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ラスト・レジェンダ 剣と魔法と異世界転生  作者: 漬け物
第一章 冒険者の街フロル
18/22

迷宮攻略 其のニ

はい!三日連続投稿!

 

 迷宮の3階層目に入ってすぐに違和感を覚えた……雰囲気?空気?暗さが増したから?原因はわからないけど、凄く嫌な感じ……


「アンリちゃん、大丈夫か?」


 イディアさんがアタシの様子に気づいたのか声をかけてくれた。


「大丈夫だけど……なんか嫌な感じが…」


「3層に入って魔力濃度が上がったからかもな」


「魔力濃度?」


「ああ、迷宮内のコアに近づけば近づくほど、魔力濃度は増して、モンスターも凶暴になるんだ、その影響かも」


なるほど!イディアさんは物凄い物知りだなぁ

それにモンスターも強くなっていくんだね……


「それじゃあ今まで以上に気をつけなきゃね!」


「お、おう?まぁ何か他に気がついたら事があったら言ってくれ、迷宮内では些細な気づきが命を救う事もある」


「はーい!」


「ふふふ、アンリちゃんは元気があって凄いわねぇ、迷宮探索なんてパーティみんな疲れが出て、次第に口数が減っていくものよ?」


「そうなの?でもアタシも疲れてるよ?」


「疲れてても元気なのが凄いのよ?」


 疲れてて元気?ミィちゃんの言ってる事がイマイチよくわからないなぁ。


 そういえば……ここまで来るのにゴブリン達と何度も戦闘を繰り返したけど、ミィちゃんが魔法を使ったのは数えるほどしか無い、イディアさんが言うには魔法使いは魔力が生命線になるから、なるべく節約するみたい。


 そんなミィちゃんだけど3層に入ってからは大忙しだ!マッピング?っていうのを3層に入ってからずっとしてる。


「ミィちゃん、それって進んだ道を書いてるの?」


「ん?進んだ道も書いてるけど、私は魔力探知で周辺の分かれ道もわかるから、いっぱい書いてるのよ?」


「魔力探知?初めて聞いたかも」


「魔力探知は魔法使いのスキルで自分の魔力を周囲に張り巡らせて、地形の確認やモンスターの探知を行うことができるの」


「凄いね!あれ?でもイディアさんは魔力をなるべく節約させるって言ってたけど、これだとすぐに魔力尽きちゃうんじゃ無い?」


「戦闘で魔法を使うのとは違うから、そんなに消耗はしないわ、それに今回は優秀な索敵がいるからスキルを使うのはマッピングの時だけよ」


「そうなんだ!」


 魔力探知か~アタシも半分魔法使いみたいなものだし、アタシにも出来るかな……帰ったらティアちゃんに教えてもらおう!


「お!どうやら追いついたみたいだな……」


 イディアさんが向いてる方を見てみると見知った五人組が見えてきた。


「よう、ゴルド……調子はどうだ?」


 ジールさんが声をかけて、こっちに気づいたおじさん達が近寄ってきた。


「おう!ジールじゃねぇか!それから……あ?お前らなんで、こいつらと一緒なんだ?あの生意気なガキとエルフのねぇちゃんが見当たらんが……」


「ああ、シュンとティアちゃんは迷宮攻略前のクエストで消耗してたんでな、今回は外させてもらった」


「へぇ、大方初めての迷宮にブルっちまったんじゃないのか?ぎゃははは!」


 耳障りな笑い声が迷宮内に響く……


 こいつ……またシュンを馬鹿に……!


「おうおう、睨むなよ!べっぴんちゃん!軽いジョークだ、流石の俺たちも迷宮内でいざこざは起こさねぇよ」と飄々とした態度で両手を前に突き出す。


「悪いがアンリちゃん抑えてくれ、迷宮内で仲間同士のいざこざはご法度なんだ」


 本当に腹が立つけど、今回はジールさんに迷惑が掛かっちゃうし、抑えなきゃ……アタシって怒りっぽいのかな?


「それでゴルド、4階層の階段は見つかったか?」


「ああ、見つけたぜ、ボルギ教えてやんな!」


 ギルドで絡んできた時のおじさんが前に出てきた。

 あの時とは違って今回は特に何もせず、ミィちゃんにマップを見せている。

 あんな人でもマッピングできるんだなぁ……


「てか、見つけたのに進んでないってことは、この辺の宝を取りつくすつもりか?」


「おうとも!久しぶりの迷宮だからな、稼げるときに稼がなきゃな、ボスとコアの魔石はお前らに譲ってやるよ!俺らはだいぶ稼がせてもらってるからな」


 おじさんたちの一行を見ると5人中2人のポーチがパンパンに膨れ上がってた、あれ全部お宝なの?


「そうかい、それじゃあ俺たちは先に行くからな、マップはサンキューな」


「おう!せいぜい俺らのためにボスを倒してくれよ!ぎゃははは」


 普通にしてればいいのに!なんであんな鼻につく言い方するのかなぁ!


 アタシたちはおじさんたちと別れて奥へと進む。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

―フロルギルド前―


「と、とりあえずティア!人が集まり過ぎてる!ここを離れよう!」


「え?そうですか?」


「え?そうですか?」じゃない!この人だかりが見えんのか!


 俺はとりあえずティアの手を引いてこの場を離れる。

 俺がティアの手を握った瞬間に色んな奴から「死ね」だの「殺す」だの聞こえてきたが気のせいってことにしておこう。


 何とか人だかりを抜け、いったん落ち着く……


「ふぅ……」


「アマノさん?」とティアの大きな瞳が近づく。


「、え?な、なに?」


 アカン、いきなり可愛い顔が近づいてビックリした。


「あの……いつまで手を繋いでいるんですか?」


「うぉ!ごめん!」


 ぱっと手を放す、ティアの手スベスベしてたな……いかんいかん!完全に変態ムーブになってる!


「それで?どうなんです?」


「ん?どうとは?」


「だから、似合ってますか?こういう格好はしないので、おかしなところがあったら言ってくださいね?」


「あ、ああ、似合ってるよ……でもなんで急にそんなオシャレを?」


 聞くとティアは、はにかみながら「デートだからに決まってるじゃないですか」と言った。


 ……詐欺だ……ティアってこんな可愛かったか?


「さて、そろそろ行きましょうか、まずは商店区で少し遅いですが、朝食を取りましょう」


 確かに腹が減ってきたな……いや、緊張であんまり減ってないかも……


「とりあえず行くか……」


「はい、あ!その前に……」


「ん?なんだ?」


「私も皆さんみたいに……シュンって呼んでもいいですか?仲間ですし……アマノさんだと距離がありますし……」と恥ずかしそうに上目使いで言ってきた。


「ああ、もちろんいいよ」


 俺の返事を聞くと、ぱぁっと明るい表情で「ありがとうございます、さぁ!行きましょう、シュン!」と手を引かれた。……そして俺の何かが壊れた……



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ー東の迷宮4階層ー


「はぁ!【ドライブ】!」


「【俊足】」


 アタシとイディアさんのスキルが疾走し、ゴブリンソルジャーに襲い掛かる。

 襲い掛かってきたのは向こうだけどね!


 今アタシたちは10匹のゴブリンと戦闘中だ。


 ゴブリンソルジャーが6体、ゴブリンソーサラーが3体、ゴブリンリーダーが1体。

 ゴブリンリーダーがいるからかこの群れは統率の取れた行動を見せる。一番厄介なのは後ろで魔法を放ってくるソーサラーだ。


「ガットはミィの援護!近づくソルジャーはスキルで確実に仕留めろ!ミィは後方のソーサラーを攻撃!アンリとイディアさんはソルジャーを一掃してくれ!俺はリーダーを仕留める!」


 ジールさんの指揮によりそれぞれ行動をする。


 これだけの数だし!出し惜しみしてらんないよね!


「【チャージ】」


【魔法戦士スキルLv1】【チャージ】

 自身の魔力を武器に宿し、攻撃力を増加させる。


「やぁ!!」


 正面の木でできた盾を構えてるソルジャーに斬りかかる、ソルジャーは盾を構えていたけど、盾ごと胴を切断した。


「あれ?」


 そして不思議とその切口から炎が立ち上った。


「な、なんで!?」


「アンリちゃん!よそ見しない!」


 いけない、いけない、今は驚いてる場合じゃない!


 アタシは次の標的目掛けて疾走する。


「やぁあああ!」


 ……


 …………


 ………………


 戦闘はジールさんがリーダーを倒したとこで、ゴブリンたちの統率が乱れ、決着はすぐについた。


「ねぇねぇイディアさん!アタシの【チャージ】のスキルって炎なんて出るっけ?」


「うーん、おそらくアンリちゃんの剣には元々炎属性が付与されてるんじゃないか?アンリちゃんの魔力に反応してさっきみたいな現象が起きたんじゃないか?」


「そうですね、確かに私の魔力探知にも、その剣からかすかに炎の魔力の気配がしますね」


「だってさ、アンリちゃん」


「そっかぁ」


 シュンのおじさんからもらった大切な剣、本当にすごいものくれたんだなぁ大切にしなくっちゃ!


「よし!だいぶ進んだし、そろそろ第5階層につく頃だろう、ボス戦が近い!みんな気を引き締めてくれ!」


「はーい!」

「了解」

「おう」

「おーけー」


 アタシ達は更に奥へと進む……


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ーフロル商店区―


「これおいしいですね!シュンもどうですか?」


「ああ、いただくよ」


 差し出されたパンをヒトかじり……美味、い?あんまり味しないかも……


「シュンのも一口くださいよ!」


「ああ、いいよ、……はい」


 今度はティアが俺のパンを美味しそうに頬張る……


「おいひいですね」


 うん、なんだ……これ、今アンリたちが迷宮で頑張ってるのに俺だけこんな思いしていいのかな……


「さて、食べ終わりましたし、次はどこ行きましょうか……」


 やべぇ、なんか気が付いたら食事終わってた……前世で特に女性の絡みが無かったわけじゃないが、流石にこんな美人な子とはデートしたことないからな……アンリも美人だけど、あいつは兄妹感が強くてそんな雰囲気にならないしな……


 よし、落ち着け……いつも通り接するだ……俺ならできる……


「ティア、ちょっと寄りたいところあるんだけどいいか?」


 よし!いつもの調子が出てきたぞ!


「どこに行くんですか?」


「この前、防具を見繕って貰った防具屋があってさ、そこにちょっと顔出したいんだ」


「いいですね!私も防具を新調したいと思っていたので」


「それじゃあ行こうか」


「はい!」とまたもやナチュラルに手を繋いできた……


 ……


 …………


 ……………………


「あの……」


「ん?どうしたんですか、シュン」


「この手を繋ぐのちょっと恥ずかし、か、も」


 やべぇ言ってて逆に恥ずかしくなってきた……


「そもそも、なんか今日のティアいつもと違くね?どうしたんだ?」


 あんまりこういうのは言っちゃいけないんだろうけど、このままじゃパーティとして微妙な雰囲気になりかねん……


「ああ、なるほどです」と急にティアが何かを思い出したような表情をする。


「そういえばなんでデートをしようとしたか言い忘れてました」


 そういえばすべてが急で、そもそもなんでか聞いてなかったな。


「これはお礼なんです」


「お礼?」


「はい、この間のクエスト、シュンが庇ってくれてなかったら私は死んでました……それに運よくスキルが発動して一命は取り留めましたが、あれは確実に致命傷でした……命を捨ててまで助けてくれたのに、私は何もできてません、なのでせめてものお礼です」


 なるほど、そういうことか……


「そっか、ありがとな、でも命を救われたのは俺の方だよ、最後のティアの魔法がなければ俺は死んでたし、スキルが発動したのもティアがいたからだ……」


 S級冒険者のシリウスが魔法が無ければ負けていたと言うのだから本当にあの魔法がなければ俺は死んでいたのだろう、そしてマルクが言うには俺のユニークスキルは強い想いによって力を発揮する。あの時ティアがいなければスキルは発動してなかっただろう。


「ま!お互い様ってことで、そんなにサービスしなくていいよ!いつも通り普通にしようぜ!」


「シュンがそういうならいいですけど……わかりました、それじゃあ、いつも通りにしましょう!」


「おう!」


 この可愛いティアを見れなくなるのは残念だが、今回は仕方がない……


「じゃあ、シュン!早く次の店行きますよ!」と満面の笑顔で俺の手を引く…………


 …………


 ……………………


 …………………………


 どこがいつも通り!?


話は同時進行してますが、時間は迷宮組の方が圧倒的に進んでいます。


シュンとティアが朝食を取っているタイミングでアンリ達は迷宮に入っています。

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