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アダプるエヴォる  作者: ユニマル
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 眩しい日の光、目の前には生い茂る緑、見上げるは空の色

 あの場所から外へと出るのは容易なことであった。

 ポッドの部屋から出ればすぐに階段が、そこを駆け上がり扉を開けるとこの風景。

 ご親切に俺たちに着せる予定であったのかサイズのぴったりな上下同色の服が向かいの壁に掛けてあった。

 白衣に残された銅貨数枚を携え前を見る。


 この景色から見るにここの施設は森の中にあるのだろう、樹木が緑と茶色を主張してくる。

 こういうところは良く分からない虫がいそうだと思ってしまうが現代人の痛いところ。


 時刻としては日が差し掛かる朝方か。


 土を足で踏む。

 その先には獣道と言うよりかは幾分か大きく人一人が通れる大きさに土が固められていた。


 後ろを見るにツーレとクーレは追従するかのように付いてくる。

 俺の後ろにいるその二人が地面を踏むと同時に建物が歪んでゆく。

 俺たちがいたはずの建物は背景と同時に収縮し、消滅してしまった。


 ・・・え、こわ。


 そんな驚きの表情を二人は不思議そうに見つめる。

 とっととこんなところ離れようなんか怖いし。

 異世界怖すぎ。


 



 数分歩みを進めると目指す道の傍ら休憩するのに丁度良い湿地を見つける。

 ロリ二人を連れる手前、彼女たちの体力が心配である。

 それに、これからの事への整理も一度したい。

 取り敢えず一休みすることにしよう。

 進んでる間に施設にいた人間と鉢合わせたら目も当てられないしな。


 池の中では魚が泳ぐ。

 水面には自分の顔が映りこむ。

 肩まで伸びた白髪に黒い目をしている。


 …おかしい、俺はこんな顔でこんな髪でゼノとかいう名前だっただろうか。

 異世界に来て早々に体に疑問を持つ。

 やっぱりおかしいだろ、俺はあの装置で何をされたんだ………まあいいやあそこ怖いし。

 魔法の使える異世界に踏み出したことから来る高揚感によって思考に異常をきたしていた。


 異常をきたすのも仕方がない、目の前には見たこともない魚が泳ぐ湖、これだけでも自分の知らない土地であることが理解できる。

 そんな湖を眺めながらこれからの事を考える。

 雰囲気だけならセンチメンタル。

 火をつける術などあるはずもなくただ座るのみ。

 そういえばここは魔法の世界、灯火をつけるくらい魔法で出来てしまうのではないだろうか。

 魔法使いたいよ、魔法


 ただいかんせん、俺には知識こそあれど使い方をよく知らない。

 そもそも、あの装置も途中でい停止した事で中途半端な知識で止まっている。

 そこでふと思う、彼女たちのも何か知っているのではないだろうか。

 コミュニケーションの一環として話題に出してみても良いだろう。


「そういえば、自分の名前以外に何か知ってることはある?」


「私の知るところはゼノの下に要ることだけです。」


「知らない」


 とてもとても重たい台詞を製造するツーレ

 反対にとてもつまらなさそうに俺の見ていた魚を観察しながら答えるクーレ


 あの魚、面白いよな人間の生足はえてんだもん


 この二人にある情報は俺の下に要ることが全てらしい。


「何でそんなに俺に付いてきてくれるんだ」


「そうすべきだと思うからです」


「そうしたいから」


 理由はないようだ。

 あまり彼女たちからは俺が分かるような情報は得られなさそうである。


 そんな彼女たちを見て思う。

 これからどうやって生きていけば良いのだ。

 この世界での通貨もない。

 もとの世界であれば貯金があったがそんなもの持ってくることも使うことも出来るわけがない。


 異世界に心踊らされた自分がいたが、意外とこれまでの稼ぎも捨て再スタートと言うのはなかなかに辛いものがある。

 それに無心で俺に付いてくる彼女たち。

 この娘たちも養う必要がある。

 魔法使いたいなどと言っている暇は無さそうだ。

 冷静な思考が少しづつ戻ってくる。


 直ぐにでも職に取りかからなければいけないのではなかろうか。

 幸いこの世界でも冒険者という直ぐつける異世界職がある。

 戦闘はどうあれ採取依頼もあるはずだ。

 俺の知識がそう叫んでる。


 研究所がある分、人里と離れているとも思えない。

 ひとまずは彼女たちに食べさせてあげる分だけの資金は得たい。

 それを基盤に少しずつこの世界を冒険すれば良いのだ。

 なんたって冒険者だからな。


 学園1つが国になってるのもあるそうな。

 人間にも多くの種族がいるそうな。

 楽しいことは取っておけば良いじゃないか。


「まず、冒険者になろうと思うんだ」


「了解しました」


「分かった」


 ノータイムで了承してくるツーレ、クーレの低音ボイス。


 方針は決まった。

 まずは人里を探そう。






 半刻ばかりの休息をとり再び歩きだす。

 以外と森を抜ける事に苦労はせず、街道というのだろうか肌色の道が一本見える。

 その道の先には石の壁にはまる門がある。

 そこには憲兵が2人


 数分かけそこまで歩く。

 ツーレ、クーレも後ろを付く。


「身分証は無いです」


 そう言いながら銅貨を3枚ほど手渡す。

 身分証がなければ入場時に人数分の銅貨が要るよう。


「うむ、通ってよし」


 門の向こうはなかなかに賑わっていた。

 髪の毛の色が賑やかで頭の上に耳を付けた人間もちらほら。

 あの良く分からない装置の中で知識だけはあったもののその空気を直接感じることは新鮮であった。


 建物や看板を見ると、みたこともない記号が至るところで目にはいるが、不思議とそれらの意味が分かる。

 分かるところで探す文字は一つ。

 入り口から数件さきに冒険者の文字。



 扉を開けばそこは木造建築。

 後ろの少女たちを今日一日食べさせることもできない俺は手っ取り早く金銭に繋がる職に就く必要がある。

 それを可能とするのがここ冒険者ギルド、ギルドを通して仕事が斡旋されそれを腕に自信のある者が受ける。


 周りを見ると軽装備冒険者たちがちらほらと、壁には大量の紙が貼られた板が数枚。


『薬草採集一束 銀貨1枚』

『ベイラット討伐10匹 銅貨5枚』

『求む!足を持つ魚の情報! 金貨1枚』

『回復職募集 常闇の雫』

『前衛募集 シルクレイ』


 依頼やパーティー募集などが貼られているようだ。

 冒険者たちの掲示板か。


 俺は入ってすぐに見える受付へ


「冒険者登録をお願いします」


「3名で宜しいですか?」


「いえ、俺だけでおねがいします」


 渡された紙にさらさらと書く。

 それを受付に渡し登録を終える。

 それとなく掲示板を見る。


『カブトムシ討伐 銀貨3枚』


 カブトムシ……

 虫嫌いからの依頼だろうか


「カブトムシ討伐をお願いします」

「はい、場所はここより逆位置にある門より見える北の森になります」


俺は異世界でカブトムシ狩りにでるのであった。



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