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パンドラゲーム  作者: 香村 サキト
33/55

炎我編-終-

炎我編は終わりですが出番が無くなるわけではございません。

「今回の一番の収穫は竜を配下にできたことかな」


気楽な調子で戻ってきた幻龍の傍らには、頭を幻龍の体に擦り付けてくる竜がいた。


その竜は、先程の戦闘で龍人が呼び出した竜である。されど、幻龍の圧倒的な力により主人を葬られた今では幻龍の支配下となった。それも一般的な方法ではなく、幻龍の種族的な要因がいくらか含まれていたからこそ可能だったとも言える。


「炎我と風太に次いで幻龍もですか、これで俺だけが仲間外れときたか」

「まぁ、次の町にいったら蒼龍にも良い使い魔が仲間になるから」

「そうだと良いがな」


蒼龍が少しだけ遠くを見ていた。その姿が寂しそうだった。


「じゃ、ぼちぼち移動しますか」


俺達は移動を開始した。向かう先は龍人を倒すと同時に出現した空間だ。そこに足を踏み入れると洞穴の外に通じていた。


「懐かしい、たった数時間ぶりの外だというのに暑くないし酸素がうまい」

「火崎さん、火崎さん、風太の言ってる酸素がうまいってどういう意味?」

「それはあれだよ、ほら、閉鎖的な場所にいると息がつまるだろ?だから開放的な外に出るとうまく感じるんだよ」

「なるほど、何となくわかった」


感動的な風太を他所に的はずれな感想を抱く幻龍。しかし、人と住む世界が違い、人の心を知らない存在にとって、当たり前のことなのかもしれない。


「ところで火崎さん。僕の正体をしりたがっていたようですが、今でも知りたいと思ってますか?」


突然の幻龍の問いにビクリと体が震える。


「まぁ、なんだ、知りたいのかと聞かれると正直知りたいって思うよ、けどまぁ、お前が話したくないってんなら別に話さなくても良いってところかな」


幻龍の表情がポカーンと意外なことを聞いたという顔になった。数秒がたち、徐々に言葉の内容が脳に浸透していったのか幻龍はクスクスと笑った。


「別に隠したいってほどのことじゃないんだけどね、火崎さん的には僕のことは何だと思う?」


幻龍の特徴的な瞳が縦に細くなる。観察するように細められた瞳からは普段のような重苦しいものはない。


「神龍」


口から出した言葉に幻龍は一瞬だけ固まるとすぐさま腹を抱えて笑い出した。


一頻り笑い、疲れると幻龍は今度は蒼流と風太に視線を向ける。


「2人は僕のこと何だと思う?勿論神龍じゃないからね」


「う~ん、俺は炎我と違ってそういうのにはあまり興味がないんだけどな」


「俺も興味ない、幻龍は仲間だ。それだけ知ってればなんだって良い」


二人ともこの手の話には興味がないのか困った風に答える蒼流と格好いい風に答える風太だった。


「気になっていたのはどうやら火崎さんだけのようだ」


「ゴホン」と幻龍は咳払い一つで手を伸ばす。


「改めて自己紹介を、我は神龍が子にして元龍王の名を冠した者なり。名は訳あって話せぬが、今は諱として幻龍と名乗っている」


幻龍の伸ばした手を炎我が握ろうとする前に、幻龍が吹き出した。


「久しぶりに格式張ると笑いもんだな、まぁ、これからもよろしく頼むよ」


幻龍が龍種の王であるとしった。しかし、そのことに恐怖がわかなかった。この世界に来てまだ少ししか時間がたってないのに幻龍の人柄(龍柄?)は幾度となく見てきたからだろう。


むしろ人間が10倍の大きさの竜を棍棒がわりに振り回してる方が恐怖である。その中身が龍としった今なら自然と納得の文字が浮かんだ。


「さて、自己紹介も済んだことだし、さっそく次の町に向かおうか」


宣言した幻龍は配下にした竜の背中に股がった。


「妹を探すために前の町に戻る」


風太の首回りに突如として出現したのは、マフラーと一瞬間違えてしまいそうな風を纏う白い鼬がいた。


「ちょっ風太、行き違いになったらどうすんだよ」


炎我に寄り添う形で現れたのは第1の町でその姿を人々に見せつけた燃える馬がいた。


「風太、とりあえず次の町に向かいましょう」

「.....わかった」


蒼流の言葉に風太は頷くと前の町同様に鼬の生み出す風と風太が巻き起こす風によって蒼流を持ち上げると4人は次の町に向かって移動を開始した。

第1の町にいた馬が炎我に、作中に書かれていないのですが第2の町に出現していたのが風太に、そして今回の(ドラゴン)が幻龍の使い魔(?)になっています。


最後に、蒼流よ、その内良いことがあるさ、たぶん。


てなわけで次回から鏡サイドになります。

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