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背神者

作者: takechan

恐らく対象年齢高めです。


 ああ、神よ。私の神よ。


 愚かな私をお許しください。


 飢餓に貧困、汚染に争い、それらはいつだって人の飽和が引き起こすものでした。


 限りある恵みに対して私達は無計画にも増え過ぎました。


 見かねた者が貴方の名を語り、禁忌に手を染め始めました。


 知らなかった、私は知らなかったのです。


 七つの大罪を犯した私をどうかお許しください。


 有象無象の塵芥。数多の人屑の加護と寵愛を受けて、生を受けしは四半世紀前。


 白痴と叡智の狭間にて、心を知覚し躍らせて、時の流れに浮き輪をつけて身を任せるように空を眺めて育ちました。


 団塊老害日雇いゆとり、仲間や同僚と愚痴に華を咲かせておりました。


 矮小なる心により、過去から学び、世界を知ろうとはしませんでした。


 憤怒。思い通りにならない社会に、ストレスを溜めた器は底が抜けていました。


 嫉妬。私より醜い者が早々に女の幸せを掴んでいる事を、どうにも私は許せませんでした。


 強欲。もっと綺麗になりたくて、色んな化粧を塗りたくり、高級ブランドを身に着けました。


 傲慢。がり勉、オタク、不良、知障。私にあらずんば人にあらず、相容れない価値観は全て下等と見下しました。


 暴食。氷菓子に甘味は刹那的な快楽を与えてくれたけど、安価な美食は弱毒でした。


 色欲。優秀な子種より外見の麗しさを愛し、寂寥感を紛らわす為に神の宮を穢し続けました。


 怠惰。努力を座右の銘に据え頑張る自分に胡坐をかき、浅学にして無知蒙昧。鵜吞みにした噂の中に生きていました。


 ああ、神よ。私の神よ。


 愚かな私をお許しください。


 物も道理も判らぬ頭を、地を蹴ることも叶わぬ体を、奇形に歪むこの顔を、世間は許しはしないでしょう。


 でも見て下さい。呪いと祝福を受けてなお、宇宙(そら)を映したこの瞳を。


 あぁ、こんなにもかわいい。


子宮や産道等々、女性の体には神を想起させる名前が付けられています。

生命の創造という神秘を、神の御業と考えたのです。


お読み頂きありがとうございました!

面白かったらブックマーク、高評価、感想等よろしくお願いします!

他にも短編小説などをいくつか投稿しているので、そちらも見ていって下さると嬉しいです!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 読み進める程に深まる悍ましさがラストで極まりなながらも、そこにある種の美しさ、聖性を感じてしまって愕然としました。 再びタイトルを見て、何とも言い難い気持ちになりました。
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