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山盛りオープンサンド(1)

「――うん。やっぱり、作った方が、安い」


 その日、月薫つきかは思った。本当は、やっぱり、と言えるほど深く考えたわけじゃないけど。

 彼女は大体、行き当たりばったりで物事を決める人だから。

 でもその月薫が、やっぱり、と言えるくらいには深く考えた結果が。


「うん。やっぱり、ごはんを作ろう」


 だった。



 月薫は、旅が好きだ。一年に一度、遠い星へ、一週間の旅に出る。

 たった一週間なのだから、本当は旅ではなく、旅行という言葉の方が似合うのかもしれないけど。


 旅に出る。そのフレーズが、月薫は好きだ。

 行きたい星は一杯あって、もう一度行きたい星もある。

 

 そして、旅をするにはお金がいる。また一年後の旅に向けて、月薫は節約しなきゃいけない。

 でも、新色のコスメや、新しいバッグをあきらめるのは無理だ。


 だから。

 悩んでいたけれど。


 マルチタブレット。必要な栄養素も水分も、これ一錠を飲めば完璧に取れる。

 その最後を飲み干した時に、決めた。

 

 もうタブレットは買わない。

 だって、作った方が安いから。


「ごはん、作ろう。まずは、買い物――だな」


 そりゃあね。タブレットは便利。

 料理にかける手間が全部はぶけるって、とっても自由。

 

 月薫は一人暮らしだけど、料理を作ろうと思ったら、一人でもそれなりに手間がかかる。

 ――買い物をして、献立決めて、作って、食べて、片付けて。

 『料理をしないって、天国』と、タブレットを噛みながら呟いていた。


 それでも。


「とりあえず・・・スーパーに行こうかな」


 旅に行く以上の天国なんて、月薫には、ない。

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