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パンドラゲーム  作者: 香村 サキト
6/55

第1の試練-①-

すでに死んでいるのだから血はでないですけど想像してみるとグロテスクなシーンがあります。

ですが安心してください。文章力がまだアマなのでそこまでグロテスクとイメージできないかも知れません。(泣)

それでも苦手な方はお気をつけて。

城門の内部を進んでいると暗闇が更に深まっていくような気がしてくる。通路の先には炎の精霊が造り出した火の玉が通路に浮いているのにも関わらずにだ。

ふいに後ろを振り向いて見ると、炎の精霊から離れすぎているのか火の玉は既に何個かは消えていた。


先頭を歩く炎の精霊からはあまり離れないように急ごうとすると、慌ててしまい踏んではいけないものを踏んでしまいそうになる気がするのだ。こういう時こそ落ち着いて行動すべきなのだが、離れすぎて暗闇に残されるのは勘弁してほしいものだ。


そもそもここの通路の構造は単純な物で、上下左右全てに同じ色の同じ石で組み立てられているのだ。

そんな単純な構造だからこその弊害がある。

通路に入ってから500メートルは進んだのだろうか?方向感覚と距離感が既に狂いそうになっていた。


先頭の精霊は立ち止まっている。何やらゴーレムと話し合っているようだが、表情が穏やかではない。

今にも喧嘩が始まりそうな2人の後ろでは立ち止まって、わいわい、がやがやと集団がざわめいていた。


鏡は辺りを見渡して、集団の後ろにいた男に狙いを定めて近づいた。


「これはどういう状況なんだ?」

「ん?何だ今来たのか。なら分からなくって当たり前だよな」


男は先頭にいる炎の精霊を指差してペラペラと話始めた。のは良かったものの周囲が五月蝿くて話の内容を完全に聞き取ることはできなかった。


鏡は、炎の精霊とゴーレムを見ながら、耳を澄ませる。

集中していれば自然と話し声が聞こえてくるもので、その内容を聞いて「何だそんなことか」と呟いた。


その内容というものが


「迷路と言えば普通、右の壁に手を付けながら進むもんだろ!」

「左手の法則で左に行くのもありじゃないか!」


という内容なのだ。実にどうでもいい。

右だ、左だ、右だ、左だ、と精霊とゴーレムが不毛な言い合いをしているのだ。


止まっていた理由を知って鏡は少し、だが確実にイライラしていた。


(ビシッとどっちにいくか決めろよ)


荒れそうになる心のままに成り行きを見続ける(睨み付ける)。


(進んで行き止まりなら引き返せば良いじゃねぇかよ)


一秒でも早く現実に帰りたい鏡にとって、右か左のどっちを進もうが関係なかった。

それに、隣を歩く晴輝の表情は炎に照らされて赤になるのではなく青くなっているのだ。既に危険域に達している。


炎の精霊とゴーレムが主張すること数回。不意にビクッと何かを感じ取ったのか言い合いが止まり、2人の視線が集団に向けられる。


300人を少し上回るその集団は、3人が通るには狭く2人なら余裕で通れるような通路でははっきり言って邪魔でしかないのだ。


「よぉしお前ら、右の壁に手を付けながら進みたい奴は付いてこい」

「左手の法則で進みたい者は俺に付いてこい」


何かを感じ取ったのかいつの間にかに静まり返っていた集団。

精霊とゴーレムの声だけが通路に響き渡る。


結局のところ、通路の狭さで別れるという結果に落ち着くのは避けることのできないことだったのかもしれない。


「右と左どっちに行く?」


隣にいる晴輝は進む方向を決められないのか、それとも考えるほどの余裕が無いのかゲッソリとした表情と困ったような視線を向けてくる。

鏡は通路に視線を向ける。


右に進むと炎の精霊が道を照らす。

左に進むとゴーレムでお先真っ暗。


「絶対に右だな。晴輝には悪いが、こんな暗い道を、それも足下に罠があるかも知れないってのに、明かり無しで進むのは只の自殺行為だからな」


鏡の正直に思った言葉が静まり返っていた集団のあちらこちらから「確かに」という同意に近い言葉となって聞こえてくる。


忘れがちになりそうなのだが、炎の精霊がそこにいるからこそ今の通路が明るいのであって、決してゴーレムの力ではないのだ。それがいないと言うことはそれだけでこの暗闇を照らす光を失うということなのである。


そのざわめきは当然先頭にまで聞こえている。ゴーレムが鏡の言葉を予想していなかったのか「参ったな」と呟いているのが集団の後方にいる鏡にまで聞こえるのだから、集団に丸聞こえである。


それから少しの間が空き「少しは頑張ってみるか」とゴーレムが声を発した。

その言葉の後、何を頑張るのかゴーレムに視線を向ける。

ゴーレムは足を肩幅に開き、巨大な腕を胸元まで上げ、腕をクロスする。そして、訪れる数秒の沈黙。集中して貯めていた力を外に解き放つように、腕を振り下ろし気合いの込められた喝が通路に響き渡った。

次の瞬間ゴーレムの体がポワァっという感じに光を放ち始めた。


それは、精霊の炎よりは明るくはないものの、暗い通路を進む分には十分な明るさである。

ただ精霊と違うのは照らす範囲がゴーレムを中心にしている位な所だ。


「これでどうだ?」

「大丈夫だと思うが、まずその体でどうやって光ってんだよ」


精霊のツッコミにゴーレムは悩むことなく答える。


「黄金に輝くゴーレムをイメージしたんだよ」


それに対して精霊は怪訝な顔をして聞き返す。


「黄金のゴーレム?」


ゴーレムは動かない首で頷き、イメージ通りにいかなかったのを残念そうになりたかった姿を言葉にする。


「最初は黄金に輝く格好いいのをイメージしたんだが上手くいかなかったんだ」


ゴーレムの体でなければおそらく苦笑いを浮かべているであろう声。その声を聞いた鏡は考える。


この世界にいる人間は、頭の中でイメージした物を魔法のように使うことができる。

それは武器としてだったり、今のように暗闇を照らす光としてだったりと様々な方法がある。


イメージを元に生み出すことができるのだ。

つまりこの世界に来た自分にも当てはまることである。


(早い段階で自衛方法と試練攻略に役立ちそうなイメージ数種類のイメージトレーニングでもして、いつでも使えるようにしていた方がいいのではないか?)


訳も分からない世界で生きていくには少しでも安心できる力を持っていた方がいざというときに役に立つはず。だと思いたい。


隣を歩く晴輝に視線を向ける。

どう見積もっても格闘技やら武術を嗜むような体型をしていない。


「光はともかく、自分の身は自分で守れるようにイメージを固めておかないとな」

「え?何でだ?」

「良く考えてみろよ、いざって時に何もイメージできなかったら死んでしまうかもしれないだろ?今回のようにはなりたくもないが、先に進めずに立ち止まってしまったらそれこそ時間の無駄だろ」

「おー、それもそうだね、わかった何かイメージしてみる」


お互いに共通の目標を認識した鏡と晴輝。

2人は目標へのイメージを描く。


自分はいったいどんな能力が使えるのか。


武器は何をイメージすればいいのか。


この世界に来てから今までに見てきた他人のイメージは、魔法のようなものや肉体その物を炎や雷と言った元素になるもの。更には肉体の一部を、主に右腕を悪魔の腕にしたりと言ったものだ。


他人を参考にしようとして、ん?と喉に小骨が引っ掛かったような違和感に頭を傾げる。


それから数秒の時が過ぎ違和感の正体に気付いた。


「そう言えば数時間前にこの世界に来た筈なのに何で能力を使いこなせる奴が多いんだ?俺なんて何をイメージしたらいいのか悩みに悩みまくってるのに」


この世界に来てからまだ1日もたっていない段階で、鏡や晴輝は明確なイメージと言うものを今の今まで本気でイメージするという発想がそもそもあまりなかったのだ。

逆にこの世界に来て数分でイメージを具現化した人や町にいたオタクと思われる3人組。はたまた数時間の内に正確なイメージで肉体全体を変化させた目の前の精霊やゴーレムが異常なのかもしれない。


「とりあえずの目標はこの試練を出るまでに何か1つ出来るようになろう」


鏡の声に頷き行動に移る晴輝。

右腕を前に突き出して目を瞑り、体内に眠る力を右手にのみ収束させていく。収束された力が一本の柄を造りだすと、そこから直線上に反りながら伸びていき65センチ程度の長さで固定される。


その武器は本来黒と銀の色が特徴的なのだが晴輝の造り出したそれは赤と銀の色をした刀だった。


「できるのかよ」


言ったそばから行動を起こして一振りの刀をイメージして造り出した晴輝に苦笑するしかできない。


「イメージとか言うから案外難しそうに思えたけどやってみたら案外楽にできるもんだよ」


何でもないような感じに造り出した刀をマジマジと眺める晴輝。


「やっぱ本物とは若干違うな」


と呟く辺り元の世界では刀が好きだったのだろう。もちろん物騒な意味ではなく、男子という意味でだろう。


それからの晴輝の変化は劇的な物だった。集中していたからこそ周りが気にならなかったのか、急に顔色を悪くし、握っていた刀が煙になったかのように、霞んで消えていく。


その変化に心配してしまうが、今は晴輝の元に駆け付ける訳にはいかなかった。晴輝に出来て、自分に出来ないというのはいざと言うときに足を引っ張る行為に繋がるのだから。

同行者だからこそ、仲間だからこそ自分にも同じことが出来なければいけないのだ。


「そんなに簡単にできるなら俺にだって!」


晴輝を真似るように右手を突き出し体内に眠る力を収束させていく。収束された力が柄を造りだし、それを握りしめ、そこから直線上に刃を伸ばそうとした瞬間。

収束していた力が突然制御不能になり、右手の中に握りしめていた柄がまるで暴れ馬の如く勢いでぐにゃりぐにゃりと暴れまわる。右手の中の小さな嵐を押さえ込むことができるはずもなく、破裂し全方位に魔力が飛び散っていった。柄を握っていた右手は、破裂した段階で肘から先を失っている。


「あぁーっ腕がーーー!!俺の腕がぁぁぁぁ!!」


一瞬の内に失われた右腕。既に何が何だかわからないがズキズキと痛む肘を力強く、それも肉が引き裂けそうな力で押さえる。すでに肘から先は何もなくただ痛みを耐えるようにひたすら押さえ、体を丸くする。


どのくらい時間がたっただろうか。左手で押さえている部分から蠢くような感触が伝わってくる。

その感触は言ってしまえば不思議なもので、左手の隙間から虫が入ってきたとか手汗でむず痒くなったとかそんなレベルの感触ではなかった。


驚愕。蠢いているであろう何かを確認する為に退けた左手の覆っていた右肘。痛みの余りパニックに陥っているのか鏡の目にはそれが現実なのか幻覚なのか判断がつかない。


そんな蠢いていた何かの正体を視界にいれ、驚きと異様なものを見たことによる一瞬の思考停止。それを何と表現すれば良いのか、例えからいうと簡単に言えるが、人間である鏡には当てはまらない現象。


その正体は、少し前まで失っていたはずの右腕が、まるでトカゲの尻尾のようにちょっとずつだが早送りのように目に見えた早さで生えてきていたのだ。その再生速度は意外にも早く、だいたい30秒程度で元の腕と変わらない腕に生え変わっていた。


「鏡!大丈夫か!」


目の前には慌てたような表情と早口で叫ぶ晴輝の姿があった。

その慌てたように心配したり近くにいる人を呼びに行こうとして怪我人を置いていけないとでもいうのか立ち止まり、助けを求めるために叫んだりと兎に角忙しそうにわちゃわちゃしている。


「少しは落ち着けって、今は大丈夫だからさ」


そんな晴輝に生え変わった新しい腕を掲げて見せる。

その行動は本当にこの腕は自分の腕なのか?という確認のために掲げるという行動をとったのだ。グッパーグッパーと握ったり開いたりを繰り返すのは生えてきたのが未だに信じられないといったところからくるものだろう。


そんなこともあり、腕が一時でもなくなっていたのは幻だったのでは?と信じたいのだが腕の痛みは妙に生々しく残っているせいで現実に起こったことなのだと頭から離れない。


「本当に大丈夫なのか?」

「あぁ、それより先頭集団は?」


心配そうに顔を覗いてくる晴輝。痛みでパニックになりいつの間にかに倒れていたことに気付いた鏡は、立ち上がり辺りを見渡して困惑する。


すこし前までは300人を上回る結構な人数が通路を埋め尽くしていたのだが、いまやその面影はなく鏡と晴輝以外には1人も残っていなかったのだ。


「鏡の腕が破裂してなくなる前、だいたい僕が刀を造っていた頃には先頭が左右に別れてその後を自由に移動して行ってたよ」


晴輝の言葉に鏡は数分前の出来事を思い出そうとする。晴輝が刀を造り出したのが何分前かはわからないが、仮に5~10分ほど前だとする。

それから集団が歩いているとしたら、今から罠を気にしながら歩いたとしても追い付けるかどうか。

数分で追い付ける距離。しかし罠があるかもしれない通路では絶望的な距離だ。


今は2人しかいないのだ。罠で片方が死んだら孤独になる。それは一番避けたいことだ。


「鏡がイメージを固めるために集中をしていたから気付かなかったんじゃないか?」


晴輝はその時の鏡の表情を思い浮かべているのか、そんなことを言ってくる。


「最後の人がこの通路から左右に行ったのは何分前だ?」


鏡の言葉に「えっと」と数秒間で時間を計算する晴輝。


「確か僕達の付いていった集団が左右に別れ終わってから3分後に通路に入ってきた少年が最後だから2分前かな」


2分ということはつまり、途中参加の少年には運が良ければ追い付く可能性が十分にある。


「よっしゃ、腕が回復したことだし少年の曲がった道を行くぞ」

「大丈夫なのか?」

「心配無用!」


こうして回復(痛みを伴う)を果たした鏡は、晴輝の案内のもと右の通路に進むのであった。


-右ルート-


右に曲がってからだいたい5分は走っているのだろうか。罠を気にして歩いたところで罠がどれかも解らない。踏むときは踏むのだ。

なら、いっそのこと気にしないでガンガン進もうぜ的なことになり、結局気にせずに走っているのだが、いまだに鏡と晴輝は罠を起動してないし、2分先に右を曲がったという少年にも追い付けないでいた。


「本当に右に曲がったんだよな?」

「心配するのはわかるけど確かに右に曲がったんだよ」


走りながらも晴輝と話を続ける鏡。


2分という短い時間で少年がどんな移動手段を使ったのかは2人にはわからない。それでも、5分も走り続けているのだ。いい加減背中が見えてきても良いじゃないかと見えない事に不安を覚えてしまう。


そんな不安を抱いていた鏡は、足下に転がっていた物体に気付かずにそれを踏みつけてしまった。


突如として足が滑り体が空中に放り出される。空中で速度を殺すこともできずに、まるで坂の上からボールを転がすようにして、空中で2度3度と回転数を増しながら加速する。

それは、10メートル先の壁に激突するまで止まることがなかった。


「鏡、大丈夫か?」

「これが大丈夫に見えるのなら色々と心配になるんだが」


鏡の姿はというと、人間では間違いなく即死であろう潰れてはいけない部分がトマトのように潰れていた。


「失っても潰れても再生するからといって激痛だけが長く残るのはどうかと思うんだ」


ズキズキと響く頭のあった位置を押さえながら呻くように言葉を発する鏡。


「まぁ、鼻から上が完全に潰れているのに激痛がなかったらそれはそれでどうかと思うんだよ」


正論を告げる晴輝はビクビクと怯えるのではなく、ゆっくりとそれも歩くように鏡に近付いていく。


壁に激突した拍子に鼻から上が完全にぺしゃんこに潰れてしまった現在の鏡の姿は、時間と共に頭が再生していくとはいえ、髪も目も無い。言わば鼻と口だけ。それも口だけが喋るために動くというホラー映画に出てきそうな見た目となっているのだ。


普通の人が鏡のような姿をした人を見たのなら一発で胃の中の物をその場に撒き散らしていたことだろう。

しかし晴輝は吐かなかった。まぁこの世界でリバースすることができるのかは疑問に思えることなのだが。


「それに確認してみたんだけど鏡の頭の中には脳と呼ばれる物が見当たらないんだ」

「おいおい、そんなこと言ったら俺が何も考えていないバカな人に思われるじゃないか」


晴輝に言われた脳が無いという言葉はたぶん本当なんだろう。もちろんそれは鏡をバカにする発言でも、表現でも無いのは分かっていたのだが。


「比喩なんかじゃないよ。本当に存在しないんだよ」


晴輝が確認して分かったことは1つ。この世界にいる全ての人間には臓器がない。分かったところでどうにかなるわけでもないがこれで1つだけ分かったことがあるのもまた事実。


「それは本当なんだな」

「本当だよ、それに腕が破裂したり頭が潰れたりしたのに血が一滴も流れなかった時点で気づかなかったの?」

「それもそうだよな」


晴輝の言葉に少しだけ前の出来事を思い出してみると確かに血はでていなかったことを確認して認識する。


空っぽの肉体。それがこの世界にいる全ての人間に当てはまることだろう。どうやって手足を動かせているのか、どこで物を考えているのか。それは分からないから右に置いておこう。断じて考えるのが怖くなったとかそんな事ではないからな!


「まぁ、5分もペースを落とさずに走って息切れの1つも無い時点で身体スペックは元の体より格段に上なんだよな」


数時間前の鏡の体力ならば全速力で5分も走っていたのなら途中で息切れを発していただろうし足を止めることにもなっていただろう。しかし現在の鏡は力があり余っているのだ。


そのせいで全速力での足下不注意による何かを踏んだことによって10メートル程度の低空飛行をはたし曲がり角の壁に激突し頭頂損傷なる事故を起こしてしまったのだ。


「頭の傷も治ったようだし、そろそろ先に進むか?」

「ちょっと待ってくれ、戻って確認したいことがあるんだ」

「え?あぁ、わかったよ」


鏡の視線の先に納得したのか晴輝は頷くと来た道を2人は戻る。変わらない景色に距離感が失われてくるが足元を見ながら歩いていたために鏡が転けたと思われる場所まで戻ることに成功した。


そこに落ちていたのは1つの宝石だった。


「何でここにこれが落ちているんだ」


震える声を押さえながら地面に落ちている宝石を拾い上げ、それを眺める。それ単体で見ると宝石店に置いてありそうな綺麗な宝石。ただし、それは元の世界での話であり、この世界では別の意味をもつ。


それ単体を見るのはまだ先のことだと思っていた。それ(宝石)がここに落ちているということは、ここで誰かが魂を壊されて死んだということになるのだから。


「晴輝急ぐぞ!」

「で、でも」

「言いたいことは分かる。それでも入り口まで戻る時間は無いんだ」


晴輝の視線に何を言いたいのかを理解できる鏡にとって、残念ながら他にも落ちているかもしれない魂を拾いに入り口まで戻るという選択に使える時間がなかったのだ。


「走っているときに気付いたら拾っていく」

「わかったよ」


鏡の妥協したその言葉に同意を示した晴輝。

2人はこれ以上振り返ることもなく走り続けるのであった。

改稿前より文字数が増えたのに丁寧?&脱線?でストーリーの進行度が遅くなった気がする。

気のせいですかね?

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