第3の試練-②-
今回短いです。読んでくれる読者様に申し訳ない気持ちです。
あぁ、時間が欲しい。でも時間があったら眠りたい...。
人一人通るのがやっとの細い道。そこに足を踏み入れた瞬間。まるで水が沸騰したかのように、ブクブクとマグマが動き始めた。
・・・・・
・・・
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「おらぁ!!」
細い道で回避という選択肢を潰されていた火崎一行は、炎を操る火崎炎我を先頭、もとい盾にして突き進んでいた。
「だらぁ!!」
何度目かの噴出に、両手を爆発させることによって、後続に被害がでないようにしていた。
火崎自身、爆発も能力の一部なのだからダメージにならないのだが、吹き飛ばし損ねたマグマが直に服を溶かして今では上半身裸になりつつある。
「うらぁ!!」
そんな姿になるまで必死になって防いでいるというのにだ。
「あひゃひゃひゃひゃ、火崎さんの服が...溶けてぇ...」
命懸けで守っているというのに、どこかにあったのだろう幻龍のツボに触れ、爆笑されていた。
「幻龍、失礼だよ」
そう言って注意したのは声からして蒼流だろう。後ろを振り向く余裕の無い炎我はそう判断した。
「だって、あの火崎さんの服が溶けて肉体が露になってるんだよ?」
幻龍の言葉に一瞬だけ自分の体に視線を向ける。そこまで無駄な肉は付いていないと自負している。ボディービルダーとまではいかないが、スポーツ選手程度の筋肉はあると思いたい。
「いかにも見た目を一番気にしている火崎さんがだよ!!服装にカッコよさを求める火崎さんがだよ!?これを笑わずして何で笑えばいいのさ」
ゲラゲラと抑えることなく笑う幻龍にイライラだけが積もる。
(クソガキが!!こちとら必死こいて守ってるってのにその反応はねぇだろうが!!)
炎我は歯を噛み締めながら心の中で叫んだ。
そして、
「幻龍!それ以上笑ったらフルゲージでぶっ飛ばすからな!!」
そう叫びながら両手の銀のドクロをチラつかせる。そのドクロの瞳は、炎我が一定水準を越えた炎を発動するごとに一つの瞳に微弱ながらも光を灯していた。
そして、本人は一定水準と言ってはいるが、実際には人差し指にライター程度の火種を生み出しても微弱に光を灯すのだ。
そんなゲージは全部で33。ドクロの数は全部で11個。
ゲージの割り振りは両手のドクロが右目10、左目10、口10。最後に首にぶら下げたドクロが両目と口で3つである。
「火崎さんは何を言ってるんだ?それとも忘れたのかい?」
幻龍は愉快そうに笑いながら続きを話す。
「僕に能力全般が効かないのは実証済みだろ?」
事実、炎我がはじめて幻龍と出会った時。といっても蒼流とタイマンはってた時なのだが、蒼流の瞳に宿る暗い色が気に食わなかったという理由で、蒼流に突っ掛かり、そこから殴りあいに発展したのだ。
そこに、戦いの気配を察知して割り込んできた幻龍に2人とも使いたくもなかった能力を発動してまで邪魔者を倒そうとしたのだが逆にボコボコにされた事を覚えている。...と言うのも昨日の事である。
「でも俺の全力の一撃はまだ喰らってねぇだろ?」
「確かに火崎さんの全力がどの程度か見てないからわからないけど、あの時の攻撃から考えるに良くて2~3割。悪くて1割ってところじゃないかな?」
絶対的防御力を誇る幻龍はニヤニヤと笑いながら答え、そして。
「そもそも、火崎さんは僕に攻撃を当てることは可能なのかな?」
ニマニマと笑いだした。
「後で覚えておけよ!」
火崎は何処かの世界にも存在する三下のような台詞を叫ぶと、左右から飛来してきたマグマを両手でもって迎撃するのであった。