迷宮攻略会議
お久しぶりです!!
最後に投降したの何年前かわかりませんが、仕事が落ち着いたので連載再開します!!
この話は腕慣らしのジャブ的な奴です。
この世界には迷宮と呼ばれるものが存在する。
この世界にある迷宮はほとんどが自然発生したものだ。
この世界には魔素や魔石といったものがある。地底奥深くに存在する特殊な魔石に長い年月魔素が貯め続けられ、魔素が限界値に達した時、地底で大爆発が起きる。
その大爆発と共に巨大な迷宮と無数のモンスターがこの世界に産み落とされる。
なぜ超高濃度の魔素を溜め込んだ魔石によって迷宮が作り出されるのかは未だ世界の謎に包まれている。
迷宮の最深部には迷宮の核となる魔石が存在する。その魔石からは常に濃度の高い魔素が漏れ出ていて、その影響を受け、迷宮の奥に進むにつれてモンスターは強くなっていく。迷宮では日々濃度の高い魔素によってモンスターが生まれている。それを放置し続けるとモンスターは迷宮だけではなく、地上にまで勢力を進め、最終的には多くの被害をもたらすだろう。
これを阻止するには迷宮を攻略し、最深部にある魔石を回収もしくは破壊しなければならない。
そして、その核を守護するように最深部には迷宮ボスモンスターが存在する。
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場所は酒場から変わり宿屋「精霊の宿り木」一階の4人掛けテーブルだ。
「迷宮攻略ですか…クエストの適正ランクはいくつなのですか?」
ティアは上品に紅茶の入ったティーカップを一口飲み、不安そうに尋ねる。
俺はジールから渡された【迷宮攻略】と書かれたクエスト依頼書をテーブルに置いた。
【迷宮攻略】
・推定危険度C級
・推定5階層以上
・攻略に当たっての人数無制限
・獲得した金銀財宝は獲得した者に一任
・迷宮完全攻略報酬、金貨100枚
一通り目を通すアンリとティアを横目にシュンは酒場でのことを思い出す。
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「どうだ?シュン、これほどの報酬は滅多にないぞ!今すぐ決めなくてもいい、2日後に迷宮攻略会議がある。それまでにやるかやらないかを教えてくれ!」
「ここにいる俺とイディアだけじゃ決めかねるから、明日あたりには返事をするよ」
「そうか…詳しいクエストの概要は攻略会議に…いい返事を待ってるぜ」
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回想終わり
という具合に話はトントン拍子で進んでいき、夕食の時間が近くなってきたので俺とイディアは店を後にし、宿でアンリとティアと合流し食事をしたのち、今に至る。
「迷宮攻略…それにこれほどの報酬…アマノさんはどう考えているのですか?」
「俺か?こんなに報酬が貰えるならこれだけでホームを買えるからな、正直やりたいよ……でも、パーティを組んだばかりの俺達じゃ、まだ迷宮は早い気がするな」
迷宮は未だに未知が多い、いくらイディアがいても危険だろう…
「3人はどうなんだ?このクエストやってみたいか?それとも今回はパスするか?」
シュンの言葉に最初に反応したのはイディアだ。
「パーティリーダーはお前だ、シュンがやるというなら俺はやることやるだけだ」
イディアは実力的にもだいぶ余裕があるからな、今回はどちらでもいいって感じだな。
「あたしはやってみたいかな!あたしにシュンに、ティアちゃんにイディアさんが居ればどんな怪物にだって負ける気しないよ!」
アンリはいつも通りで安心するな、しかしその自信はどこから出てくるんだ?
「皆さんがそういうなら、私も構いませんよ」
ティアもイディアと同じでどちらでもって感じか、アンリの性格上絶対「やりたい!」っていうと思っていたので予想通りってところかな。
「決まりだな!今回俺達はこの迷宮攻略に参加することとする!でも、もし自分や仲間の命が危ない時は身の安全を第一に考えてくれ、最悪失敗しても構わない、命があればまた次があるからな」
お!なんか今の俺かなりリーダーぽいぞ!
こうして俺たちの迷宮攻略参加が決定した。
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―攻略会議当日―
俺たち4人はギルド近くの酒場で攻略会議が始まるのを待っていた。
もちろんジール達も同じ場所で残りの参加パーティーが来るのを待っている。
「なぁ、ジール今回のクエストは何パーティで攻略するんだ?」
「今回は3パーティだ。本当は俺とシュン達だけで行く予定だったんだけどな。依頼主から急遽もう一つパーティを参加させたいってな…」
「それでその急遽参加が決定した奴らはまだ来ないのか?」
「ああ、全く一体どんな奴らなんだが…」
この様子だとジール達もまだ来ていないパーティが誰なのか、知らないみたいだな。
それから数分後、酒場の扉が開き、柄の悪い5人の男達が入ってきた。
そして、そいつらは見知った顔だった。
「なんでお前らが来るんだよ、確か名前は…ゴルドだっけ?」
「おお?誰かと思ったらあの時のガキじゃねぇか!また、エールをぶっかけられにきたか?」
ギャハハとムカつく笑い方しやがる…
「ふーん?こいつらがシュンとアンリちゃんに絡んできたやつらか…」
ピリッと張り詰めた空気が流れる。
イディアの奴…顔は笑ってんのに目が笑ってねぇよ…
なんなら絡まれた俺とアンリより殺気立ってやがる。
「ゴルド…まさかお前たちまで今回のクエストに参加希望とは…」
ジールもゴルド達5人を威圧するような態度をとっている。
大方ギルドのような揉め事を起こしてほしくないってところだろう。
「そう、殺気立つなよ、何もあの日の続きをしに来たわけじゃねぇ、俺たちも依頼を受けてここにきてるんだぜ?」
「ほう?だが今回のクエストは危険度C級だ、お前らはDランクだろう?」
確かに変だ、パーティーのランクが推定値に達していなければクエストは受けられないはずだ。
「そこは安心しな、つい昨日俺たちも-C級になったのさ!」
「……そうかよ、悪いがシュン、とりあえず今回はこいつらも含めて会議を行いたいと思うが、いいか?」
わざわざジールが気を使うことじゃないけどな…
「ああ、向こうから何かやってこない限りは俺らも手は出さねぇよ、進めてくれ」
アンリは少し不服そうな顔をしているが、今回は話が進まなくなるので抑えてもらおう。
ティアはイディアに「何かあったんですか?」とゴルド達の話を聞いている。
俺の言葉を受け、ジールが手を叩き「それじゃ!迷宮攻略会議を始める!」と言い会議がスタートした。
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まず初めにジールが今回の迷宮に出現するモンスター、わかっている分のマップ、ボスモンスターの詳細を説明を始めた。
「今回の迷宮は依頼書にも書いてあるように推定5階層だ」
迷宮の規模はおおよそ1、2階層の広さで見当がつけられる。階層が深いほど1、2階層も広くなり、モンスターも強力になっていく。
ジールは懐から3束の紙を取り出し、俺とゴルドに手渡した。
「そして、これは尖兵隊が記録した迷宮内の3階層までのマップだ、攻略当日までに読み込んでおくといい」
「ああ、ありがとう……ほい、イディア」
もらったマップをそのままイディアに手渡す。
「……」
「なんで俺に渡すんだよ…」
「なんでって、こういうのはイディア担当だろ?」
「しょうがねぇな」と言いながらも、しぶしぶマップを受け取っているところを見ると、やぶさかでもないらしい。
「さて、続けていいかな?」
「ああ、すまない、続けてくれ」
「よし、それでは今回の迷宮の生態系を伝える」
迷宮にはそれぞれ生態系があり、ゴブリン系や、魔獣、スケルトン、アンデットなど迷宮によって生息するモンスターが異なるのだ。
「今回はゴブリン系等が巣食う迷宮だ、主に確認されているモンスターはゴブリンリーダー、ゴブリンファイター、ゴブリンソルジャー、ゴブリンソーサラーの【ジョブ】待ちゴブリン達だ、いずれも個体値はE級から−D級と言ったところだ、しかし複数体で行動しているため群れの想定危険度はD級だ」
「ゴブリン系か…それなら迷宮ボスはゴブリンジェネラルか?」
イディアの言葉にジールが頷いた。
「ああ、迷宮ボスはゴブリンジェネラルと予想してる、ゴブリンジェネラルは-C級のモンスターだが、迷宮内の密閉空間と複数の配下を従えているという条件下で今回は危険度C級と言ったところだな」
「ここまでで何か聞きたい方はあるか?」
ジールの言葉にゴルドが反応した。
「へっ!生態系については特に何もねぇが、迷宮にはどの順番で入っていくんだ?もちろん俺らが1番だよな?」
迷宮内ではモンスターが多く生息し、狭い場所や広い場所と迷宮内の構造は複雑だ、その迷宮に複数のパーティが同時に入ってしまうと敵と味方が混雑し、事故やトラブルが発生してしまう。
そのため各パーティは時間差を空け、迷宮に入るのが常識だ。
そしてネックになってくるのがその迷宮内に入る順番だ…迷宮内で獲得した魔石や、アイテムなどは基本的には早いもの勝ちだ。そのため、どのパーティも最初に入りたがる。
「本来なら、俺たち最も高ランクパーティが先導し、後続のパーティは緊急事態の対応や、未探索箇所を攻略してもらうのが一般的だが…」
ジールは呆れたようにゴルドを見ている。
「別にいいじゃねぇか!!たまには下の奴らに譲れよなぁ!?」
「全く……俺は別に構わないが、シュン…お前達はどうだ?」
「俺らも別に構わないよ、好きにしたらいい」
最悪俺たちはクリア報酬さえもらえればそれで構わない
「それでは先発はゴルド達、【鬣犬の牙】次にシュン達、最後に俺ら【誇り高き戦士】だ、これでいいか?」
「せいぜい俺らのおこぼれが貰えるように祈るんだな、クソガキ」
「いちいち絡んで来んなよ、おっさん、お前らこそ死なないように気をつけるんだな」
お互い睨み合い、いつ剣を抜いてもおかしくない空気が流れる。
「それでは攻略会議はここまでとする、これ以上長引くとこないだの続きが始まっちまいそうだ…」
「それじゃあ俺たちは先に失礼するぜ!迷宮攻略用にアイテムをそろえなきゃいけねぇからな」
「またな、お嬢ちゃん、今度はちゃんと遊んでやるよぉ、あっひゃひゃひゃ」
ゴルドとボルギがそれぞれ俺とアンリに絡んで、店を出ていった。
「はぁぁぁ、我慢するの疲れたぁ」
「よく我慢したな、俺はてっきりギルドの時のようにまた机をぶった切るのかと思ったぞ」
……毎回そのネタ持ってくるのずるくない?イディアのやつ、家をぶった切ったのまだ根に持ってんのかよ。
「ねぇシュン!私もちゃんと我慢したよ?」
「いや、アンリは最後、絡まれたとき大分危なかっただろ、剣に手伸びてたし…」
「ええ!?そんなことないよ?ね!ティアちゃん!」
アンリからキラーパスを受けてティアが少し困惑しているように見える
「う、うーん、どうかしら…アマノさんもアンリもイディアさんも、彼らが口を開くたびに殺気立っていたように見えたけど…」
「「「いやいやいや」」」
「「「それはないって」」」
「……」
(私もしかしてとんでもないパーティに入っちゃったのかしら…)
その後、俺たちもジール達と話を煮詰め、店を後にした。
店を出た俺たちはそれぞれ、別行動をすることになった。
イディアは迷宮攻略用のアイテムを買いに町の西側の商店区へ、アンリは寄る場所があると言いどこかへ走り去ってしまった。
「二人ともどっか行っちまったし、2人で簡単なクエストでも受けるか?」
「そうですね、迷宮に挑むにしても資金とレベルアップは必要だと思いますし…いいですよ」
残された俺とティアはクエストを受注しにギルドへ向かった。
ギルドに着くとこないだと変わらない騒がしい音が俺らを出迎えた。
「おおっ!?こないだの新入りじゃねぇか!今日はエルフの美女を連れてくるとは、色男だねぇ」
こないだの騒ぎの場にいたギャラリーの一人に声をかけられた。
「ども、今日は別に騒ぎを起こしに来たわけじゃないから、からむなよ」
「はっはっは!そんなチンピラまがいのことすんのはゴルドの連中ぐらいだ!」
それを聞いて安心したよ。
俺とティアは騒いでる連中の横を抜け、クエストボードの前に立つ、ふむふむ…色んなクエストがあるんだな、ここに掲示されているクエストで最高ランクはBか、いつかは挑んでみたいな。
「どれがいいのかちっともわからん…ティアのほうは何か良いのあったか?」
ティアは掲示板に貼ってあるDランクの依頼書を俺に手渡した。
「なになに」
・危険度D級
・オーガの討伐
・討伐報酬金貨1枚
・東の森、野営跡地
「Dランクか、俺もティアもDランクだしちょうどいいかもな」
「一応【レベリングストーン】で更新してから行きましょう」
何かあった時のためにもレベルは高いに越したことはないか…
【レベリングストーン】に触れるのはこの町に来てから三度目になるな…ティアと一緒にトレント倒したり、ディアルタイガー倒したり、森で一人で狩りをしたりでそれなりにレベルは上がっていると思う。
騒がしい1、2階を過ぎて少し落ち着いた雰囲気の3階へ、ギルドの受付に依頼書を渡しクエストを受注した。ちなみに俺もティアもDランクなので問題なく受領された。
「さて!ティア先にどうぞ」
「別に後も先も変わらないでしょ、アマノさんもさっさと触れる!」
【レベリングストーン】に触れ、身体に電気を流される感覚を覚える……ステータスが更新された。
アマノ シュン 【剣士フェンサー】【Lv.15→20】
【体力】167→202
【力】167→180
【耐久】163→194
【敏捷】184→224
【魔力】85→91
【精神】93→100
【スキル】【片手剣Lv4→6】【剣士Lv1→2】
【魔法】
【ユニークスキル】【英雄の資格】
ティア 【魔法使いソーサラー】【Lv.18→19】
【体力】187→193
【力】120→124
【耐久】176→180
【敏捷】180→186
【魔力】276→294
【精神】242→254
【スキル】【魔導師Lv.1】【大杖Lv.2】
【魔法】【火魔法Lv.3】【水魔法Lv.2】【氷魔法Lv.2】【雷魔法Lv.2】【治癒魔法Lv.2】【支援魔法Lv.2】
「よし!!!アンリに勝った!!」
見よ!このステータスを!夜な夜な一人で狩りに出た甲斐があったぜ。
ティアのほうは1レベル上がっているが魔力と精神力の伸び幅がすごいな。
「それじゃあアマノさん、行きましょうか」
「ああ、一丁迷宮前の肩慣らしをしようか!」
危険度D級:目標【オーガ」の討伐
クエスト受注者:アマノ、ティア
古戦場やりながら、ちまちま書いとります。
なる早で次話投稿します。