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EP.8

どっこいしょういち☆


古いな!!

思わず自分で自分にツッコミを入れてしまった。

昼の恐怖体験を終えた俺は自分の席へ戻る。さっきまでの校舎裏とはうって変わって幼稚園かここは…

いや、今の小さい子達はもっと静かだな。

集団生活内における騒音に対する忍耐の訓練という日本国の学生の義務って辛すぎる。。。


静寂を愛し、静寂に愛された男にとってはジャスティスできない場所だ。

選択肢としては、、

その1、寝たフリ

その2、とりあえずケータイをいじる

その3、トイレで瞑想して賢者になる

その4、帰る


4は論外、3は意味深、そうなると1か2だな…

どっちも変わらないな、1でいこう。


BTフィールド…展開!!!(BTはぼっちの訳)

やることなくなったらとりあえず寝たふりするのはあるあるだよね!起きた時におでこが赤くなってて笑われた時の恥ずかしさは異常。


『ねぇ!』


無視だな。


『ねぇってば!』


無視無視。


『富永くん起きてよ!』


僕は今、宇宙と1つになっている。


『起きないと、耳にふぅ〜ってしちゃうぞ…』


甘い甘い甘い甘い甘い可愛い甘い!!


顔を少し上げると燈が前にいる。めっちゃ笑顔なのが腹立つ…


『ちょっといいかな?』


俺は周りを見回し、視線がないことを確認すると無言でいつも携帯しているメモに文字を書き書き、、、


“1階のトイレの前で”


『わかった、先に行ってるね!』


さすが燈さん話が早い。教室でこの2人が喋るのは目立ちすぎることをわかっていらっしゃる。


『まだ時間あるな…もうちょっとしたら行くか』


それにしても学校で話しかけるのはやめてほしいってあれだけ言ったのに。でも、それがちょっと嬉しかったりするからなぁ…自分が情けないぜ。


はぁぁー…

それにしてもあの娘の天然のフレシア性能は健在だな…

ふぅ〜ってしちゃうぞ、って言った後からずっと耳元で囁いていた燈さん。そんな状況で正気を保てるほど俺は女の子に慣れてない。ドキドキ、、、


体が熱い…クーラーつけようぜ…

まだ4月ですね、知ってた。。。



燈が教室を出てから3分ほどたったところで俺も動き出す。1階のトイレはあまり人が使わないため人目を気にしないで済む。ぼっちの隠された能力の1つ…人があまりいない場所をよく知ってるを発動。


階段を降りて進んで行くにつれて騒がしさが遠ざかって行く。


約束の場所で先に待っていた方は少しお怒りのご様子で、


『遅刻だよ〜!』


『時間までは決めてなかっただろ』


『あれー?そうだっけー?』


話にならんとはこのことか。

まぁしかし、ちょっとアホっぽい娘の方が可愛く見えるのもまた事実だしね、うん。まぁその…なんというか、このやり取りもグッとくるものがあるね!以上!!


『学校で話しかけてくるなんて何か大事な用事か?』


『うん…あのね…』


ここからは実況、富永秀吉でお送りしていきます!しばしお付き合いをお願いします。

第1コーナーには日向燈選手、

第2コーナーには童永貞吉選手です。

今回のレース、先に仕掛けたのは日向選手…童永選手を呼び出すことでレースの主導権を握ります。続く中盤で童永選手の精神状態を揺さぶり、勝ちが確定したかと思いきや…!終盤で再び童永選手への精神攻撃!!


これは童永選手も胸の高鳴りが抑えられないようだぁーー!!この告白フラグを見事にものにすることができれば童貞の勝利は確定します!!さぁ、勝負の時!童貞選手、攻める攻める攻める!!!


『な、なんだよ…?』


………ドキドキ♡(by秀吉)



『あのね、今日一緒に帰らない?』


……ん?


『へっ……?それだけ?』


なんとぉー!!普通に下校するだけだったぁーーー!!思わず童貞選手の声が裏返ってしまっています!


『うん、それだけ!久しぶりに帰ろうよ、一緒に!放課後ここで待ってるから!!』


日向さん、そのまま教室に戻った件。


さ、さぁ!気をとりなおして実況の最後を飾りましょう!

レース終盤での日向選手の独走は続き童永選手の敗北。童永選手の瞳からは血の涙が流れています。今回のレース、勝利したのは日向燈選手でした、最後までご視聴ありがとうございましたー。



『はぁっ…』


クソォォォォオオオオ!!!!

ちょっと期待しちゃったじゃねぇか!

一緒に帰るだけかよぉ…。

冴えない男子高校生からしたらこんなビックイベント3年に1度あるかないかだけど、相手が燈だと話は別。

朝、一緒に行くのと変わらん。

違うのは時間だけやん。

ちなみに俺たちの家の方の道を通って帰る人はほとんどいないから他人の目は気にならないよ!安心や…でも…


『はぁぁっ……。』


タメイキューレが止まらない。俺の心は絶対零度θだよ…



気を落としながら歩くこと数分、初期位置へ戻る。この後に授業とか嫌だな…


『どこ行ってたの?』


隣人からのノールックの質問は無視だな。


『誰と会っていたの?』


次の授業は古典か。


『誰と一緒に帰るの?』


怖い怖い怖い怖い怖い怖い。

もう聞かなくても知ってるんでしょ!怖いからこっちの顔を見ずに追求するのやめてくださいお願いしますぅ!!


『誰と会っていたのかは本当にわからないわ。さっきまでのは秀吉君の表情と態度からの推測よ』


フォローがフォローになってない!怖いことに変わりはない!!


『で、誰?』


『友達と帰るんだよ』


『あなたには友達なんていないでしょう』


『くっ…じゃあ言い方を変えるよ、知り合いと帰るんだ』


『それ、私も一緒に帰ってもいいかしら?』


それはどうなんだ?いいのか…いや、でも無許可なのは良くないしなぁ。うーん、、、


『悪いな…諦めてくれ、大事な用が…


『浮気?』


まず、付き合ってもいないというのは今言うべきことだよな…


『私にはもう飽きちゃったの?』


早くチャイム鳴って〜

この娘の追求ヤバイ〜顔が怖い〜


やっぱりこの娘どこかのネジ取れてない…?

機械だけに、、、


『面白くないわ、早く答えて!!』


黒子が大きな声を出したせいか視線が集まる。


『おぃ…ちょっと落ち着けよ』


『それはあなたがっ…!』


『どうしたー授業始まるぞー』


会話を遮るのは古典担当の教師だ。いつの間にか終了していた昼休みと同様にクラスに流れていた張り詰めた雰囲気は一瞬で終わる。


黒子ちゃんやっぱちょっとニガテかも…機械とか関係なしに黒子自身の人格に畏怖を感じる俺がいる。


その後、6時間目の授業が終わるまで黒子は話しかけてこなかった。

しかし授業終了のチャイムが鳴った瞬間、立ち上がって黒子の顔が俺の顔に近づく。



『今はあなたのことは許してあげる。

それにそのうちあなたの方から私を必要とするようになるわ…』


俺の耳元でそう囁くとまたあの笑顔だ。彼女とは違う黒々としたもの。笑顔に色なんて無いのはわかるが、黒く見えるのだ。俺の全てを飲み込もうとする黒い渦のように…

俺を覗き込む綺麗な青い瞳の奥が見えない。透き通っているように見えるのは気のせいではないはずなんだけど…


昼休みの時と同じシチュエーションでドキドキしているがその内容が完全に違う。


心臓が飛び出るほど早く動く。まるで心臓が握り潰されることから逃れたいかのように。この胸の高鳴りは“警鐘”だ、危険だ…危険だ…と全身に注意を送りこんでいる。


恋人の浮気を許すのがいい女の条件よね、と言い残すと彼女は教室を去る。



『はぁっ…怖っ』

こんなの初めてだ。誰かと話し終わった後に心から安堵を感じるなんて。


しばらく放心状態になってしまったため気づかなかったが、いつの間にか教室に残っている生徒の数がかなり減っている。約束通りなら燈も既に下にいるのだろう。


『行くか…』

体と精神の疲労は2日間学校へ行っただけのものとはとても思えない。足重っ…


『大丈夫…?春日さんと何かあったの?』


予想通り先に待っていた燈は開口一番心配そうに聞いてくる。


『えーっと…まぁとりあえず続きは帰らながらでいいか?』



そこから少しの間は2人とも無言で玄関へ向かい靴を履き替え校門を出る。門をくぐったタイミングで俺の方から口を開けた。


『告白断ったことを根に持ってるみたいなんだ…しばらくすれば落ち着くと思うんだけど』


『そっか…』


『知ってたのか?俺が告白されたこと、』


『直接は聞いてないけど、2人の様子見てればそんな感じなのかなぁ〜って予想はついたよ!断っていたのは知らなかったけどね、』


『まぁ、ちょっと大変かもだけどさ!なんかあったら私に相談してよね!!』


『あぁ、頼むよ』


『え…う、うん!!!』


どうしたんだろ、謎の間があったけど…

聞いてみようとすると、


『秀くんが、そんな風に言ってくれるの珍しいね…』


『そうかな…?』


『そうだよー!秀くんは昔から…


その後、話は昔の話へと移っていく。

初めて保育園で出会った時、

小学校で隣の席になった時、

中学の修学旅行の時に夜に2人でこっそりとアイスを食べに行ったことなど、昔話に花が咲く。


ゆっくりと夕陽が照らす中、2人の思い出をなぞっていく。やすらかに流れる時間はとても温かく目の前で笑顔を見せる女の子への好意の気持ちを実感させられてしまう。


俺なんかが不釣り合いなのはわかってる。でも…初めてあった時からの気持ちは今も変わらないから…


もっと一緒にいたい、この子と一緒にもっと同じ時間を共有していたい。クラスメイトや他人の目なんて無視して学校でも話したい。高校生にしては大きな考えかもしれないけど好きなんだから仕方ない。


最初から無理なのはわかってる。燈には彼氏がいる、俺とは腐れ縁のようなものだってことも。それでも…どんなにクズでも気持ちを伝える権利はあるはずだ…


『でさー、私が秀くんに昔あげた…


『日向燈さん!!』


『は、はい!どうしたの急に⁉︎』


玉砕覚悟玉砕覚悟玉砕覚悟玉砕覚悟玉砕覚悟玉砕覚悟玉砕覚悟玉砕覚悟玉砕覚悟玉砕覚悟


小さく一呼吸した後、俺は気持ちを伝える。


『は、初めて会った時からあなたのことが好きでした!!えっと、付き合ってほしいとかじゃ全然なくて気持ちを…じゃなくて気持ちだけでも伝えさせてください!!』


もう自分でも何を言ってるのかわからないがなんとか言葉を絞り出す。緊張と恥ずかしさで頭がどうにかなってしまいそうだ…。


『え』


それに対する燈さんの返答は『え』のみ。


『………』


そこから生まれる沈黙。あたりに人の気配がないことがより静寂を強調する。ここからどうすれば…


気持ちを吐き出してからずっと下を向いていた俺は初めて彼女の顔を見る。

その目には涙が溜まっていた。

泣くほど嫌だったのだろうか…

さすがにそれだと立ち直れないんですが…



『………嬉しいっ…』


『え』


『私も……ずっと…ずっと好きだったから…同じ気持ちだったことが嬉しくて…嬉しくて…』


手で流れる涙を拭きながら、掠れた声で途切れ途切れに返事の言葉を紡ぐ彼女。


こ、これはまさかの事態。

えーっとここからどうすればっ…何か、何か言わないと、、、


『か、彼氏はいるんじゃないの⁉︎』


『いるわけないじゃん!!バカっ!!』


バカバカバカバカーー!!、と言いながらまた泣き始めしまう。俺が泣きたいこの状況。



彼女がやっと泣き止んでから事の真実を知ることに、、、


『秀くん1年のときに神津さんと付き合ってる噂流れたじゃん…あれにムカついて私も誰かと付き合ってやるー!って冗談を友達に言ったら種臣さん紹介されて、1度会っただけなのに付き合った事にされてて噂が広まっちゃったんだよ!!!』


簡潔に述べてくれてありがとう。つまり、噂の手の平で踊らされていたと、、、


『秀くんその話完全に信じちゃうし!!それで嘘だって言っても信じてくれないし!!』


あの時は燈が俺に気を使ってくれてると思ってたんだよ…


『だいたい、すごくアピールしてたんだから普通気がつくでしょ!!鈍感主人公を気取ってんじゃないよぉ!!』


『いや、まぁ実際に何度か俺のこと好きなんじゃねって思ったけど…本当の気持ちなんてわからないし…』


でも、実際に疑惑は会った。始業式の日にイチャついていたカップル、あれの男の方が種臣だったのだ。燈以外にも女がいたのかクソ野郎ってクズの憤慨をしたのを覚えている。


『そのことを直接、燈に聞くなんてデリカシーがないにも程があるだろ!』


『聞けよっ!!!』


『聞けるか!!燈を傷つけると思ったんだよ!!』


『そ、そうだったんだ…ありがと、気遣ってくれて』


『お、おぅ。』


俺と燈の顔が赤く見えるのはきっと夕陽のせいだろうって言おうとしたけど既に日が沈んでしまっているため、ただ単に2人とも照れているだけだったと言おう。


『ねぇ』


『な、何だよ?』


『私のこと好きなのに付き合ってくれないの?』


『いや…それは…えっと』


この娘、俺の告白よく覚えてるな。あんな訳のわからない内容だったのに…


『私は付き合いたいよ』


さっきまでとは違う真剣な口調と瞳を向けてくる。


『俺なんかで…』


『「俺なんかでいいのか?」は禁止。あれって今更聞くことでもない言葉ランキング1位だよ』


言葉の先を読まれてしまった。燈ちゃんは見聞色を鍛えて未来が見えているご様子。


それよりも、こういうところは男がビシッとしなきゃいけところだろう。1人のオタクである前に俺は1人の男だ…


『お、俺と付き合ってほしい。燈とずっと一緒にいたい』


『うん!』


万遍の笑みを浮かべ抱きついてくる女の子。頭をグリグリと俺の胸に擦り付けてくるあざとさがまた可愛い。

こんな可愛い生き物が存在していいのか…

っていうかめっちゃいい匂い!いろいろヤバイ!この状況!


その後は燈が手を繋いで離さなかったのでそのまま手を繋ぎながら家の前まで。


『明日も一緒に行こうね!!』


『そうだな』


そういって俺たちは向かい合う。

俺は目を閉じて燈に顔を近づけ口を、、、

っていない⁉︎

燈は自分の家の玄関のドアからひょっこり顔を出し笑っていた。


恋愛童貞丸出しで恥ずかしすぎる。まぁ扉閉まる前に手を振ってくれたからいいや!可愛かったから許しちゃう!可愛いは正義だもんね!!


そのまま俺も自宅の扉も開ける。


『ただいまぁ〜〜!!!』


『おかえりーって顔キモッ!!なんでお兄ちゃんそんなに笑顔なの⁉︎変だよ…』


『いやー、人生とは素晴らしいものだな、妹よ!!!』


『は?』


先に帰っていた妹のつれない態度が今日は気にならないぜ!俺の世界がモノクロから七色を取り戻したんだ!はっはっはっは!


上機嫌のまま夕食、シャワーを済ました俺は自室のベッドに飛び込む。


ずっと好きだった女の子に告白したら実は両想いだったとか、なにこのギャルゲー…これはヒット間違いなしだな、ガハハ!


明日からのことを考えると嫌でも顔がにやけてしまう。

これからはもっと堂々としよう。他人の視線なんて糞食らえだ。クラス連中の目を気にして何も行動できない俺はもういないぜ!!


非リアの同士たちには申し訳ないが、俺は今日からリア充として転生させてもらう!


時刻は21:47分、明らかにいつもよりも早寝だ。毛布をかけて枕に頭を落とす。

夢オチとかやめろよまじで…

そんな冗談を頭の中で鼻で笑った後、興奮した脳を休ませるように俺は眠りについた。




バックの中でスマホの着信音が鳴っていたことにも気づかずに…




意識覚醒!目覚めのいい朝だ!

なんか外が騒がしいな…

俺がリア充になったことを聞きつけたパパラッチか?人気者は朝から大変だぜ、


時刻は6:30、早寝をしたおかげかいつもよりも早起きだ。いつものように制服の袖に腕を通す。


『そういえば昨日、帰ってきてからスマホいじってなかったな…』


バックからケータイを取り出しスマホ片手に階段を降りる。


あれ?燈から着信来てる…


着信を確認したと同時に入ったリビングはいつもとは違う光景。


母は仕事着である黒のスーツを着ているが顔を両手で押さえ、小さく嗚咽を漏らしながらソファーに座っている。

美晴はパジャマ姿でテレビの前で放心状態、その瞳からは涙が落ちていた。


この家の住人全員が揃っているのに会話がなく、喋っているのは電源がついているテレビだけ。


自然と目が向いたテレビの報道。リポーターの後ろの景色はなぜか見たことがあった。見たことがあった理由はもちろん俺の家が映っていたからだ。


リポーターの言葉が俺の耳に届く。


『事件が起こったのは昨夜21:40分頃とみられております。』


おぃ


『第1発見者は近所に住む女子高生。』


なんで


『死体が発見されたのは被害者の家の前、事件現場は近所の公園とみられています。』


どうして


『凶器はまだ発見されていませんが、被害者は腹部を数回にわたり刺されていたもようです。』


あぁ…ぁぁ…あぁぁぁあああ…ぁぁ…あぁぁぁああああぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!




『被害者は 日向 燈さん16歳、近所の高校に通っていた高校2年生とみられています…』







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