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W・B・Arriance  作者: 栗ムコロッケ
悪魔の薬編―悪魔が来りて編―
21/72

14.4.trick beat―Go!―

14.4話はtrick beatシリーズ第1話

スペードのエースのお話です。

最強の7人の魔導師「グランドセブン」召集の命についたシェンは…。


――スペードのキング執務室


「大将」


窓のヘリに腰をかけ、

あんまんを頬張っていたシェンはドアに目をやった。


視線の先にはスペードのエース トウジロウ。


トウジロウ「クラブから貰てきたで、他の"グランドセブン"の情報」


トウジロウは数枚の紙をヒラヒラとゆすった。


シェンはいやな予感がした。


シェン「…なに、枚数そんだけ?」


トウジロウは紙をシェンに渡した。


トウジロウ「おまけに3人中1人分の情報しかない」


シェンはパラパラと紙をめくった。


シェン「…まじですか」


トウジロウ「協会とウチ、合わせてそんだけやねん。しゃーない」


シェンはあんまんの最後の一口を放り込むと紙をトウジロウに返した。


シェン「もう覚えた。処分しといて、ソレ」


シェンはデスクに向かった。


シェン「案件の引き継ぎは終わったし、アーティファクトも持った。

    あとやり残したことはないよな?」


トウジロウはライターの火を紙につけた。


トウジロウ「忘れモンはあるんとちゃう?」


シェンは苦笑した。


シェン「別に忘れちゃいないよ。」


シェンは辺りを見回した。


シェン「リンリン!ぼちぼち出るぞー!」


返事はない。


シェン「あれ?」


トウジロウ「部屋の隅でくたばっとんちゃう?」


シェン「虫じゃねーんだから…」


シェンは小走りで執務室を出た。






――スペード秘書室


リシュリュー「え?リンリンちゃんですか?」


シェン「そ!見てねぇ?」


リシュリューはきょとんとシェンを見つめた。


リシュリュー「いらっしゃいましたよ、つい先ほど」


シェン「え?お前に何か用があったのか?」


リシュリューはほほ笑んだ。


リシュリュー「本部からのキングの任務のサポートについて、

       打ち合わせました」


シェンはきょとんとした。


リシュリュー「なにかあったときにすぐにサポートに入れるよう、

       ハートのキングとも調整を行いました。

       ご安心して出発ください。」


シェン「ど…どうも」


リシュリューは「そういえば」と手をたたいた。


リシュリュー「クラブのエースの元へ行くとおっしゃっていましたよ」






――クラブのエース執務室


リケ「リンリンさん?今しがた来ましたよ」


シェンは肩を落とした。


シェン「過去形ですか…」


リケはクスリと笑った。


リケ「スペードのキング不在の際のスペードのエースへの対策を教えてくれました。」


シェンは苦笑いした。


シェン「なんだそりゃ」


リケ「リンリンさん、ハートのエースの所に行くと言っていましたよ。」






――ハートのエース執務室


ウランド「リンリン?ああ、今さっき来ましたけど」


シェンは長い溜息をついてウランドの机にもたれかかった。


ウランド(この間あなたに吐いた"暴言"について、説教くらいましたよ)


シェンはウランドを見た。


シェン「あいつと何話した?」


ウランドは窓の外を見た。


ウランド「ハートのキングの居場所を聞かれました」


シェンは「ん?」と目を大きく見開いた。


シェン「なに?カグヤ今どっか行ってんの?」


ウランドは笑った。


ウランド「いいえ、今日は珍しく執務室にいらっしゃいますよ」






コンコン ――ハートのキングの執務室にノックの音が響いた。


シェンはドアを開けた。


シェン「カーグヤー!リンリン見なかっ…」


「だめぇーーー!」


執務室に顔を出した瞬間「ダメ」という大声に、シェンはドアを開けた体勢で固まった。


シェンの視線の先にはデスクに座っているカグヤと、その顔の前でパタパタと翅をはばたかせ両手を腰に当てているリンリンの姿。


シェン「な…何がダメなんだよ」


リンリンはビシッとシェンを指差した。


リンリン「これから女同士の話し合いをしようとしてんのー!

     シェンは男の子なんだから入っちゃダメでしょー!」

     

シェンはハイハイとリンリンの翅をつまみあげた。


リンリンはバタバタと暴れた。


リンリン「ちょっとー!」


シェンは苦笑いした。


シェン「忙しいのに悪かったな、カグヤ。」


カグヤはシェンをまじまじと見つめていた。


シェン「…いや…もう出発か?」


シェンはニカリと屈託のない笑みを向けた。


シェン「そ!この"忘れ物"が見つかったから、もう出るよ」


シェンは「じゃあな」と手を振ってカグヤに背を向けた。


カグヤ「ま、まて…」


カグヤは椅子から立ち上がった。


シェン「?」


カグヤ「…気をつけてな…」


シェンは白い歯を見せ「おう!」とにぎり拳を見せた。


リンリンはカグヤを指差した。


リンリン「シェンはあたしのものなんだからねーー!」


シェン「はいはい」


シェンはハートの執務室を出た。


静かになった執務室で、カグヤはドサリと椅子に腰を落とした。


カグヤ(…よかった…行く前に会えて…)




シェン「さてと」


シェンはリンリンを見た。


リンリン「あたしもいろいろやり残しがあったのー!

     でもこれでスッキリした!」


シェンは「クックッ」と笑いをこらえた。


シェン「しょうもな」


リンリン「なんだよー!」


シェンは小さい溜息をついた。


シェン「出発すんぞ」


リンリンはにっこりと笑った。


リンリン「OK!行こっ!」






さて、いざ出発です。

グランドセブンの残りの3人

シェンは集めることができるのか!?


次回は第15話。

本編です。

6/12更新予定~!

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