第3の試練-①-
トントン拍子で物語が進むけど、視点が変わるだけで新鮮な気になりません?
閑散とした町を湖の方向に歩いていた火崎一行は、人っ子一人見付けることもなく火山の麓まで辿り着いた。
辿り着いてまず目についたのは成人男性が頭を低くしなくても通れるような洞窟だった。
横幅的には5~6人は並んで歩けそうな空間である。
そんな洞窟を進んだ先に見えてきたものと言えば
「これは、酷いな」
と、思わずそんな事を呟いてしまう程に赤々としたマグマが敷き詰められている。敷き詰められていると言えば分かるように綺麗なのだ。そこに流動的なデコボコは存在しない。波のたたない水槽の中の水のように穏やかなマグマが視界一杯に広がっていた。
そんなマグマ広がる中にも唯一違うものが存在した。それは道。一歩踏み外せばマグマダイブ待った無しの細い道。人一人通れる程の狭き道。
「誰から行く?」
「そこは、言い出しっぺの火崎さんじゃないの?」
「その心は?」
クスクスと笑う幻龍に続きを促すように問いかけた。
「そもそも、試練が炎系じゃん?なら唯一炎属性の火崎さんが先頭を歩けばいざと言うときに盾くらいにはなるかなと思ってね」
「酷い!」
クスクスと笑う幻龍は「まぁ、待ちなよ」と言い続きを語り出す。
「火崎さんはこの中でも突出した炎への耐性を持ってるんだ。だから出来るよね?」
その言葉に残り2人も頷いた。
幻龍の話し方に納得のいかなかった火崎ではあったが、確かに自身の能力は炎であり、それ系統のダメージを半減程に抑えられることは実験積みであり、他の2人も知っている。
「あぁ!!わったよ、やってやるよ!」
ガシガシと自棄になって毛髪に多大なるダメージを与えながら答えると
「それでこそ火崎さんだ」
と幻龍はクスクスと微笑んだ。
「で?次は誰にする」
風太の呟きに幻龍は悩む素振りも見せずに答えた。
「2番目か3番目は僕か君のどちらかだよ」
「なら、俺は3番目を歩く」
風太はそう呟くと蒼流の元に向かった。
「げぇ、俺の背中を任せる相手がお前かよ」
「露骨な拒絶をありがとう。でも安心してよ、背中から一突きでぇ...なんてことはしないからさ」
ドスの効いた声から一瞬でクスクスと笑う幻龍に冷や汗を流しながら火崎はぶるっと震えた。
「なぁ幻龍、この試練の特色的には炎我よりも俺の方が適任じゃないか?」
「確かに水無月なら炎系統全般を無効化出来るけど火崎さんとは違うんだ。前ばかりを見ずに全体を見て行動してほしいんだよ」
幻龍の言葉に外野から「おい、コラ!どういう意味だゴラァ!」と聞こえてくるが、鼻で笑ってお仕舞いだ。
「では火崎さん、話が纏まったので進みましょう」
「なぁ、俺の扱いが酷くないか?」
火崎の心のこもった呟きに同意する蒼流と可哀想な人を見るような視線で見る風太と完全無視を決め込む幻龍であった。
さぁ、さぁ、本格的に物語を加速させていくよ!(注・執筆速度は速くなりません)




