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ラスト・レジェンダ 剣と魔法と異世界転生  作者: 漬け物
第一章 冒険者の街フロル
3/22

ゴブリンとの死闘

  夜の森はモンスターが活発的に活動する。

基本冒険者は夜になれば火を焚いて魔獣除けをしながら夜を明かすものだ。


  俺はアンリと別れた後、山の奥へと走っていた、あたりは暗く、月明かりだけではとてもじゃないがまともに進めない。

しかし、多少のリスクを背負ってでも俺は明日の親父との戦いに備えてやらなくてはいけないことがあった。


  「これ以上進むと帰り道がわからなくなるな…」


  俺はある程度進むとそこで足を止めた。


  ここからは木の上に登って上から目的のモンスターを探す。


  俺は近くの木に登り耳を澄まし、目凝らして周りを観察する。


  「見えた…」


  目的のモンスターはすぐに見つかった。どうやら松明に火をつけて行動しているらしい。


  緑色の肌に醜悪な顔が特徴的な人型モンスター、ゴブリンだ。大きさは一メートルないくらいだろう。

  ゴブリンは基本的に6~10匹の群れで行動していて、ソロの冒険者は避けて通るべきモンスターである。

 

  「ここからじゃ数が確認できないな…もう少しだけ近づくか」


  俺は息を潜めて松明の光を目指して近づいた。


  数は珍しく5匹で3匹が木造りの棍棒(こんぼう)を持っている。

先頭の1匹が松明を持っていて、一番後ろには他のゴブリンよりふた回り体が大きく、石の斧を持っているゴブリンがいた、ゴブリンの亜種、ゴブリンリーダーだ。


  ゴブリンリーダーがいる群れに当たったか…


  ゴブリンはEランク、モンスターで単体だと山猪と並んで最弱モンスターに数えられる。しかし群れで行動するため山猪に比べるとかなりの危険があるモンスターだ。

  ゴブリンリーダーはEランクとDランクの間ぐらいの強さだ、Dランクモンスターに近いポテンシャルを持つモンスターである。ゴブリンリーダーの恐ろしいところは小ぶりの体からは想像もできない怪力の持ち主で、ごく稀に【スキル】を使える個体までいるのだ。


  アンリには後で謝らないとな…


  俺は今の自分がどこまでやれるか試さなきゃならないだ。

 

 作戦はゴブリンリーダーを一番最初に【ドライブ】を使って瞬殺する。

その後パニックになった群れを一体ずつ確実に仕留めて行く。


  よし…行くぞ!


 俺はギリギリの射程距離までバレないように息を殺して近づいて行く


  よし…射程距離まで後4メートル…3…2……1

  心臓の鼓動が早くなって行くのを感じる。

  後……少し…0!


 俺は全力で【スキル】を発動した。


【ドライブ】!!!!


  俺の足が全力で地を蹴りゴブリンリーダー目掛けて最速の剣を振る。


  しかし剣がゴブリンリーダーに届くことはなかった。


  ゴブリンリーダーと俺の間に躊躇(ちゅうちょ)なく1匹のゴブリンが割って入って来たのだ。


「っ!くそっ!」


  割って入って来たゴブリンは俺の剣によって胴体が両断され、即死した。


  それを合図に残りの3匹のゴブリンが俺に襲いかかって来た。


「ニ、ニンゲンッ!」


「ニンゲン!」


「ユ…ユルサナイ!」


  1対1なら負けることは無いが3対1だと圧倒的に不利だな。


  俺は村の方角に走り出した。


  「ゼッタイニ、ニガスナッ!」


  そんなゴブリンリーダーの声が聞こえて来た。


  俺が全力で走れば歩幅が圧倒的に俺が長いので追いつかれることはないが、俺は追いつかれるギリギリを走っていた。


  ゴブリンにも個体値があり、大体は同じ速さなのだが多少のスピードのズレがある。

  俺が走り出してから30秒ほどでゴブリンはバラバラになった。


  3匹の中の1匹が俺に後少しで追いつくところまで迫っているのを横目で確認する。


 そして射程距離に入ったのか、ゴブリンの一匹が飛びかかってきた。


  俺はその瞬間に急ブレーキし、飛びかかるゴブリンの軌道上に剣を振る。


  「グッギッ!」


  飛びかかった勢いを殺せないゴブリンはそのまま俺の剣に肩から両断された。


「よし!まずは1匹!」


  すぐに後ろにいたゴブリン2匹が追いついてきた。

  2匹とも俺を警戒しているようで4メートルほど距離を開けている。


  俺の剣の長さは約1.2メートル、腕の長さと合わせて踏み込みの距離を入れても射程距離は3メートルほどだろう。


  ゴブリン2匹は俺の間合いを把握した上でその距離を開けていた。


  【ドライブ】を使っても斬れるのは1匹ずつだ。1匹斬っている間にもう1匹に攻撃されるだろう。


  俺は深呼吸して【スキル】を発動した。


  【スラスター】!!


  スキルの発動と同時に俺が横に振るった剣は見事にゴブリン2匹の首をはねた。


  【片手剣スキル】【スラスター】は自身の魔力を消費することで一時的に剣の射程距離を伸ばす技だ。個人の魔力量に依存するが大体1〜3メートルほど射程距離を伸ばすことが可能だ。射程距離が伸びれば伸びるほど先端の斬れ味が増す【スキル】である。


  本来ならゴブリンの群れをソロで狩ることはしないのでかなりの功績と言えるだろう。

 本当ならこのまま無傷で村に帰りたいところだが…最後の一匹がなぁ…


  山の奥からゆっくりとゴブリンリーダーが近づいてくる音が聞こえる。


  さて、逃げるか…戦うか…


  本来ゴブリンリーダーはLv1の冒険者が倒せる相手ではない。この状態なら逃げるが吉だ……だが、ゴブリンリーダーを一人で倒せない男があの親父に一撃与えられるものか…


  俺は覚悟を決めてゴブリンリーダーに剣を構える。

 

  「ニゲナカッタノカ…」


 カタコトな言葉を発しながらゴブリンリーダーは森の奥から出てきた。


  「本当なら逃げるべきところなんだけどね、お前こどきに勝てないようじゃダメだと思ったんだよ」


  ゴブリンリーダーは醜悪な顔で不気味な笑顔を作った。


  「オモシロイ…ダガ…オマエハコロスゾ…」


  俺も自然と笑みをこぼしていた。


  「こっちのセリフだ、お前のお仲間と同じなりにしてやるぜ」


  相手の武器は石の斧2本、力は俺の数倍はあるだろう。

 スピードも勝てるかどうか…


  俺とゴブリンリーダーが同時に大地を蹴った。


  ゴブリンリーダーが力任せに斧を振るう。

  当たれば間違いなく死は間逃れない攻撃を俺は慎重に剣の上を滑らせさばいて行く。


  「グギィッ!」


  ゴブリンリーダーが雄叫びを上げ再び斧を振るう。


「っ!はっ!」


  俺も負けじとさばいて行くが、こちらからは攻める余裕がない。ゴブリンリーダーは未だに右腕だけで攻撃を仕掛けてくる。対して俺はゴブリンリーダーの重い一撃を両手で精一杯力を込めてやっとさばける状態だ。


  この調子じゃあ、長くは持たないっ!


  俺は全力で地を蹴って後退した。


  「ドウシタッ!イセイガイイノハ…クチダケカッ!」


  くそっ!余裕かよ!


  【ドライブ】!


  俺はゴブリンリーダーに向かって真っ直ぐ高速剣を振る。


  「チマヨッタカッ!」


  ゴブリンリーダーは俺の軌道上に全力で斧を横薙ぎに振る。斧が俺の胴に触れる間近、俺は足に力を入れた。


  【ドライブ】


 スキルの連続使用…


  ゴブリンリーダーの斧は空を切る。

 俺は連続で【スキル】を発動することでゴブリンリーダーの斧を回避し、真上に飛翔する。


  もらった!


  俺は高速剣をゴブリンリーダーの真上から放つ、しかし剣がゴブリンリーダーに届くことはなかった。


  「ナメルナァッ!」


  ゴブリンリーダーは空いている左手の斧を力任せに俺に目掛けて振るった。


  「っ!?」


  俺とゴブリンリーダーの間に鈍い金属音と一緒に火花が散る。


  ゴブリンリーダーの力任せの攻撃に身体を持ってかれ、そのまま勢い良く地面に激突する。


  「オシカッタナ…」


  ゴブリンリーダーは体勢をすぐに直し俺に向かって突っ込んでくる。


  やばい…このままじゃ…


  俺は歯を食いしばってなんとか体勢を立て直しゴブリンリーダーを迎え撃つ。


【スラスター】!!


  俺とゴブリンリーダーの距離は3メートルほどしか空いていない、この距離で【スラスター】を発動!ゴブリンリーダーの胸を目掛けて渾身の突きを放つ。


  「クッ!」


  ゴブリンリーダーは完全に避けられないと瞬時に判断し、致命傷を避けるように身を翻し、左腕に滑らすようにさばいた。


  ゴブリンリーダーの胸を狙った渾身の突きすら左腕に軽い傷を負わせる程度に収まった。


  「イマノモ、アブナカッタ」

 

  ゴブリンリーダーは血の滴る左腕を舐めながら笑っている。


  「随分と余裕じゃないか…」


  さて…この状況どうするか。


  守りに入ったら勝ち目はゼロだ。ここは相手が崩れるまで攻めるしかない。


  【ドライブ】!!


  今度は正面ではなく、山猪を倒したように脇を抜ける。


  「オソイゾッ!」


  俺が剣を振るうより早く眼前に石の斧が迫っていた。


  「なッ!?」


  【ドライブ】ッ!


  全力で真横に緊急回避を試みる。


  「っ!」


  激しい痛みが左腕に走り、大量の血が吹き出していた。

 とっさの緊急回避だったが、どうやら間に合わず石の斧が当たって左腕が少しえぐられたようだ。


  俺は歯を食いしばって全力で走り出した。


  このまま戦っていたら確実に死ぬ…ここは一旦退いて作戦を考える必要があるな。


  「ニガサナイ」


  俺が振り返るとゴブリンリーダーは腕を振りかぶっていた。


  まさか…


  俺はとっさにその場に伏せた。

  その直後、頭の上を石の斧が風を切りながら猛スピードで通過していった。


  危なかった…


  ゴブリンリーダーは圧倒的な力で石の斧を投擲(とうてき)してきたのだ。


  伏せていなかったら身体は上半身と下半身で別れていただろう。


  ゴブリンリーダーは未だに醜悪な顔で笑みを浮かべている。


「くそ、ムカつく顔しやがって…」


  負けるわけにはいかない…

 ここは覚悟を決めるか…


  俺はゴブリンリーダーの正面に立ち剣を構える。


  この一撃に全てを賭けるっ!


  【ドライブ】!!


  ゴブリンリーダーとの8メートルほどの距離を【スキル】で一気に3メートルまで縮める。

 この距離では剣は届かない…ここだっ!


 【スラスター】


  【ドライブ】と【スラスター】の合わせ技、今の俺が出せる最高最速の技はゴブリンリーダーを下から斬り上げた。


  「ハァァァアッ!」


  ゴブリンリーダーは大きく踏み込み、【スラスター】による拡張部分ではなく、俺の剣、本体に力任せな攻撃で迎え撃つ。


  鉄の剣と石の斧が再び激突する。


  辺りに激しい衝撃が響く、そして衝撃に耐えられなかった俺の剣の先端が宙を舞い、俺自身も3メートルほど後ろに吹き飛んだ。


  「ぐぅッ!!」


  「オワリダァ!」


  ゴブリンリーダーは俺の折れた剣を見て勝利を確信する。


  今…この瞬間っ!


  俺は体勢を崩しながらも身体に残された魔力と体力を一気に解き放つ!


  「はぁぁぁぁぁぁっ!!!」

  【スラスター】!!!!


  俺の折れた剣はゴブリンリーダーには届かない、その代わりに宙に舞った剣の先端を猛スピードで前方に押し出す。


  「ナ…ニッ!」


  勝利を確信していたゴブリンリーダーの喉元に折れた剣の先端が深々と刺さった。


  「ガ…ッハ…」


  ゴブリンリーダーは喉元から大量に血を吹き出しながら、力なく倒れ、もう起き上がることはなかった。




  「どうにか…勝った…」


  身体の体力と魔力が尽きたのか、俺はその場で倒れ込んだ。


  【スキル】は魔力と体力を消耗を微量ながら消費して発動する。連続での発動や同時に発動すると魔力と体力の消耗は格段に増えるため、Lv1の俺では耐えられなかったらしい。


  意識が遠のいていく…スキルを使いすぎた…


  近くから誰かの足音が聞こえた気がした。


  誰だろうか…ゴブリンの生き残りか?それとも俺を探しに来たアンリだろうか…考えているうちに俺は意識を失ったのだった。

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