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パンドラゲーム  作者: 香村 サキト
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「ボォースゥー、終わっ...たぞ~」


ボスと呼ばれる男には、ノトの記憶の操作がどのような能力なのかは、適当に考えた設定みたいなのをボスの記憶に書き込まれているので、パワーアップなのかバージョンアップなのかは、記憶をいじられているボス本人にはイマイチ判断できないだろう。それでも終わったことは告げる。


それからノトは、手を真上に伸ばしてから背中を椅子にもたれさせることによって背中からポキポキポキという音を鳴らす。


関節を鳴らすことは、体にとって良くないことだと理解はしているのだが、ついつい癖で鳴らしてしまう。


「ふぅ~スッキリした」


関節を鳴らしたことによって、何となくだが疲れが飛んでいったような気がする。

そのまま机に突っ伏して、気楽な声でボスに問いかける。


「ボス~、気分はどうだい?」

「力が溢れてくるような気がします」

「そうかそうかそれは良かった」


成功したことにとりあえず安心はしたが現段階ではまだ完璧には分からないので、このあとはボスの新しい力の実験をしなければいけない。


「少し休憩したら発動実験をするけど時間あるよな?」

「ノト様のためならば他の予定などいくらでもすっぽかしてみせます」

「予定というのは俺に捧げる魂を回収するための準備だろ?」

「その通りでございます」


ボスの記憶を見たときに映されていた少年の能力を思い出した。

確かに影に潜るような能力をもった魂は手元に無いから欲しい。だけど、ボスの新しい能力が発動できるのかを確認しない状態では、影使いにぶつけたときもしもボスが苦戦するような相手ならば、ボスを失ってしまう。そうなってしまったら目もあてられない。


ボス1人を捕まえて、記憶を操作するのに結構な時間がかかったのに確認ミスでボスが能力を発動できずに死んでしまうなんて馬鹿げたことは絶対に起こさない。


机を「バン!」と叩く勢いを利用して、体を持ち上げる。

休憩時間は無くなるだろう。ボスに任している魂回収の予定もズレるだろうが少しなら別に構わない。


「変更だ、今すぐ発動実験を開始する。地下室に移動してくれ」

「かしこまりました」


ボスは立ち上がると後ろを振り向き歩きだした。

背中が完全に見えなくなるまで見つめてからため息を1つ吐いた。


「はぁ、能力は発動してるけど万能じゃないからな」


ノトは疲れた表情で今まで座っていた椅子をずらして、下にある窪みに手をいれる。


手に力を入れると地面がゆっくりと持ち上がる。

地面の下には、暗闇でどこまで続くのか目視では奥が見えない階段があった。


ノトは階段におりるとゆっくりと地面をもとの位置に戻した。

外の光が完全に入らなくなった地下通路は暗闇に支配される。


人差し指を立てて光のイメージを固め、呟いた。

「ファイアフライ」

ポッと指先に光が灯るが、その光は名前の通り蛍のように儚げに点滅を繰り返す。


ノトはコツコツと階段をおりて地下へ向かった。

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