表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パンドラゲーム  作者: 香村 サキト
49/55

049

「ノト様、ご所望の品々を集めて参りました」

「ご苦労であっ.....ってこんなにいたのか?」

「そうです、裏路地に倒れている者達を全て拾ってきました」


ノトの視界や地面の面積を埋め尽くすのは、目の中の光を失った少年少女達であった。

ここにいる子供達の全てが自分よりも体が大きくて、力が強い人達によって、襲われ、犯され、汚されて、心を失たのかと思うと流石のノトでも軽く殺意が湧いてくる。


寝かされている少女達の目の中を覗くと、無限と言って良いほどの無が広がっている。

他には、少年達に多くいるのだが、身体中に紫色のアザが浮かび上がり、肉体や精神を蝕んでいた。


アザが浮かぶ者の中には、抵抗しているのか苦しそうに小さな呻き声をあげる者や抵抗せずに体が侵食されていくのを無表情で待つ者もいた。


状態的に言えば最悪だ。

もしもこのままノトが子供達に何もせずに放置でもしてしまうと、災害を招きかねない。


何百人もの子供達の感情だ、その1人1人が受けた心の傷によって、怒りの感情が全員に芽生え始めるだろう。


もしもその少年が、殺すとまではいかないが相手にも同じ傷を負わせるか、それ以上の苦しみを望むとしたら?

もしもその少年が、相手に死ぬことを望むとしたら?

もしもその少年が、年上の人や身長の高い人そして、力の強い人。見た目が大人だと見なしたもの全ての人に、その感情をぶつけたりしたら?


何もしてない人からしたら理不尽なものだ、だが相手は子供だ、子供と言うものは何かに関連付ける生き物なのだ。


今回の場合だと、あの男が弱い者を殴るのが好きだったからこの男も弱い者を殴るのが好きなんだろう。とこんな感じの只の当て付けである。


そんな当て付けでも、感情によって、通常の10倍にまで能力が上がったらどうなる?


その感情の矛先はどこに向かう?勿論少年を殴った張本人に最初に向かうことだろ。

その本人を殺す時に起きる周りの被害は別に気にすることでは無い。それは運が無かったのだから。

でも終った後に先にも言ったような当て付けをしたら?


その矛先がもしも自分に向けられたらどうなる?

ノトは理解していた。もし矛先を向けられたりしたら、抵抗出来ずに殺される未来を.....だからノトはそうならないように行動するのだ。


心に負った傷はこの世界では災害にまで発展する。

それを知らないで好き勝手に行動する人が多いのが問題なのだ。


ノトは近くに寝ている少女の頬を触り次に手を握る。

反応が全く無いものだから、既に人形と差ほど変わらなかった。


ノトは女に視線を向けずに口を開いた。


「何人だ?」

「462人と思われます」

「多いな」

「捨ててきますか?」

「そんな選択は流石に無い」


ノトは頭の中で、これからの予定を組み立て始めた。

そして、ノトは命令した。


「ボスは、予定通りに魂の回収を頼む」

「かしこまりました」

「元ギャルは、紫色が全体的に濃い奴を俺の元まで運んでこい」

「分かりました」

「スキンヘッドは俺の近くで待機だ」

「イエス・サー」


ボスは、いつの間にかに巨大になったチームを仕切るために移動を開始した。

男を誘っていたギャルは、いまにも暴走しそうな子供達を治療するために、ノトの元まで運び始めた。

スキンヘッドは、直立不動の姿勢でノトの斜め後ろに立ち始めた。


そして、ノトは運ばれてきた子供に能力を発動すると、記憶の中でこの子供に暴力をふるった男の顔を、斜め後ろに立っていたスキンヘッドに送る。


「この男を今すぐに捕まえてこい」


命令を最後まで聞かずにスキンヘッドはどこかえと消えていった。


それから数秒がたった頃。

スキンヘッドが再び姿を表したのだが、その右手には、捕まえるように送った男の顔を、恐怖で少し歪めたような顔をしている。

その男は、両肩から下と股関節から下を切り落とされている状態で、スキンヘッドに襟首を掴まれていた。


両腕と両足を失ったある意味コケシのような見た目の男に、今から子供達の生け贄にすることに少しだけ哀れに思うがそれも犯してきた罪を考えると仕方の無いことだと頭から振り払う。


ノトは右手を少年の頭に軽く置くと、左手では、スキンヘッドに押さえられていて、全く動けない男の顔面にめり込むのでは?と心配になりそうなほどにアイアンクローで頭から危険な音を鳴らし始めた。


「それじゃあ今すぐ始めようか」


ノトは今から生け贄となる男に対して、ニヤリと一度だけ楽しそうに笑うと表情を戻して、両手で能力を発動するのであった。

悪役(?)として本作に登場することになったノトの話しは一旦終了します。

何か書いていたらネタバレに繋がりそうなので、ここで後書きは止めます。

次回からまた鏡視点に戻ります。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ