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W・B・Arriance  作者: 栗ムコロッケ
悪魔の薬編―パンゲア大陸到着編―
41/72

24.2.trick beat―しんせつなやまごや2―

突然襲い掛かってきたジェフ!?いったい何が起こったのか!?


突然降り出した雨、山深い谷あいの山小屋、赤い中華服、対峙するサーベルの切っ先。

シェン「おはよう、ジェフ、お前ずいぶんな寝起きだなあ」

語りかけた先の、息巻く男の瞳は赤く光り、肩は大きく上下し、サーベルを握る拳は僅かに震えていた。

ジェフ「まさか、こんなところで会えるとはな」

シェンは訳がわからなかった。

シェン「寝ぼけてんの?」

ジェフ「殺す」

ジェフは地面を蹴った。同時に自らの手首をサーベルで切り裂き、サーベルは真っ赤に染まった。


ジェフ「"血刀術"」


シェン「ん?」


ジェフ「"螺鈿"!」


まだシェンと距離があるところから、思いきり振りきられたサーベル。その勢いでサーベルについていたジェフの血は、シェンに向け弾丸のように飛び散った。それは針のように姿を変え、シェンに襲いかかった。シェンは横に大きく飛び、ごろりと肩から一回転すると、砂ぼこりを上げて着地した。シェンが立っていた場所に深々と刺さるは"血の針"。

シェン「ひぇ~っ! なにすんだよ~!」

ジェフは赤く光る瞳をシェンに向けた。






サーベルの切っ先に残る"血の針"に手を伸ばすと刀身全体に薄く伸ばした。

ジェフ「血刀術"鼈甲"」

サーベルを構えると同時に、刀身全体に伸ばされた血は刃とみね、それぞれの方向に広がり、サーベルは刀身が三倍以上に広がった深紅の両刃の剣となった。

ジェフ「……この90年、お前を殺す夢を見なかった日はない」


通り雨だったのか、雨は止み、雲は流れが早く、辺りは雲の影絵と月明かりの斑。


シェン「ジェフ、それ多分勘違い、お前寝ぼけてんだよ」

ジェフ「あー、寝ぼけている? ふざけんな!」

ジェフは剣を構え、再びシェンに襲いかかった。

シェン「ちょいちょい、」

「待って待って」と言いながら後ずさった足はばしゃりと音をたてた。雨水の水溜まりに足が入ったようだ。雲間から月が顔をだし、水面に光が照らされた。水面にはシェンが映るはずだった。だが、その水面に映ったのは、――長い髪の陰気な女






シェンはなるほどねとため息をついた。

シェン「ジェフ、俺はお前を"半吸血ヴァンピール"にした吸血鬼じゃない、術にかかってんだって、俺はシェンだよ!」

ジェフは足を止めた。

ジェフ「なぜそいつの名を知っている」

シェン「落ち着けジェフ、これは幻術だ!」

ジェフは剣を構えた。

ジェフ「そんな手にのるか」

シェン「ほんとだって! 多分"小屋テリトリーに入って次に目にした生き物が、最も憎んでいるものに見える"」

ジェフは一度寝て次に目にしたシェンの姿が、シェンは一度小屋から出て戻ってきたとき、ドア(小屋の外)から見た、部屋の中央に寝ていたジェフに対して幻術はかからなかったが、次に小屋の中で見た生き物――水溜まりに映る自分の姿が、それぞれ"最も憎んでいるもの"に見えている、というのがシェンの見解だった。




ジェフ「ばかげてる」

シェン「お前の獲物がこんなところにいるほうが"ばかげてる"、違うか?」

ジェフはサーベルを下ろした。

ジェフ「お前、本当にあの桃花源人か……?」

白目をむき、鼻を豚のように突き上げ、舌を思いっきり突き出し、シェンは笑った。

シェン「お前の獲物はこんな顔すんのかよ」

ジェフは声を上げて笑った。

ジェフ「ばかやめろって……つーか、この気持ち悪い幻術を解きてぇ……」

シェン「どっかに幻術の本体か術使ってるやつがいるはずだ」


だが、辺りは真っ暗で、頼りの月明かりは雲から覗いたり隠れたりを繰り返している。

ジェフ「"半吸血ヴァンピール"なめんな! 暗闇に隠れてようが、丸見えだよ」

シェン「え、ちょっと」

ジェフはなんだよとシェンに目を向けた。シェンはあたりをきょろきょろと見渡した。

シェン「リンリンがいない」







リンリンがいなくなったー!なんというベタな展開!


そんなこんなで次回は9/24 24.3話更新予定で~す!

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