王都
王都ベルフェメア、都市と言うだけあって、今まで行った街の中でも人々がまた違った賑わいを見せる。
人々は歩きながら語り合い、通りに並ぶ店内では商人たちが自慢の品を並べる。
この国の中心地であることもあり、まったく系統の違う商品が並び目移りしてしまう。
「どうする?俺たちは一応、クラーケンの報告をしにギルドへと行くが、両親の場所わかるのか?」
「う、うーん、まだついて行こうかな」
まだ心の準備ができていないのだろう。
それに曲がりなりにも魔法を師事してもらったのだ、ここで簡単に別行動をとるよりも落ち着いた場所で王都での予定を立てたい。
それならば、先にギルドへ寄っていくとしよう。
首都のギルドなだけあって煌びやかな通りの中でも、分かるような立派なものであった。
中に入ると、募集、依頼、など受付ごとに区画が分けられシステム化された印象を受ける。
「これソルトラで起きた報告書です。」
「ソルトラからですね、そちらの待合でお待ちください。」
確認をされた後、大きなテーブルを椅子が囲むセットがいくつも置かれた空間に移動する。
「ということでここでの予定を決めたいんだが、リリィはどうするんだ?」
「お父さんもお母さんも冒険者やって食材集めてるからここで行動してれば会えると思う。」
「美食屋的なね」
「え?何って?」
「いや、何でもないです。」
違う違う、ちゃんと話し合わねば。
「宿は人数分用意されてるみたいだから困ることはないと思う。ツーレとクーレはどこか行きたいところあるか?」
と言っても、当初、俺の元にいる事が目的とか言っていたから具体的な返答があるか分からないが。
「色々なものを見て回りたいです。」
「うん」
意外や意外、反応があった。
ここにきてからあたりを見渡していたが、刺激を受けたものがいくつかあったのだろう。
「お待たせしました、会議は三日後の朝方から開始します。ギルド前の道を右に回りまして見えるホテルをご利用ください。こちらのチケットを見せていただければスタッフが部屋へ案内します。」
「了解しました。」
そう言うとチケットを受け取りしまう。
え?会議?会議って何?
確認しようにも受付のお姉さんは行ってしまった。
「しかし、凄い容量ねその魔膜」
そんな俺を横目に、受け取ったチケットを魔膜に入れるとこを見たリリィがいう。
「普通のやつってどれだけはいるんだ?」
「その大きさだと、いい奴でも10リットルって所かしら」
10リットルが重さ変わらず運べるならかなりの優れものだが、この魔膜は底なしに入っている。
「確実にその容量超えてるんだけど」
「そうなのよね、それにその中に他の道具も入れっぱなしらしいじゃない、あと何かつまむものちょうだい。」
両手を交互にひらひらと揺らしねだる。
リリィの言う通りこれを受け取る際にいくつか入れたままの物をそのまま譲り受けたのだ。
本人も何を入れっぱなしにしているか把握していないらしく何も聞いていない。
この魔膜もそうだし性能の把握はしておいた方がいいだろう。
「はい、これ」
「ありがと」
食べ物を出すついでに、貰った品をいくつかみる。
カプセル状の物やしずく型の物など見た目だけでは到底わかりそうもない代物ばかりだ。
「これって何かわかるかな」
早速ポリポリと食べ始めているリリィにしずく型の方を見せる。
話を聞いていた双子も興味深そうに身を寄せてきた。
「結界用だと思うけど範囲とかまではわからないわね」
虫よけみたいなものだろうか。
「王都に大きな魔道具店があるからそこで似たようなもの探しましょうよ」
「行くのは良いけど両親の元に向かわなくて良いのか?」
「え?一応チームとして魔道具の効果を確認しておきたいのだけれど…」
「あれ?両親の手伝いとかは良いのか?」
「え?」
ここに来るまでこの話題に歯切れがないと思ってたけど、もしかしてすれ違ってるだけなのだろうか。
王都で別れるとばかり思っていたのだが。
「い、一応このパーティーで活動したかったのだけれど…、うう、食べるのも減らすから要られないかしら…」
どうやら、こっちが勘違いしていたようだ。
それにリリィにもなにやら気を使わせてしまっている。
「いやっ、違うんだよ、こっちで暮らすとばかり思ってたからさ。俺もいて欲しいから大歓迎っていうか…」
何が大歓迎だよ、もっと良いことばが出てこないのが嫌になるわ、この童貞が。
「とりあえず魔道具を見に行きたいです。」
「魔道具」
双子が気を利かせたのかナイスなパスを送ってくれる。
「そ、そうだなリリィも行こうぜ」
「う、うん」
こうして俺たちはこの王都にある魔道具店へと赴くこととなった。




