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プロローグ


 俺は世界に絶望していた。


 なんてつまらない世の中。


 人間なんてみんなクズだ。


 滅ぼそうと何度も思った。




 俺はその昔とある国で勇者をやっていた。攻めてくる魔王軍から人間を守るため、日々1秒でも気を抜いたら死という環境に身を起き鍛錬を繰り返していた。


 その結果俺は異世界より召喚された勇者より強くなった。それも遥かに。


 俺は大賢者と呼ばれ国の命令により俺は勇者達のパーティに加わった。


 俺は人間を守るために戦った。

 勇者のパーティは俺を含め5人だ。そのうち1人はヒーラー兼バッファーなので戦闘に特化しているのは4人である。

 いくら個々の戦力が高くても、同時に多方から攻めてくる魔王軍を捌ききるのは困難なことである。

 これ以上人間に被害を与えたくない。

 そう判断した俺は、転移魔法の亜種である対象召喚を発動した。

 対象召喚とは想像した対象を目の前に召喚できる技である。


 対象はもちろん魔王だ。


 この国は勇者信仰のある国だ。魔王にトドメを刺すのは勇者でなければならない。勇者もかなり強いので1対1でも、ましては俺も加勢すれば充分勝てるだろう。


 だが、そうはいかなかった。魔王は俺をみると土下座をしたのだ。降伏すると…


 魔王によると勇者が最強だと思っていたらしい。それは当然のことである。古くからそうだったからだ。俺の存在は予定外だったらしい。


 そしてこの魔王の降伏はすぐに王へと伝わった。

 すぐに不可侵の条約ができ、人間領に平和が訪れた。


 はじめは「勇者様!」と勇者を讃える国民の声が聞こえていた。

 だが、魔王が降伏する所を見ていた兵士達によって、魔王が恐れた相手は大賢者である俺ということが広がった。


 それが面白くなかった勇者は、俺が本当の魔王であり八百長をしたと言ってまわった。

 もちろん勇者信仰のあるこの国の人間の多くは勇者を信じ、俺を嫌った。


 街中で命を狙われることが増えたが、俺にとってはなんの問題でもない。


 真魔王と呼ばれていた王は俺を見捨てなかった。


 国民にフォローをいれ、俺が国を離れることを恐れた。

 俺ははじめ、王を信じていた。一国民である俺を守ってくれると。


 だが、違った。彼は俺を使って魔族領に攻めて自国の領土をひろげようとしていたのだ。

 当然断った。だが、それが最後だった。

 この国の民は王を含め、俺の強さがどのくらいのものかわからない。

 既に勇者を何人揃えても負けることがないという領域に達している。


 勇者に続き、国王までが俺を魔王だと呼んだ。


 そうなるともう救いはない。それは近隣の他国までひろがっていき、やがては全ての人間は俺を忌み嫌った。

 救いたいという願いのために必死に鍛錬をしたその守るべき対象に敵とされたのだ。


 俺の住んでた家は無くなり、店では何も売ってくれず、近所に住んでいた仲が良かった人でさえ、俺に罵詈雑言を浴びせるようになった。


 時には、俺の味方を名乗り近づいてくる者もいたが、全て俺の戦力を目的にした私欲のためか、寝首をかこうとする者達だった。


 そんなことがあって俺は人間に世界に絶望した。




 現在俺は魔族領で暮らしている。人間領を離れた俺は俺を見て降伏した魔王の元へ行き、住処と安全を提供してもらった。


 魔王は俺を慕い。俺がスローライフを送るために便宜をはかってくれた。


 魔王も俺も不老不死だ。最初は魔王も信用するつもりはなかったが200年という年月を超えそこそこ信頼する気にはなった。


 200年に渡り平和が訪れたがまたその平和が壊れてしまった。人間が魔族領に攻めてきたのだ。


 何年経とうと不可侵の条約は永久的に有効なはずだった。なのに人間は攻めてきた。


 理由はすぐにわかった。勇者が召喚されたのだ。それも2名。


 やはり人間は屑だ。自分の欲のために動く。


 俺は魔王軍に加担するつもりは無かったが、200年もの間、平穏と衣食住を提供してくれた魔王には感謝している。



 そうだ。人間を統制し改革しよう。

 普通にやってもつまらんなこれはゲームだ。戦闘は爪楊枝(つまようじ)だけでやろう。


 こうして俺は200年ぶりに動くことにした。

読んでいただきありがとうございます。

私のもう1つの作品「黒髪ロリの義姉ができた話。」ほど更新はしませんが、この作品も書いて行きたいと思います。

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