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【完結】星の海、月の船  作者: BIRD
第1章:月の遺跡と宇宙船

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端末アイオの記録①

ボクの固有名称は【アイオ】、人工的に作られた生命体で、宇宙船アルビレオ号の交流用端末です。

性別は男性として作られています。


アルビレオが母星アエテルヌムを離れてから、どれほどの時が流れたか。

ボクは遂に主人(マスター)に出会いました。

トオヤ・ユージアライト、18歳男性。

栗色の短い髪はサラサラで、瞳は緑の宝石みたいに澄んだ、整った容姿の持ち主です。

彼の母星は地球という惑星ですが、大きな戦争があった際に自然環境に壊滅的なダメージを受けてしまったため、現在は居住出来なくなっています。


トオヤはボクが入ったカプセルを見つけて、触れてくれました。

宇宙船アルビレオは、知的生命体がボクを見つけて触れてくれたら所有者登録をするようプログラムされています。


本当の事を言うと、トオヤが所有者になったのは、アルビレオが誘導したからなんです。

トオヤの存在は、彼が艦内に入って来た時点でアルビレオのAIが認識していました。

所有者にふさわしい知性と度胸、優れた戦闘能力を有する事を感知した時点で、アルビレオは彼が交流用端末を見つけるように潜在意識へ働きかけていました。

ちなみに、彼の容姿もアルビレオが所有者に選んだ理由の1つです。

いずれ移民団を率いる事になりますから、多くの人に好まれるくらいの美しさも必要なんです。


アルビレオは艦内に入った人々の戦闘能力に合わせて、彼らが無傷でクリア出来る程度のセキュリティマシンを放ちながら、端末(ボク)が在る場所へ誘導していきました。

その結果、彼はボクを見つけて、触れて、現在に至ります。

そういえば、地球の古いおとぎ話に、眠っている人にキスをして目覚めさせるお話がありますね。

残念ながら、トオヤは目覚めのキスをしてくれませんでしたが。

でも、お姫様抱っこというものをしてくれたので、ボクは嬉しかったです。


その後、何度かボクからキスを誘ってみましたが、いつも赤面して避けられてしまいます。

好意を抱いてくれてはいますが、恥ずかしいみたいですね。

でも、お風呂は一緒に入ってくれます。

ボクの性別が同じ男性だったのが幸いしました。

もしも異性だったら、お風呂に一緒に入る事も恥ずかしがっていると思われます。

就寝時に添い寝するのも受け入れてくれました。

キスは彼が眠っている間に出来そうですが、起きている時に彼の同意の上でしたいものです。

時間はたっぷりありますから、いつか出来るかもしれません。


アエテルヌムの宇宙船とその端末の所有者となれるのは1人だけ。

宇宙船が破壊されない限り不老不死の主人(マスター)となったトオヤは、これからアルビレオやボクと共に長い時を過ごします。

ボクはトオヤの傍にいて、彼をサポートする役目を担っています。

トオヤをお世話するのは、ボクの楽しみでもあります。

彼とは食べ物の好みを同期しているので、料理は特に喜んでもらえます。

初めて「美味しい」と言ってもらえた時は嬉しくて、自然と笑みが浮かびましたよ。

トオヤは「そうやって笑うと普通の人間みたいだね」と言っていました。

地球人類はまだ人工生命体やAIの技術が未熟なので、トオヤは感情を持つ端末のボクが珍しいみたいですね。

アエテルヌムでは、作られた存在でも性格や感情があります。

地球人の言う【魂】や【転生】があるか否かは未確認ですが。

それもいつか分かるかもしれませんね。


さあ、これから長い旅が始まります。

艦長トオヤと宇宙船アルビレオ号の出航です。

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