依頼
翌日、俺達はギルドのすく早朝に依頼の報告をしに行った。
後ろにはツーレ、クーレ、そしてリリィもついてきた。
異世界就寝の悩みとして風呂と歯を磨くことが浮上した。
リリィにこれを聞くと一般に出回るクリーンと言う浄化魔法をかけてくれたが覚えていない事に驚かれた。
これといい討伐証明といい知らないようなことが多いため、泊めてくれるくらいお人好しなリリィはギルドまで着いてきてくれたのだ。
「昨日の依頼対象です。」
「かしこまりっ…!?」
袋につめた昨日の成果を受付のテーブルに置くと受付のお姉さんは言葉が崩れるほど動揺する。
虫の頭が沢山入った袋なんて渡されたらそうなるよな。
お姉さんは袋ごと奥に持っていく。
「そう言えば、こんなにルナビートル狩る依頼なんてどんなのよ。」
リリィが呆れたような表情で質問してくる。
それに双子が答える。
「ゼノはあちらの依頼を受けました。」
「あれ」
双子が指を指す方向は掲示板に書かれるカブトムシの文字
「いや、ルナビートルは形こそカブトムシだけど別物よ!?」
「まじかよ、でかすぎると思ってんだよ。」
「当たり前じゃない!」
だとしたら俺の知るカブトムシであってたのか。
カブトムシに銀貨をつけるのか、やるな異世界。
「お、お待たせしました。」
奥に行っていた受付嬢が戻ってくる。
そして隣には優しそうなお婆さんもいる。
「君がこれを持ってきた子かい?」
見た目どおりの優しい声をかけてくる。
ここから急に怒鳴りだしたりしたら泣く自身がある。
「ええ、依頼とは別だったみたいですが」
「ふむ、その様じゃの。して、これはお主たちでやったのかね?」
あれ?考えてみればこれって怒られる奴じゃないか?
そら依頼と違うし大量の虫の頭を持ってきたら怒られるか。
みんな手伝ったし一緒に怒られてくれよ。
「そうです」
「なるほどのう、パーティー申請はないが昨日ギルドに来たばかりと聞いておる。会ったばかりの者に背中を貸すのは難しいじゃろう。」
話の方向性を今のところ理解できていないが、余計なことを言ってこれ以上事を荒立てない様に努めよう。
「そこでじゃ、お主らでⅮ級としてパーティーを組んでみんかの?そこのお嬢ちゃん二人もメンバーとして申請しておこう。」
「すごいじゃない!いきなりランクが上がったわよ!」
リリィから称賛が送られる。
どうやらそれなりの成果であったよう。
あれだけ森を荒らしてた生物の討伐だからか。
しかしランク制ってことも今知ったしランクは何段階あるかも知らないんだが。
「なにこれやっぱり受けといたほうが良いの?」
「ランク帯によってはそれなりの身分にもなるわよ」
「儂としては受けて欲しいのう」
この世界で証明となる物を一つは欲しい。
「受けます」
「うむ、ではすぐに用意しよう。では、ギルド内で待っておくとよい。」
何か説明や渡すものなどの準備があるのだろう。
俺たちは空いたテーブルに向かう。
リリィは昨日とった自分の得物を受付に渡してから少し遅れて座る。
「おめでとう!あのランクと腕なら安定してくると思うわよ」
「ゼノはどれ程素晴らしい事をしたのでしょうか?」
「すごい?」
双子がリリィに聞く。
「そうね、ギルドには組んだパーティーにFからSまでのランクを付ける制度があるんだけど、Fから上がるのは二週間もあれば自然と上がるわね。初心者の印って所かしら。そこから上がるのにギルドが功績を評価してくんだけどCからはギルド長や騎士団長とかから認められる必要があるの。その手前のDまで一日で来たんだもの、多くの人が噂するレベルよ。」
いっきにそんな所まで上がったのか。
「それは素晴らしい。おめでとうございますゼノ」
「すごい」
「あ、ありがとうな」
なんだか実感がないしひたすらに剣を振り回していた記憶しかない。
それにランクによる影響も把握できてないし。
「お待たせしました。こちらがツーレ様、クーレ様のギルドカードとなります。」
意外に早く受付嬢がやって来て双子に金属のカードを渡す。
「そしてゼノ様のカードとリリィ様のカードもDランク所属ということでアイアン素材となります。」
そう言って受付嬢は俺とリリィに鉄でできたカードを渡す。
カードは名前が彫られ何かしらの印が入れてあった。
「え、ええ!?私は違うわよ!?何もできてないし…」
リリィが急に叫びだす。
確かにあの場所に一緒にいたのだから組んで行動していたと思うだろう。
ただ、彼女に教えてもらわなければ何も知らずに放置していた。
そうなれば彼女も、というか彼女の貢献は大きい。
「いいじゃん、ランク上がったぞ」
「え、いや、その」
ああ、そうかパーティーでのランクだから彼女も俺たちと行動しなければいけなくなるのか。
それじゃあ無理強いできない。
いや待て、まだ彼女に魔法についてを多く聞いていない。
きちんとした学びを得て習得した技術だ。
そうそうお目にかかれないのではないだろうか。
それにパーティーを組む人を見つけられなかったとも言っていた。
魔法使いたい。
「パーティーを組めばほしい食材も手に入れやすいんじゃないか?」
「そうだけど…急だし貴方たちはいいのかしら」
「俺は良いよ、それに故郷の料理もそれなりに知ってるぞ」
「!」
もしやこれは良い交換条件になるのではないだろうか。
魔法を教えてもらい俺も料理を教え食材探しを手伝う。
「ツーレとクーレもいいよな」
「はい、ご一緒しましょう」
「いいよ」
「じゃ、じゃあお願いするわ!」
こうして俺たちの最初のパーティーができたのだった。