小話1
窓のフチに座った私に、貴方はとても焦っていて、けど、焦ってるのを隠しながら話しかけるの。
「そこでなにしてるんだ」って。
「危ないからこっち来い」って。
行かないよ。
そっちに私の望む幸せは無いから。
つまらないな。
必死に話しかける貴方。
私を助けるためじゃないもんね。
貴方が私に興味無いの、知ってるよ。
都合のいい存在でしかないのも知ってる。
だからね、決めたの。
私が貴方のことを好きでいる間に、貴方が私のことを見ていてくれる間に、貴方の目の前で飛び降りてやろうって。
そしたら、一番記憶に残るでしょ?
最後に見たのが一番愛した人なら幸せじゃない。
「貴方に逢えて、私は幸せだよ」
さて、準備は出来た。
「ちょっとまてよ、」
ここからなら、運が良ければ即死。
運が悪ければ大怪我かな。
「大好きだよ」
目を見開いて、顔真っ青にして、私を見る貴方。
大丈夫。
すぐ終わるわ。
貴方の人形は壊れただけだよ。
修復不可能だから自己廃棄するだけ。
手間省けたからいいじゃない。
「また逢える日まで、さようなら」
そして私は飛び降りた。
周りの景色がゆっくりと動いてる、
窓から叫ぶ貴方。
なんでそんなに泣いてるの。
最期くらい、笑って欲しかったな。
そして私の意識は消えた……
さようなら、とても幸せな世界。
よろしく、死の世界。