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パンドラゲーム  作者: 香村 サキト
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あの後会話も無く、無言のまま歩いていた。

建物の入口から中に入り、迷路のような廊下をあっちにいったり、こっちにいったり、その最中に数々の扉を開いていく。


進めば進むほどその造りは複雑な物となり、帰り道がどっちなのかさえ分からなくなってきた。


真っ直ぐ進んでいた時、ふと後ろが気になり振り向くと、先程の道とは違う曲がり角が出来ていた。


頭の中が可笑しくなってくる。

真っ直ぐ進んだはずなのに振り返ってみるとそこは曲がり角になっていた。


右の角を曲がってから後ろを振り向くとそこには直線の道が何処までも続いていた。


それからどのくらい時間がたっただろうか?かれこれ数時間は歩いた気がしてならない。


何度目かの曲がり角を曲がるとそこには、今までの扉と見た目が違う扉があった。


造りからしたら何処にでもあるような木材の扉だ。

だがこの建物に入ってから見たのは、石の扉、硝子の扉などがほとんどだ。


隊長の2人が振り向いた。その顔には嬉しさと緊張が折り混ざったような表情だった。


「この部屋には、全ての部隊の始まりであり、このチームを創られた御方が居られる。失礼の無いようにするんだぞ」


突然訪れた無言。その中でここまでレッド・ボアの後ろをずっと歩いていた1人のチャライ男が凄くそわそわしていた。


(何なんだよこの空気は、気まずいたら無いっすよ。誰でも良いっすから喋ってくれれば少しは落ち着けるんっすけど.....てかこの後俺らどうなんっすか、チョー心配なんっすけど)


この扉の先には、ここまで巨大な部隊の根本を築いてきた人物であり、隊長達ですら恐れる強者でもある。


今まで部隊にいた俺達ですら隊長よりも強い存在を見たことが無いと言うのに、この扉の向こうにはそんな信じられない位の強者がいると言うのだ。


色々と不安になりキョロキョロと辺りを見渡しては落ち着きなく体を揺らしてしまう。


そして、少しの時間がたち、ついにレッド・ボアが恐る恐るといった感じにゆっくりと扉を開いた。


開かれた部屋の中に視線を向けると、本棚が部屋のほとんどを埋め尽くしていた。


部屋の奧にポツンと置かれた木製の机には黄緑の髪の毛が目立つ男が椅子に座って待っていた。


その横には、座る人物を守るように立っている人物がいた。


そして、2人の隊長は立っている男と座っている青年に順に視線を向けると、立っている男に声をかけた。


「ボス!失礼ですがこちらの方はどこの誰ですか?」


ボスと呼ばれる人物の口が開かれるよりも早く座っていた青年が声をだした。


「あぁ、紹介が遅れたな、俺の名はノトだ。ボスのご主人をしている者だ」

「はあ?」


この青年が何を言っているのか意味が分からなかった。

ご主人?なんだそれ?つまりボスはこの青年の執事だとでも言うのか?


頭をフルに回転させるが、この青年が言っていることを理解できる者はいない。


「まっいっか、理解しなくても今から理解すれば良いからさ」


青年は立ち上がるとこちらに近付いてきた。

その足取りは軽く伸ばされた手は危険だとは思えなかった。


「メモリー・リロード&ファンタスティック・ドリーム」


青年は、その場にいた全員の頭に同じ能力を連続で発動していった。


全員の記憶の中に「そう言えば、ノト様は表舞台に姿を表さないで、ボスに仕事を命じてましたね」と皆が昔のことを懐かしそうに思い出した。


「よし、久しぶりに儀式でもしようか」


ノトは満面の笑みを浮かべると1つの扉を開けた。


その部屋は、全体が真っ黒な色で染まっていて、天井からは銀色の鎖が垂れ下がっていた。


その天井から垂れ下がっている鎖を視線で辿っていくと、男なのか女なのかも分からない全身紫色の人型が部屋の中心で、手足を縛られて身動きが取れないでいた。


(何なんっすかあれ!魔獣見たいな獣は見たことあるっすけどあそこまで禍々しいのを見たこと無いっすよ)


ノトに対する忠誠の記憶を入れられただけで、見たことの無い化物を見せられて、震えだしてしまった。


(ノト様に殺されないっすよね?っていうかあれ?儀式って何でしたっけ?でもノト様のことだ俺っちが忘れているだけで昔も同じことをしたんだろうな)


忠誠を誓っているノト様に殺される想像を頭から振り払うためにまたキョロキョロと辺りを見渡した。


「それでは今から儀式を開始する。部屋の中心にいる者を囲むように座れ」


全員が言葉通りに動き始めた。紫色の男を中心に円形ができる。


それからノトは1人1人に能..力を発......動....し....た。


視界が真っ白に変わり、そのまま数人が気を失ってしまった。


-ノト視点-


「今の気分はどうだい?」

「グルゥジィ、ゴロジテグレ」

「苦しい?殺してくれ?お前が今まで何をして来たのか分かってて言ってんの?分かって言ってるんならもっと苦しめてやるよ、ただし殺しはしないけどね」


サディストな笑みを浮かべると、実験の成果を確認するように男の全身を観察した。


462人の子供たちの黒い感情と今つれてきてもらった46人の黒い感情を詰め込まれた目の前の男。


髪の毛は紫色になり、目は闇よりも暗くなっている。肌は紫のアザに全身を覆われて、アザには見えなくなっていた。


ノトの能力によって、暴走を封じているが、当の本人はストレスを発散することが出来ずに苦しんでいた。


508人の黒い感情が1人の精神を蝕み続けるのだ。

ノトの記憶操作が無ければとっくに壊れていただろう。

しかしだ、この男にとっては、壊れていた方が幸せだったのかも知れない。


508人の苦しみの声が、悲しみの声が、怒りの声が頭に響き離れない。

ズキズキと痛む頭を抑えながら男は動かせない体の変わりに涙を流した。

次回から改稿を優先にしますので、投稿ペースが遅くなります。

改稿で設定が、世界観が、必殺技の名前等が結構変わってしまうかも知れませんが、元から色々と不足していた作品です.....まぁ終わり次第活動報告をしていきますので文章の変わった物語を楽しんで貰えたらと思います。

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