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パンドラゲーム  作者: 香村 サキト
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「パリン」と何かが割れるような音がしたかと思えば、ボスの新能力の一撃によって、横っ腹を抉られた人形が魔力を散らしながら消えていくところだった。


あの後もノトは十数体の人形を創造して、ボスの調整をしていた。必要ならば記憶を操作して、使えないはずの能力を植え付けたりもした。

人形と戦えば戦うほど、ボスの戦闘レベルが目に見えて良くなっていく。


「これぐらい強ければ大丈夫だよな?」


少しの安心感が芽生え始めたせいか表情が緩んでしまった。

緩んでしまった表情を元に戻そうとして、真面目な表情を作るがまたニヤニヤと緩んでしまう。


「駄目だ駄目だ駄目だ」


頭を振り、頬をパチパチと叩くと表情を整える。

にやけそうになる顔を表情筋の力で無理矢理抑え込もうとすると普段使わないからかぷるぷると筋肉が震えだした。


「駄目だ駄目だ今日は止めだ」


ノトは表情を元に戻すことを諦めて、ボスの調整を止めることにした。

理由からしたらこんな精神状態では折角調整したのにボスの能力の低下を招きそうだと理解しているからだ。


「ボスはこれからどうするんだ?」

「特にやることはありません」


マイクに向かって喋るノトと部屋の何処かについているだろうマイクがボスの声を拾いノトのいる部屋の左右からボスの声が流れて、聞こえてきた。


「ボスは魂の回収準備をしないで良いのか?」

「何をおっしゃるのですか?準備は今までノト様の観察の元おこなわれていたじゃないですか」

「あぁ確かにそうだな、ただな俺の為なら予定を全てすっぽかすとかボスが言うから勘違いをしただけだ」

「それは誠に申し訳ないことを言ってしまいました。切腹しましょうか?」

「そこまでしないで良い」


ボスが小刀を創りだしたことに驚きつつ、何の冗談のつもりだ!俺がボスを捕まえて記憶を弄るのにどれだけ苦労したと思ってるんだよ。

心の中で吐き捨てるように叫んだ。


「結局のところボスは暇なんだろ?」


ボスに問いかけて見ると頷くことで肯定された。


「今から町の方に行って、俺の作業を少しでも手伝ってくれるような人材を見繕ってくるから護衛件取り押さえ役としてついてきてくれ」

「かしこまりました」


ボスはたったの一言で了承してくれた。


-30分後-


見渡す限りの黒や灰色といった暗色の建物と遠くに見える汚れの全く無い真っ白な城。


見るからに力の強そうなガタイの良い巨体の男が道の真ん中を威張り散らしながら歩いている。


ここは喧騒が止まない町。そして、力が全ての無法地帯。


上空には数えきれない程の鴉が飛び交っていて、不気味に思うのだが肉を啄まれている人を見たことがないので、飾りだと思えばけっこう気楽になるというものだ。


この町は、この世界に来たばかりの人間にとっては、最初に通らなければいけない難関であり、無傷で次の町に行ける確率が100人に1人でもいれば良い方だろう。


実際に被害に合うのがどちらかと言えば、女に多いのは死ぬまでに1回も経験の無い男の未練なのか現実でも同じ様な生活をしていたのかはノトには分からない。


女の被害が多いからといっても男に被害が無いと言うわけでもない。

ストレス発散の為に理不尽な暴力をその身にうけるものや、まだ幼い少年を捕まえていったい何をする気なのかは知らないがそのように顔の良い少年を浚っていく女性も存在する。


こんな町で本当に人材を集めて良いものか悩むノトであったが、次の町に行けるような実力者を捕らえるのは時間的にも実力的にも難しいことなので、一番弱いこの町を抜け出せない者達を捕らえて強くする方が幾分か楽なのもまた事実。


この町の暴力の恐怖によって、身動きが出来なくなった者達を哀れに思うが、ノトもいつボスが消されるか分からない以上少しでも余裕を持ちたいものであった。

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