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「見たことある部屋だ。」
オットーが目を覚ますと、そこは白い空間になっていた。
「やっと起きたか!」
オットーが起きたのに気が付いた老人が話し掛けてくる。
「どうも、お久しぶりです。なんで、またここに来たんですかね、俺は?」
「お主が下らん事をアンナという女性にするから死にかけていたんじゃ、だから儂が助けるのに、ここに呼んだんじゃ。」
老人の言葉を受けてやはりアンナを揶揄うのは本当に命懸けになったのだと思い、これからは自重する事を決める。
「もうすぐ勇者が召喚されるのに、死なれても困るからな。目を離した隙に頑丈である筈のお主が死にかけていたから、慌てたわ。」
「成る程。頑丈な俺を殺せるほどにアンナは強いと、監視者の選考、考え直したらどうですか?神様」
「そうしたいのは山々じゃが、神である儂が決めたのを早々に替えれる訳ないじゃろが。なんで儂は、お主を選んでしもうたんだろか。」
「いや、適当に決めるからですよね!?理由はハッキリしてるじゃないですか!」
神が決めた事を簡単には覆せないと言い、自分で適当に決めた事を棚にあげる。
「そうじゃたな、あみだクジなんかで決めるんじゃなかったの。」
「えっ!?嘘でしょ、クジ?あみだクジなんかで決めてたの?それでいいの神様?」
「まぁ、いいじゃろ。そろそろお別れじゃ。監視を頼んだぞ?」
「いやいや、よくないでしょ!ちょっと、神様。」
「頼んだぞ!早々言い忘れてた、勇………は………る………な。」
意識がまた落ちる時、最後に神が何かを言っていたが良く聞こえなかった。
「先輩起きましたか?殴って起き上がって来ないから、私のせいかと思うじゃないですか!」
目を覚ますと見覚えがある部屋で寝かされて、ベッドの横で椅子に座っているアンナが居た。
「よく知ってる部屋だ。」
「何言ってるんですか!早く起きて見廻りの報告書を作ってくださいよ。」
「ア、アンナ。俺、死にかけてたんだけど?」
恐る恐るアンナに言うと、呆れた顔で見てくる。
「はぁ~、気絶しただけじゃないですか?つまらない嘘をつかないでくださいよ。怒りますよ?」
「ほ、本当だって、神様のお墨付きだよ!神様もアンナの攻撃力に驚いてたもん。」
「先輩?わ、分かりました。報告書は私がやっておきますから、ゆっくり休んでください。」
オットーを優しい目で見てから医務室を出て行った。
「アンナの視線が気になるけど、まぁ、いいか。ゆっくり休んでって言われたし。」
「アンナ、オットーは気が付いたか?」
「隊長、今は休ませた方がいいですね。長く首を絞めてたから、少し頭がおかしい事に。」
「おい。それは大丈夫なのか?」
視線を逸らして多分と答えるアンナを見て不安になったトロワは医務室に行って様子を視てみる事にする。
「オットー、体の具合はどうだ?」
「隊長、大丈夫です。俺は頑丈ですからね。まぁ、アンナの攻撃力には負けますけどね。なんたって神様のお墨付きですからね。」
「オ、オットー、本当に大丈夫なのか?無理はしてないか?そ、そうだ!オットーしばらく仕事を休んでいいぞ。」
「えっ!?いいんですか?休みを貰っても?」
「あぁ、構わんぞ!5日休んでいいからな。今から家に帰っていいから、ゆっくり休め!」
「おぉ!5日も貰えるなんて、ありがとうございます。」
何故かトロワから5日も休みを貰えたオットーは喜んで家に帰る準備をする。トロワは医務室からそっと出ていき、アンナが視線を逸らした理由が分かって、5日の休みで元に戻ってくれるのを願った。
「隊長、先輩はどうでした?」
「オットーには5日の休みを与えたから、それで元に戻ってくれるのを願うだけだ。」
「そうですか。休みから戻って来たら、少しは優しくしようかな。」
「そうしてやってくれ。」
オットーの首を絞めたので、頭がおかしくなったと思った二人は、元に戻るのを願って仕事に戻った。
「いや~、まさか。休みが貰えるなんて、日頃の行いがいいからだな♪」
詰所の自分の机に行って片付けをして皆に挨拶をして家に帰る。他の衛兵の皆が優しい目でオットーを見送った。
「そうだ!このまま家に帰るより、酒場に行って一杯飲んで行こう。何時もならこの時間は仕事だし、普段出来ないもんな♪」
浮かれて酒場を目指して歩いていく。
「マスター、エールを1つと適当にツマミをよろしく。」
「あれ?オットーじゃないか。仕事はどうした、サボりか?アンナちゃんに言いつけるぞ?」
酒場について直ぐに注文をしたオットーに店の店主が話し掛ける。
「んな訳ないでしょ!俺は休みを貰ったの!俺の日頃の行いがいいからね♪」
「お前の日頃の行いって、アンナちゃんに怒られてばかりじゃないか。顔馴染みの皆知ってる事だぞ?」
「えっ!?嘘でしょ?俺って皆にそんな風に見られてるの!俺だってちゃんと仕事してるよ!」
「しょうがねぇだろ。お前を見かける度にアンナちゃんに怒られてる所しか見ないんだから。」
顔馴染みの皆にそういう風に思われてる事にショックを受ける。
「もういいから、早くエールとツマミ出して!」
「分かったよ。ちょっと待ってろ。」
両手でカウンターをバンバンと叩いて、お酒を催促した。
「折角気分が良かったのに、マスターのせいで気分が、がた落ちだよ!」
「ほらよ、エールとツマミの野菜炒めだ。お前がどう思われてるかなんて俺のせいじゃなくて、日頃の行いが悪いからだろうが!」
「お客にそんな事言っていいの?マスターがそんなんだから、お客が居ないんだよ!」
周りを見ると客はオットーの他には誰も居なかった。
「うるせぇ!こんな時間から客が多い訳ないだろ!お前みたいな奴が他にいるか!」
「マスターは口が悪いよね。だから、結婚出来ないんだよ。ぷはっ。この時間から飲むエールは堪らないね♪」
「結婚出来ないのは関係無いだろうが‼️昼間から飲みやがって、このダメ人間が!」
アンナを揶揄うのを自重している為、酒場のマスター揶揄うオットー。
夕方まで店で飲んでいると他の客が姿を表し始める。
「オットー、なんでお前が居るんだよ?衛兵はまだ仕事の時間だろう?」
「ヒック、俺のね、日頃の、ヒック、行いがいいからね。」
「おいおい、大丈夫か?何時から飲んでるんだよ?」
「昼から飲んでるよ~♪楽しいね♪」
そのまま机に倒れて酔い潰れるオットー。
「おい、マスターオットーが潰れたぞ!どうすんだ?」
「俺に聞くなよ。どうすりゃいいんだよ?」
常連客とマスターが悩んでいると。
「俺が連れていくよ。マスター。オットーとはちょっとした知り合いだからな。」
「いいのか?」
「あぁ、構わないさ。俺とオットーのお代はここに置いておくから。」
オットーに肩を貸して男が店を出ていくと同時に3人程一緒に出て行った。
「なぁ、マスター。オットーを連れて行った奴は大丈夫なのか?」
「知り合いだって言ってたからな。それに酔い潰れても、オットーの事だから、
大丈夫だろ。」
「それもそうだな。オットーだもんな。」
店の店主と常連客から、信用されてる事をオットーは知る由もなかった。
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