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2EP.7,5

暗い部屋。

明かりのない殺風景な部屋に備え付けられた椅子に寄りかかる。ぎしっ、と軋んだ音を放つ椅子。まるで重いと言わんばかりの音を立てた椅子に苛立ちを隠せない。無機物にそんな感情を抱くほど自分の心はすさんでいた。


思えばあの日から全ては始まったのかもしれない。背もたれに顎を置き思い出す。昔を、あの日を、過去を、そして今を。

そして…ふと自分に余裕がないことに気づく。打ち付けるかのように動く早鐘の心臓は、言うことを聞かない。何気ない日常が侵されていく感覚…この感覚を自覚したのはいつからだろう。隣にあの人が引っ越してきてから、だろうか?それとも…。


思い出すのも無粋だった。

立ち上がりカーテンを開ける。きらめく星々は道を照らす…なんてロマンチックなことはなく。道を照らしているのはもちろん街灯。コンクリートジャングルではないこの田舎町ではあるけれど、夜を星々が照らすことはない。


そう。道を照らすのは星なんかじゃない。それは自分自身…なーんて、キャラじゃないかもしれない。


「うっ…ううっ…」


1人部屋で泣くなんて全くキャラじゃないけれど。1度出始めてしまったものは止められない。とめどなく溢れるその意識の範囲外にある行為に為すすべがない。


止まらない。

止まらない。

止まらない。


何度も拭った袖を濡らしている液体。人間が放出する液体は嫌悪されるものが多いなか、この液体は唯一"出す"ではなく"流す"と表現される。日本語とは不思議な言語であることを再確認。主語を省いても相手に内容が伝わる不思議な言語はどこまでも不思議だ。それを容易く使いこなしている日本人はもっと不思議だ。


なんて…そんなことでも考えてみないと涙は止まらない。流れる涙を止めれる言語は日本語だけかも…いや、どうだろう。断定できるのはこの世に存在する全ての言語を習得した人だけだ。


「ぐすっ…あれ?でも慰めることってどの言語でもできるじゃん…」


自問自答。

丁度結論が決まりかけたところで自分自身に論破されてしまった。やっぱり1人で考える行為には限界がある。人は誰にも頼らず生きていきたいのに、誰かに頼らなければ生きていけない最中にある。頼らず生きていきたい人間を頼らせて生きて行かせたいのもまた人間。


あれ?

必死に話を脱線させていたのにまた涙が出てきてしまった。哲学は専攻してないくせに無駄に考えてしまったせいで、脳が悲鳴をあげているのかもしれない。

違う。また思い出してしまったせいだ。

嫌な思い出は忘れよう、忘れよう、とするせいで余計に思い出されてしまう。だからって思い出を美化することなんてできない。それに起こった事実は決して変わらない。どんなに足掻いてもそれが変わることはあり得ない。身にしみて、骨身にまでしみていることだ。


強い人はここで前に進むのだろうか?

嫌な思い出なんて忘却して良い思い出を作ろうとするのだろうか?


自分はどちらだろうか。



考えれば考えるほど深みにはまり、時間が経てば経つほど袖のしみはその面積を大きくしていく。

この感情を上手く言葉に表すなら…

喜怒哀楽のどれか。喜んでいる自分もいれば怒っている自分もいる、哀しんでいる自分もいるし楽しんでいる自分までいた。目から溢れるこの液体の主成分は喜怒哀楽、こんな複雑な液体を目から出しているなんてさぞ目に悪影響に違いない。


ベランダに出て夜風にその身を晒す。都会よりはいくらか綺麗に見える星を何度目かまた見上げる。その光は滲み、歪む。何もかもが思い出させるのだ。景色の1つ1つが、言葉の1つ1つが。

いっそデータのように簡単に消えてしまえばいいのに、そんな風に考えたこともあった。でも、人の体はそんな便利にできてはいない。コンピューターじゃないのだ。機械じゃない。


ふと、下を見ると楽しげに話す男女が見える。仲の良さそうに歩くその姿はどこか微笑ましいものにも見えた。自分の届かない景色がそこにあったような気がして。

何かを掴もうと伸ばした手は、ただ空をきるだけで。


また、鼓動が早くなっていくのを感じる。未だ止まることを知らず、頬を伝う熱に込められたものは何か。喜怒哀楽か。それ以外の何かか。

今の、わた…しに、は…わか、ら、な…い。








お久しぶりです。蓮華。です。

投稿期間がかなり空いてしまい本当に申し訳ないです。なかなか時間を割くことができず、こうして期間が空いてしまった次第でございます。


では、短いながらも今回はこの辺りで失礼させていただきます。ここまで読んでくださった読者の皆様ありがとうございました!



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