表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パンドラゲーム  作者: 香村 サキト
31/55

第3の試練-③-

あれから細い道を進むこと数時間。


ついに広い場所に出てきた。


そこは一周100メートル競技トラック程度の広さ。


それから先に進むことを防ぐように囲むのは一面に広がる真っ赤なマグマの海。


そして、マグマの海から現れるのは真紅の鎧のような鱗を生やした巨大な魚。


「ッツ!!危ねぇ!」


魚の口から放たれたマグマの砲弾が侵入者である火崎達に襲い迫る。


炎我は伸ばした右手から炎を周囲に展開すると同時に爆発を起こし、生み出された爆風がマグマを周囲に撒き散らした。


「蒼流頼む!」

「あぁ、良いだろう」


炎我の叫びに答えるように、後ろにいた蒼流の右手に蒼い龍を模した槍が握られる。


刃から水が溢れ、突きを放つと高圧のジェットウォーターの如く鋭い水が魚の鱗を抉る。


予想外なダメージにビックリしたのか、魚はマグマの海に潜った。


「どこ行った?」


マグマを見るが背鰭が出ているはずもなく、ましてや水のように波が揺らぐことがあるはずもなく、見失ってしまった。


終わったのか?と思いたいがここでは敵が逃げたら、はい終了。とはならない。どちらかが消滅するまで戦いを終わらせることなど不可能なのである。


「火崎さん、火崎さん。お困りなら手伝いましょうか?」


クスクスと余裕の笑みを浮かべているだろう幻龍の声に魚を探すのを止めて振り替える。


そこには予想した通りの余裕のある表情を浮かべた幻龍がいた。


「幻龍、わりぃがこいつは俺と蒼流で何とかする。だから邪魔すんなよ」


笑う幻龍に同じく笑みを浮かべる炎我。


「火崎さん、何か策はあるんだよね?」

「あぁ、あるさ」


炎我は地面に手を付ける。掌が焼けるような感覚がむず痒い。力の無かった生前なら痛いではすまないであろう火傷も、痛くないのは自身の能力が炎だからなのか痒いですんで良かったとさえ思える。


炎我は目を瞑り想像する。手を付けた灼熱の大地から一本の細い糸を下へ下へと伸ばしていく。そんなイメージを。


伸ばしていった細い糸から枝分かれするように左右に伸ばしていく。枝分かれした糸が更に枝分かれして蜘蛛の巣のように広がっていく。


伸ばして、伸ばして、伸ばした糸がついに目的の存在に引っ掛かった。


炎我は更なるイメージで、伸ばしていた糸を一点に集めて、抵抗を許さない。そして、最後の作業とばかりに糸に絡み付かれた巨大な存在を引き上げる。


「ウォォォォラァ!!」


地面を突き破って糸の網に釣り上げられた巨大魚。

そして、炎我は叫んだ。


「蒼流!頼んだぞ!」

「あぁ、良いだろう」


炎我の作り出したチャンスに右手に握っていた蒼き龍の槍に水を纏わし槍を射る。


巨大魚に突き刺さった槍は内包していた水が溢れ、受け止めきれなかった魚は内側から破裂した。


「蒼流、ナイスだ。お前ならやれるって信じてたぜ!」

「あんたが魚を釣り上げたからだ。それが無ければ倒せてなかった」


炎我の掲げた掌に蒼流も掌を打ち付ける。良い音を鳴らした。ただ、炎我にとっては痛かったとだけ記載しておく。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ