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