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【完結】星の海、月の船  作者: BIRD
第1章:月の遺跡と宇宙船
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Prologue~第1話:7つのコロニーと宇宙飛行士

挿絵(By みてみん)


 扉が開いたなら、その先へ行こう

 未だ知らない世界を見る為に

 君は道を示してくれた


 宇宙(そら)を進む船に乗ろう

 未だ知らない惑星(ほし)を見る為に

 君は星を渡る船をくれた


 君が開けた扉

 君がくれた船

 僕を未知へと誘う


 その先に何があるのか?

 今は分からないけれど

 君と手を繋いだ事を後悔しない

 進んでゆこう、遥か遠い彼方へ



 宇宙船アルビレオ号

 艦長トオヤ・ユージアライトの日記より



Universal Century 0500。

古の大戦で、地球は人の住めない星になった。

箱舟計画により、人類が多くの生命と共に地球を離れた500年後。

地球人の子孫は、7つのコロニーで生活している。

高濃度の放射能に汚染された地球は生物が棲めない星となり、今は核の冬が終わり再生しつつあるという。


自然環境の再生を妨げないように、大気圏外から静かに見守ると決めた、地球人の子孫たち。

地球への立ち入りを禁じられ、人々はコロニーや宇宙船の中から祖先の故郷を眺めるのみ。

海の再生が終わり、青く輝き始める水の惑星(ほし)を……。



「師匠、今まで育ててくれてありがとう」

感謝を述べて一礼する青年はトオヤ・ユージアライト18歳、成人として扱われる年齢を迎えたところだ。

東洋系の童顔で、まだ大人の男性というには幼さが残る顔立ち、栗色の髪は艷やかでサラサラ、緑の瞳も澄んでいて美しいといえる容姿の持ち主。

体格はやや細いが、鍛えているので必要な筋肉はついている。

その肉体は宇宙空間でも活動出来るよう、成人前に【最適化(オプティマイズ)】されている。

彼は師匠から宇宙飛行士としての技術と知識を学び、中古の小型宇宙船を譲り受けた。


「いいかトオヤ、この仕事は自由度が高い代わりに成功するも失敗するも能力次第だ。仕事選びは慎重にな」

先代の船長パウア・シェルは言った。

灰色の髪と瞳、高齢者には見えないガッチリした筋肉質の体型、眼差しは鋭いが養子のトオヤには時折優しさが感じられる事もある。

度胸と慎重さを併せ持つパウアは年齢による能力の衰えを感じて宇宙飛行士は引退したが、メンテナンスとして船に常駐し、トオヤをバックアップしてくれる事になった。

「はい」

頷くトオヤに師匠は愛用の短銃(ハンドガン)光剣(ライトソード)を授けてくれた。


「まずは研究所(ラボ)へ行ってみるといい。何か手頃な仕事があるだろう」

師匠のアドバイスを受けて、トオヤは研究所へ向かう。


「ちょうどいいところに来てくれたわ」

研究所に着くと、副所長のスズ・パイロルースが歓迎してくれた。

「つまり、仕事があるって事かな」

いいタイミングだったらしいと感じて、トオヤはニッと笑ってみせる。


「月地下から遺跡が発見されたの。そんなところに施設を建てた記録は無いから、失われた古代文明じゃないかって学者たちが大騒ぎよ」

説明しながらスズがパネルを操作すると、月面に掘り広げられた穴の底に建造物が見えた。


「セキュリティが生きてるらしくて、戦闘能力の低い学者たちだけでは調査出来ないの」

「それで戦闘要員募集?」

面白そうな仕事だ、とトオヤは思う。

未知の物は危険もあるが、好奇心を満たす。


「パウアさんが船を譲る程の貴方なら、頼りになると思ってるわ」

スズは微笑むと、パネルを操作して調査団のメンバー証明証を発行した。

「戦闘要員は他に誰が?」

差し出されたカードを受け取りながら、トオヤは聞く。

「前衛に犬型アンドロイドのライカと反射攻撃(カウンター)能力者のベガ、後衛に射撃が得意なティオとレシカがいるわ」

スズは他のメンバーの容姿が分る画像を見せてくれた。

「つまり僕を入れて5人だね」

「トオヤは射撃も剣術も得意だから、状況に応じて動いてくれたらいいわ」

「OK」

大体の状況を理解して、トオヤは作戦に参加登録した。

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