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EP.2

朝日が眩しい春の朝。始業式の時刻が刻一刻と近づく今日、2020年4月6日午前8時2分。


俺の目の前には朝日を全反射して俺に黒髪の美しさを情報として伝えてくる光ファイバーのごとき女が立っている。


出るとこはでていて引っ込んでいるところは引っ込んでいる理想の体型。


…また大きくなってないか⁉︎

主にお胸のあたりが⁉︎


と心の中だけでセクハラギリギリの質問をするも、当然返答はない。顔を合わせていなかったのは春休み中の数日だけだったが、人間の進化はすごいぜ!!!



『秀くん、遅刻だよ!早く行かないと……ってどうして無言で家に戻るの⁉︎待ってよ!!』


無言で家に引き返そうとする俺のバックを物凄い力で掴む少女の名前は日向 燈。


ってこの娘の握力まじで何kgあるの⁉︎

華奢な体からは想像もつかない驚異の握力と引きつった笑顔の相乗効果でまじやばい。

誰か助けてぇぇぇぇえええええ!!!!!



『っていうか、何で日向さんが俺の家の前にいるんですか?一人で行けばいいじゃないですか!!』


恐怖のせいで声が裏返って変に大きな声になってしまう&動揺と緊張で思わず敬語になってしまった情けない高校2年生は俺です。


それに対して燈はさらに怒りを膨らませるかと思えば…


『え…あの……


ご、ごめんね…そうだよね…幼馴染だからって馴れ馴れしかったよね…


私はただ秀…富永くんと一緒に行きたかっただけなんだけど…勝手だったよねごめん。』


出た…燈ちゃんの十八番でたよ…

いつもは自分から引っ張っていくのに、相手が反抗するとすぐ弱気になってしまうのは彼女の幼少期からの変わらない癖だ。このギャップと優しさのおかげかクラスで燈に敵はいない。


しかもこれを天然でやっているからたちが悪い。それに彼女の類いまれなる容姿が重なり相乗効果でまじやばい。


『違うんだよ、怒ってたわけじゃないんだ…燈に会うのが久しぶりで緊張しちゃっただけだから。』


『本当に?』


俺の首の動きが音速を超える速さで動いている!!!!気がする、、


『よ、良かったぁ〜!嫌われちゃったのかと思ったよ〜!早く一緒に行こっ!!』


天使のような笑顔で頬を染めながらその台詞を言うのは反則だと思います。はい。

僕のような非リアプロフェッショナルじゃなければ確実に落ちていたでしょう。はい。


この天然のフレシアの小○魔め!

俺が落とし穴系で1番好きなのは狡猾な落とし穴でしたね。はい。


しかしこの娘のことを嫌いになれたらどれだけ楽だろう…


幼馴染・可愛い・性格良し

ふむふむ…素晴しい。完璧ではないか。ここが2次元ならば真っ先に攻略し始めるだろう。

だがしかし、


『最近、彼氏さんとはどうなの?上手くいってる?』


『え…あ…う、うん!いってるよー!』



これが現実である。可愛い女の子に彼氏がいないわけないのだ。これが円環の理。俺のソウルジェムは真っ黒です。


燈の彼氏は3年の種臣さんだったか。テニス部の部長で全校集会で表彰されていたのが記憶に新しい。顔はご想像の通りだ。


この話に食いつきが悪いのは燈が恥ずかしがり屋さんだからだろうか、、、

幼馴染でずっと隣に住んでいても、彼女についてわからないことは多い。


急に恋愛沙汰の話を出したことに怒っているのだろうか顔を赤くしながら彼女は言葉を続ける。

怒らせてしまったのは申し訳ないが話す事がない時はとりあえず恋愛話を振ればなんとかなると思ってる人は俺だけではないと信じたい。



『ひ、秀くんも早く彼女作りなよ…』


『無理だな。』


『顔はそんなに悪くないし、体格も良いし、なにより優しいし!!!』


『無理だな。』


『もぅ!!もっと自分に自信持ちなよ!!』


リアルが充実している人間に何を言われても心に響いてこない。それが初恋の人からならなおさらだ。



ーー俺がもっと早く告白していれば



そんなバカなことを考えながら歩いていたせいか、歩調は早くなってしまったようで遅刻せずに学校に着いていた。



校門をくぐると燈は何事もなかったのように俺の元を離れ、前にいた同じクラスの女子たちのグループに加わると楽しそうに先に行ってしまう。


冷たいとも取れるその態度が今の俺にとってはありがたいものに感じる。

とはいえ、クラスが同じだから数分後には再開することになるのだが。


貴重な

“幼馴染とイチャイチャ通学タイム☆”

を考え事のせいでテキトーに相槌をうつだけに終わらせてしまった自分が情けない。


俺が相槌マスターシンデレラガールズとしてデビューするのはそう遠くはないだろう。


フライ・ド・チキン!!!


富永秀吉高校2年生!!

好きな女の子には彼氏がいるけど、

いつも笑顔で頑張りますっ!!!





『……………はぁぁ……』


自然とため息が漏れてしまう。



学校だりゅぅいいいぃぃ…………。



俺の平凡な学校生活は、朝から憂鬱な気分というなんとも最悪のスタートで始まろうとしていた。背後からの視線に気づくことはなく………









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