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【完結】星の海、月の船  作者: BIRD
第5章:獣の惑星

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第44話:猫耳族の子供たち

僕とアイオたちはマヤに案内してもらいながら、山猫団のアジトへ差し入れを持って行った。

アジトにいる子供は4人、まだ未発症の猫耳族の最年長は、14歳の少女ニア。

マヤはその次の13歳、あとは12歳の双子男女ニイとミイ、最年少は11歳の女の子ナオだ。

10年前、変異ウイルスが流行り始めた年に当時の大人たちは次々に発症して全滅したらしい。

ウイルスは変異を続け、最初は20歳以上で発症していたけれど、次第に発症年齢が下がってきているそうで、今では15歳がキャリアの限界になっている。

サイキック化したウイルス消去プログラムで、1日でも早く治療した方がいいと思う。


 宇宙船アルビレオ号

 艦長トオヤ・ユージアライトの日記より




「ただいま!」

「マヤ!」


アイオから離れて先に立ち、マヤが木戸を開けると、猫耳シッポが付いた女の子が駆け寄ってきた。

瞳は同じ金色だが、加味耳やシッポの色はマヤとは違う。

猫耳族のカラーリングは複数あるらしく、マヤは黒だが女の子の猫耳は黒と茶が入り混じっていた。


「ニアが……!」


言いかけて、猫耳少女はマヤの背後にいるトオヤたちに気付いてビクッと怯える。


「大丈夫だよナオ、この人たちは味方だから」

「本当?」


マヤに言われて、ナオと呼ばれた少女は恐る恐るトオヤたちを見回す。

長身の青年トオヤ以外は、マヤくらいの年頃の子供たちに見えるので、少し警戒が解け始めた。


「本当さ。……で、ニアがどうしたって?」

「来て!」


マヤが頭を撫でて聞くと、ナオはその手を掴んで引っ張って行く。

何かあったなと察して、移民団の子供たちとアイオ、トオヤが後に続いた。

小屋の奥、ベッドの上に横たわった少女がいる。

銀灰色の髪、猫耳とシッポは銀灰色と黒の縞模様、長い髪で整った容姿の女の子。

少女は腹部に痛みがあるのか、お腹を押さえて身体を丸めながら息を乱していた。


「ニア!」

「発症したんですね」


慌てるマヤの後ろから、冷静に容態を観察するアイオが歩み寄る。


「大丈夫、まだ間に合います」

「助かるの?!」


アイオの言葉に、マヤとナオが勢いよく振り返った。

安心させるため微笑んで頷くと、アイオはサイキック化したウイルス消去プログラムを起動する。


「ニア、死なない?」

「死なせたりしませんよ」


不安そうに聞くナオに、アイオは穏やかながら強く言い切る。

アイオがニアの額に手を当てると、そこからウイルス消去プログラムが体内へ流れ込んでゆく。

激痛に呻いていた少女の体内からウイルスが消え、症状が和らいだのか呼吸が落ち着き始めた。


「あなたは……誰……?」


朦朧としながら、ニアという少女がアイオに問いかける。

開かれた瞳は、マスカットのような薄い緑色。

苦しんでいる時は伏せていた灰色の猫耳が、ピクッと動いた後にゆっくりと立ち耳に変わった。


「通りすがりの、世話焼き異星人です」


ニアの頭を優しく撫でて、アイオは微笑んだ。

背後から様子を見ているトオヤと子供たちも、ホッとしたように笑みを見せる。


「もう大丈夫ですよ。あとは眠って回復しましょうね」


アイオがそう言って撫で続ける。

それが心地よいのか、ニアは嬉しそうに目を細めると眠りに落ちていった。


「ナオ、こっちに来て」


ニアの変化をじっと見守るナオをアイオが呼ぶと、少女は猫耳をピンッと立てて隣に来た。

苦しんでいた仲間が安らいだ顔で寝息をたているので、ナオはアイオを信頼したようだった。


「ナオの中にあるウイルスも消しておきますね」

「身体の中の悪いもの、なくなるの?」

「なくなりますよ。そうしたら、ナオも病気になりません」

「わかった」


アイオは、納得したナオの額に手を当てて、そちらにもウイルス消去プログラムを流し込む。

これでもうマヤもニアもナオも、再感染しない限りは発症の危険は無い。

アルビレオが分析した結果、このウイルスは猫耳族の間でのみ感染拡大するもので、残り2人のウイルスを消去すれば、この星から感染者はいなくなる。

皮肉にも猫耳族が残り5人に減少した事で、死のウイルスは根絶に向かってゆく。


「あと2人も治療しましょう」

「ナオ、ニイとミイはどこ?」


ウイルス保有者はあと2人、マヤはアジトに双子がいない事に気付いて聞いた。


「痛み止めの薬草を採りに行ったよ」

「薬草園か。それにしては遅いな」

「近くなら見に行ってみようか?」


ニアの為に薬草を採りに行った双子が戻ってこない。

少し心配になるマヤに、トオヤが提案した。


「じゃあ、オイラと一緒に来て」

「OK」


マヤと手を繋ぎ、トオヤは山猫団のアジトから森の奥へ向かった。


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