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若いサタン  作者: たーしゃ
1/2

前夜

一話


 冬の夜半、窓を開けて少しばかり冷め始めた湯に浸かっていた。

 体温よりやや高い、気を抜けば眠りに落ちてしまいそうな中、私はさっきまで居間で見ていた映画のことを思い返していた。

 愛しい者を奪われた中年の平凡な男が、復讐のため神をも殺める悪魔となる。

 そんなごくありふれた物語だった。

 しかし私はその男が一貫して立ち向かう敵の全てを


 「悪魔」


 確かにそう呼んでいた。

 なるほど彼は敵を恨みそう呼ぶのだな。私はそう思ったし、それは正しく、また一般的な考え方であっただろう。

 だがこのぬるい、意識を奪っていくこの魔性の湯の中で、

 私は、何か、新しい、それもさらに根本的に、


 正しい見方を見つけたような気がした。


 「悪魔か...」


 私はそっと呟いた。

 

 

 「若様、予定通り明朝となりました。」

  

 私が物思いに耽っていると、網戸越しに外から声が聞こえた。


 「承知しました。お爺様は何かおっしゃられていましたか?」

 「『義則様を御護りせよ』とだけ」

 「お爺様もご武運をと伝えてください」

 「かしこまりました」


 外から伝令の気配が消えた。

 明日に備え今日はもう寝よう。

 そう思って普段よりも半時ほど早く風呂を出た。



 


 

 

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