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ラスト・レジェンダ 剣と魔法と異世界転生  作者: 漬け物
第一章 冒険者の街フロル
21/22

迷宮攻略 其の伍

色々忙しかった…ちゃんと更新します

 戦いは熾烈を極めてる。


 イディアさん、ジールさん、アタシはそれぞれゴブリンジェネラルと1対1で対峙している。


「どうした、人間!そんなものか?」


「っ!」


 ゴブリンジェネラルはスキルを使ってないのに、アタシとジールさんを圧倒している。

 どうやら、スキルを使用してるのはイディアさんが相手をしている個体みたい。


 スキル無しでも一人で相手をするには手に余る強さだよ、イディアさん!

 って弱音吐いてる暇はないよね!


「まだまだぁ!【チャージ】!」


 剣に魔力を纏わせ、攻撃力を増加させる、ゴブリンジェネラルとの膂力が違い過ぎて、エンチャントをしてやっと対等に打ち合えてるってところかな。


「ふっ!」


 ゴブリンジェネラルの攻撃は基本的には単調で、急所を目掛けて力一杯大剣を振り回している。

 一撃でもまともに当たれば即死の一撃に背筋を冷やしながら、何とか捌いていく。


 上段からの振り下ろしに合わせて大剣の側面を叩き軌道をズラし、すかさず攻撃に転じるがゴブリンジェネラルの薄皮を斬る程度でダメージはほぼ通ってない。


 やっぱ、さっきみたいに最大火力を急所に放つしか、勝ち筋はないかな…


「さて、そろそろ終わらせるか」


 ゴブリンジェネラルがそう言い放ち、瞬間地面が爆ぜ、腹部に強烈な衝撃が走る。


「ッーーーーー!?」


 何が起きたかは明白だ。あの超速のスキルを使われ、腹部を殴られたのだ。


「ぐはは、殴られて即死しないとは、なかなか頑丈じゃないか!」


「かっ……」


 あまりの衝撃で呼吸ができない。


 ゴブリンは攻撃の手を緩めることなく、大剣を振り下ろす。


 まだダメージの回復は終わていない…あ、これ、し…


「なんだ!?」


 大剣がアタシの首を刈り取る直前、ゴブリン目掛けてナイフが放たれ、寸前のところでゴブリンが大きく後退し、命拾いをした。

 イディアさんが放った投げナイフにどうやら救われたみたい。


「アンリちゃん!奴らのスキルは強力だが、無敵じゃない、むしろスキルの発動した瞬間がねらい目だ!」


「え?」


 イディアさんは一言いうとすぐにゴブリンジェネラルに向かっていった。


 スキルを発動した瞬間がねらい目?あのスキルを使われたら今のアタシじゃ成すすべないよ…


「さぁ、続きだ!」


 ゴブリンジェネラルが大剣を振り上げ突進してくる。

 迎え撃つため、足に力を籠める。


「【ドライブ】!」


「鬱陶しい!」


 剣と剣がぶつかり合い、火花が飛ぶ。

 ドライブで速度と重さを足してもやっぱり力負けしちゃう…


「軽い!軽い!」


「っ!?」


 弾き飛ばされ、数メートル距離が空く…この距離…もう一度超速のスキルが来る!


「今度こそ終わりだ!」


 再び地面がえぐれ、ゴブリンジェネラルが超速でこちらに向かってくる。今度は拳ではなく、大剣にその速度を乗せて…


 剣で受ける?躱す?受け流す?どうする?どうする?どうする?考えろ、考えろ、考えろ。

「スキルの発動が狙い目」…イディアさんが言っていたことを思い出せ…

 ……

 …………

 ………………

 …刹那の瞬間、アタシは迎撃を選択する…


「【スラスター】」


 剣の先端を拡張し、ゴブリンジェネラルが突っ込んで来るであろう軌道上に攻撃を()()


「なぁっ!?」


 ゴブリンジェネラルはその超速度で自ら拡張された剣に貫かれた。

 拡張した剣先はゴブリンジェネラルの喉元を貫き、その動きを止める。


「ぐ…は…」


「はぁはぁ…なるほど、確かにスキルの発動が一番の狙い目だね!」


 残すゴブリンジェネラルは2体、イディアさんは心配ないからジールさんの援護に行かなきゃ!


 ジールさんはゴブリンジェネラルと互角な戦いをしていた、2人ともいたるところに傷がある。でもお互い決め切れてないみたい。


 ジールさんの大剣とゴブリンジェネラルの大剣がぶつかり合い、お互い後方に飛び退く。


「なかなかやるな!人間!」


「うるせぇよ…てめぇらは必ず殺す」


「ふふふ、弱いものは淘汰されるのがこの世界の心理であろう?貴様の仲間は弱いから死んだのだ!」


「うるせぇぇぇっ!」


 ジールさんは大剣を赤く輝かせ、ゴブリンジェネラルに向かって疾走する。

 そしてゴブリンジェネラルがニヤリと笑うのが見えた。


「いけない!ジールさん!多分そいつがス…」


 スキル持ち、そう言い切るより先にゴブリンジェネラルの姿がぶれた。

 無防備に突っ込んでいるジールさんへの超速カウンター、攻撃モーションに入っているジールさんには防ぐ術はない!


 させない!今ならまだ間に合うはず、アタシは声を出すのと同時にすでにスラスターとドライブを発動させ、攻撃を開始している。


 さっきと同じで攻撃を当てるのではなく、進路に攻撃を置く!それなら間に合うはず!


 ゴブリンジェネラルの大剣がジールさんの命を刈り取る寸での所で、何とかゴブリンジェネラルの進路に剣を置くことに成功する。


「ぐっ!?」


 ゴブリンジェネラルは体を捻り、アタシの刃を躱そうとするが大剣を持った右腕が宙を舞った。


「サンキュー、アンリちゃん」


 ジールさんは攻撃モーションを止めていない、その攻撃は無防備なゴブリンジェネラルに叩き込まれる。無防備なゴブリンジェネラルは当然その攻撃を避けることも防御することもできず、血の海に沈んだ。


 残りは1体…イディアさんの方を見るともう最後の止めを刺すところだった。

 ゴブリンジェネラルは手首と足首が深く切り裂かれ、力なくその場にうずくまっている。

 スキルを使わせない為に足首と手首を斬っちゃたんだ…やっぱりイディアさんは凄い!


「これで何とか、終わったぁ」


「お疲れ、アンリちゃん、ジール」


「おう…」


 戦いには勝ったけど雰囲気は暗い、それもそうだよね…ガットさん…ミィちゃん…2人も死なせちゃった…


「アンリちゃん、そんな暗い顔しないでくれ、俺たちは冒険者だ。死は覚悟してたさ…ガットもミィもな…」


 ジールさんは2人の亡骸を弔い、それぞれの遺品をバックにしまった。


「待たせたな2人とも、ダンジョンコアを回収してさっさと帰ろう」とジールさんが言うと後ろから騒がしい声が響く。


「おうおうおう!どうやらタイミングばっちりみたいだな!ちょうどボスを倒したところか?」


 声の方に振り返ると最下層の階段前にゴルド達がいた。


「今更なんだ?ダンジョンコアでも欲しくなったか?」


「そんな目で見んなよなぁ、おめぇらが疲れてると思って帰りの援護をしてやろうと思ってるだけよ、宝は山ほど集めたからな、今更ダンジョンコアなんていらねぇよ」


「ふん、どうだかな…」


 あのゴルド達がそんなことしてくれる訳ないし、きっと何かろくでもないこと企んでるに違いないよ!


「いいじゃねぇかジール、どうせ戦ったって俺たちに勝てるわけもねぇ。ここは言葉に甘えて帰りは楽させてもらおうぜ」


「イディアさんが言うなら…分かった。悪いが帰りは頼む」


「任せとけって」とゴルドが胡散臭く返事をしたのと同時に迷宮(ダンジョン)内が()()()


「え!?地震?」


「なんだ?」


 揺れはだんだんと激しくなっていく…


 なんかわからないけど、すごく嫌な予感がする……


 揺れは激しさを増す……そして…


「全員上の階層に避難しろ!()()()()()()()!」


 イディアさんの声が響く、でももう遅い…壁が地面が天井がうねり、形を変え始める。

 自分の周りに壁が生まれ、自分が立っている場所も猛スピードで移動しているのがわかる。

 気が付けば周りに誰もいなくなっていた。


 分からないことだらけだけど、一つだけわかることがある。


 ここは迷宮内、周りに仲間は居らず、ただ暗闇だけがそこにはある。


「シュン…」



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ゴルドはあの場にいる人間で唯一状況を理解できた。


 彼は最も入口近くにいたため、なんとか地殻変動に巻き込まれなかったのだ。


「まじかよ…迷宮がたった今生まれたのか?それも元のダンジョンコアを取り込んで…」


 ゴルドは分かってしまった。

 先ほどまでいた最下層は新たな迷宮の第一層に取り込まれ、その場にいた人間は広大な一層に散り散りにされたのだ。


「助けを呼ばないと…」


 ゴルドという人間は姑息で醜悪な人間だ。だが腐っても冒険者、金と酒と女に溺れても仲間だけは大切にしていた。ジールたちへ出口までの護衛に名乗りを上げたのも、不測の事態が起きた際にイディア達に対処してもらうためだ。あくまで仲間の為に…


 幸運なことにゴルドはマッピング済みの地図を持っていた。

 そこからはただ無我夢中で迷宮の出口を目指して疾走する。


 途中何体かゴブリンと出くわしたが、異常なほど迷宮内は静かだ。


 そして半日かけてゴルドは迷宮を抜け出し、ギルドへと駆け込む、そして…


「だ、迷宮(ダンジョン)に、()()()()()()!」


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