夢and現実
あの人のようになりたい。あの人を振り向かせたい。そんな風に思うようになったのはいつからだろう?
これは憧れという感情。恋愛感情。はたまた夢なのか?オレが思うに、マイナスの感情ではないとは思う。
その時が来るまでは。
18才になったオレ。桐生護。今まではスポーツに汗を流し、それなりに恋愛もしてきた。長続きはしなかったが。
高校生活も残す所、あと1ヵ月。青春を噛み締めながら、一人廊下を歩いていると、前から走ってきたのは、幼なじみの松田拓郎。
「護~!オレようやく内定もらったよ!」
「マジでか?拓郎良かったじゃん!えーと、製薬会社だっけ?」
「それは落ちた!まぁカメラマンのアシスタントなんだけどさぁ、オレ昔からカメラ好きじゃん!」
テンションの高い拓郎。安定した職業につければいいといっていたが、
「なんだよ!てっきり製造業に行くと思ってた」
「やっぱりやりたい仕事をしたかったからさ、カメラいじるの好きだし、探したらたまたまね!」
嬉しそうに話す拓郎。
「で、護はやっぱりあれか?」
「。。。まぁな、あとはおやじ次第じゃね?」
「そうか、頑張れよ」
というと少し寂しそうに、いや、心配そうにして拓郎は職員室に用事があるから立ち去った、
オレもあと1ヵ月であの場所に!あの舞台に立つんだ!
護の眼は燃えていた
放課後、護はいつものように本屋で立ち読みして帰るのが日課だ。部活動でテニスをしていたが、地区大会1回戦で敗退。いわゆる弱小だ。引退してからは、ほぼ毎日放課後はフラフラして帰宅する。
だが、今日は何かが違う。そわそわしてならない。
その時、
「キキィー!!!」
黒塗りのベンツ。おいおいマジかよ?ざわつく周囲。
周りを見渡す若い衆。
「いた!」
3人が叫びながら…走ってくる!どうしたんだ?息をのむ店員。
「やっと見つけたぞー!ぼっちゃん大変です!」
「。。。。。。。。」
「護ぼっちゃん!!大変ですって!」
「。。。はぁ。。ここ本屋。とりあえず騒ぐな!出るぞ車だせ」
そう!護がなりたかったものそれはヤクザ。護は関東を中心とする桐生組五代目次期親分だったのだ。
それを知るものは幼なじみの拓郎のみ。なぜ拓郎のみが知っているかは後々分かるとして、今は話に戻りましょう。
「はぁ?親父が倒れた?おまえこの間まで、キャバクラで朝まで飲んでたってわらいながら話してじゃねぇか??」
「すいません。あれは親父がぼっちゃんにはそう伝えておけって言うもんで。。。」
「。。。。。どういう事だ、全部話せ」
護は知った。親父が病気だったことを。
1時間後、ようやく家に着いた。
「親父は!?」
あわてふためく護。
「こちらです。」
扉の向こうには病床の親父が。
「。。。おう、護帰ったか?元気だったか?」
よわよわしい声。
「親父大丈夫なのか、」
護は心配そうに見せて心の中では笑っていた!俺が桐生組五代目だ!!と。
「護、お前に言っておきたい事がある。。ゴホッゴホッ」
声が小さい。護は親父の口元に耳を傾けた。
「さぁ、早くいえ!お前が桐生組五代目だと!!」
護の心の声がそう叫んでいる!次の瞬間!!
「アパレル業界で働きなさい、」
「。。。え?」
ピーーーーーーーーーーーーーーーーー
「親父~!!!!」
続く。
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