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勇者の監視を頼まれた俺。  作者: 東海さん
3/12

3

今回はアンナさんの視点でお送りしております。




 「っ!」


後頭部が痛み、目が醒めて周りを伺うと私を心配そうに見ている女性がいた。

声を掛けようとしたが私も女性も猿轡をされて声が出せない様にされていた。

体も動かそうとしてもロープで手を後ろに結ばれて、そのまま柱に縛られて思う様に動かせなかった。


(油断したわね。てっきり二人組だと思い込んでしまった。先輩は気づいてくれるだろうか?いや、あの人の事だ、私が居ないのを良いことにサボってる決まっている。)


何とかこの女性と脱出をしようとヒントがないか、辺りを見回しながら考える。

すると部屋に光が差して部屋が明るくなる。使われていない家屋の様でドアを開けて男二人が入ってくると埃が舞う。男の一人がドアの近くに何かを置く。


「うーーー!」

「何言ってるか、分からねぇよ。」

「猿轡外してやれ。」

「いいんですか?外して大声でも叫ばれたら不味くないですか?」

「いいんだよ。ドアの前に遮音結界を貼る魔道具を置いたからな。」


ドアの前を見ると、それらしき物が置いてあった。男が近付いて来て、私だけ猿轡を外す。


「貴方達は自分が何をしているのか、分かってるの!こんな事をして只じゃ済まないわよ!」

「勿論よく分かってるさ。だから、これが最後さ。この仕事が終わったらこの街から出てくからな。お嬢さん、変な正義感を出して失敗したな。くっくく。おい、行くぞ!あぁ、猿轡はもうしなくてもいいぞ?そっちの女のも外してやれ。どうせ外に聞こえないからな。」


女性の猿轡を外して、男二人は部屋から出ていく。


「うぅ、ご、めん…な……さい。わ、私のせいで。」


女性が泣きながら謝ってくるが彼女が悪いわけではない。


「気にしなくてもいいのよ、これが私の仕事なんだから。ねぇ、貴女はなんて名前なの?」

「わ、私は、リーフって、ぅぅ、言います。」

「そう、リーフ。良い名前じゃない。私はアンナよ。リーフ、私が絶対助けてあげるから。そんなに泣かないで?」

「でも、ここが何処か分からないし無理ですよ。」


助かる事を諦めてヤケクソに言うリーフ。


「リーフ。ヤケクソにならないで。それでは助かる者も助からないよ。」


リーフを宥めて、話をきいていくと私が気絶して連れ去られる時にリーフレットも気絶させられここまでの道は分からないそうだ。


リーフには逃げる時の為に体力を温存して貰い、私は柱でロープを擦って切ろうと試みていると男が一人入ってきたので作業を止めて男を睨む。


「へっ。睨んだって何にも出来ねぇだろ。」


男は笑いながら私達に近付いてくるとズボンのベルトを外し始める。


「これぐらいの役得があっても良いだろ。へッへへ。」

「止めなさい。リーフを離して。」

「いやぁー!離して!」

「どんなに叫んでも誰も来ねぇよ。それなら楽しいんだ方が良いぜ!」

(この屑が!腕は縛られて駄目だし、足も縛られてる。何とかしないと、リーフが。)


私が焦っているとドアが開き先程の男が入ってくる。

(今は一人でも無理なのに二人になるなんて。)


つい目を瞑ってしまうと何か倒れる音がしたので目を開けて見てみると後から来た男が先に入ってきた男を殴っていた。


「テメェ、大事な商品に何手を出そうとしてんだ!殺すぞ!」

「ぐふっ、あ、兄貴、か、勘弁してくれよ、に、二度としねぇから。」


殴られながら兄貴と呼ぶ男に泣きながら謝り続ける。


「次はねぇぞ!さっさと出てけ。」

「うぅ、わ、分かったよ。兄貴。」

「さてお嬢さん方怖がらせて悪かったな。うちの馬鹿のせいで怪我してねぇよな?」

「怪我の心配するなんて、どういう事かしら?」

「簡単な話さ。商品に傷がついたら、安くなってしまうだろ?なら、俺達は商品が傷付かない様にしないといけないのさ。」

「あら、残念ね。助けてくれるのかと思ったわ。」

「くっくくく、悪いな。変に期待をさせてしまって、もう少しの辛抱だ。もう少ししたら自由になれるかもな。」

「それは奴隷としてかしら?」

「お嬢さんは良く分かってるね。じゃあ、暫くは大人しくしててくれよ。まぁ、声を上げても外には聞こえないがな。」


男が出て行き、リーフを見ると声を殺して震えていた。可哀想に余程怖かったのだろう。男が戻って来る前に早くロープを切って逃げなければ。






ドアを開けて男が入って来た。


「待たせたな、準備が整ったんで迎えに来たぞ。」

「随分と早いわね。女は支度が長いのよ。出直して頂戴。」

「くっくく、本当に面白いな、お嬢さん。そうしてやりたいが此方も予定が詰まってるんでな。エスコートは任せてくれていいぞ?」


男3人が入ってきて、私とリーフを立たせようと近付いて来た時に。



コン、コン。


ドアをノックする音が響くと男達が振り向く。


「誰だ!」

「ひとーつ、人々に悪行三昧。ふたーつ、不細工な男達。みっつ、醜い男達を退治してくれる。正義仮面参上!」

「二つ目とみっつ目は一緒の意味の悪口だろうが!」

「あっ!本当だ。ごめん、ごめん。もう一回やり直すから待ってて。」


変な仮面を被った男が部屋を出ていこうとするのを呆然と見てしまった。

それは男達も一緒で仮面の男が部屋を出ようとした時に我に帰る。


「テメェ、ふざけてんじゃねぇぞ!」


兄貴と呼ばれていた男だけその場を動かず、他の二人が仮面の男に襲い掛かる。


「あれ?待っててって言ったのに、しょうがないな。」


仮面の男はやれやれと首を振り、向かってくる男達を交わしながら後頭部に一撃を入れて意識を断っていく。



「で、そちらの人はどうする?降参してくれるなら、嬉しいんだけど?」

「仮面さんよ、やるじゃねぇか。それだけの腕が在るならどうだ、一緒にやらねぇか?あんたが仲間になるなら、ここにいる女二人は好きにしてもらっても良いぜ?」

「えっ!?本当に!」


男の提案に心が動く仮面を見ると腹が立ってきた。


「ちょっと、仮面!助けに来たんじゃないの!何惑わされてるのよ!そんなの嘘に決まってるわ!」

「えっ!?嘘なの?」


私の言葉を聞き確認をする仮面。

(だから、何で確認すんのよ!早く助けなさいよ!)


「嘘じゃないぜ、本当だ。どうだ、良い話だろ。勿論報酬も山分けにするぞ!」

「う〰️ん。「何考え込んでるのよ!早く助けなさい!」て事みたいだから、諦めてよ。」


仮面は最後の一人の懐に潜り込み鳩尾を殴って気絶させる。


「大丈夫だった?今ロープを切るからね。」

「あ、ありがとう。助かったわ。この後、男達を連れて行くから手伝って。」


仮面に助力を頼んでいると私とリーフの縛っていたロープを切ってくれる。

私達は立ち上がって抱き合っていると仮面は男達を何処から出したか、分からないロープで縛り上げていく。


「あ、ありがとうございます。何かお礼でも」

「本当に助かったわ。ありがとう。」

「いいよ。気にしないで。そしてごめんね。…………………」


仮面が私達に謝って最後に何か喋っていたが聞こえなかった。

私達はそのまま意識が遠くなり、そこで記憶が切れる。





「アンナ、アンナ。起きて。」


体を揺すられ、段々と意識が覚醒していき、はっ!として体を揺する人物を殴る。


「ぐぇ!ひ、酷いよ、アンナ。只起こそうとしただけなのに。」


声を聞いて殴った人物を見るとオットー先輩が居た。


「あれ、先輩?何でここに?」

「それより先に何故、殴られたのかを聞きたいんだけど?」

「あっ!す、すみません。敵かと思いまして。それで先輩は何故ここに?」


先輩の話を聞くと、私が居なくなって私を探したが見つからなかったので、私が先に詰所に戻ったと思ったそうで、副長に怒られない様に慌てて詰所に戻ると私がまだ戻ってきてないので探しに来たそうだ。


「ごめんね、アンナ。一人でやらせて。」

「えっ!?何がですか?」

「何言ってるの?ここにいる男達を捕まえてロープで縛ったのはアンナでしょ?」

「ち、違いますよ。仮面の男に助けてくれたんです。」

「何処にその仮面の男が居るの?ここにはアンナとそこで寝ている。可愛いお嬢さんしか居ないよ。あぁ、後縛られてる男達だね。」


キョロキョロと周りを見渡す先輩。


「いや、本当に居たんです。ダサい仮面を着けた男が!」

「ぐっ!そんなダサい仮面を被った男が?」

「はい、どんなにセンスをしてるか、分からない程にダサかったです。ってどうしたんですか?先輩?」


何かダメージを受けた素振りを見せる。


「な、何でもないよ。それより応援を連れてくるから、ここは任せたよ。直ぐに戻って来るからね。」


先輩はそう言って詰所に戻って行った。暫くすると、副長と先輩、他数名が来て男達を連れていった。


「お手柄だな、アンナ。大したものだ。それに引き換えオットー、お前と言う奴は。」

「ま、待って副長、俺だってちゃんとやったんですよ?副長達を呼びに行ったじゃないですか。ねぇ、仕事してるでしょ?」

「ばっかもーん!そもそもお前がアンナとはぐれるからワルいんだろうが。」


副長が先輩を怒鳴り拳骨を落とす。


「ぐぉぉ、痛てぇー。」


あの仮面は何処に行ったんだろう。と考えるが副長に怒られる先輩を見ると思ってしまう。


(本当に情けないですよ、先輩。)





情けない先輩それがオットーです。


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