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パンドラゲーム  作者: 香村 サキト
28/55

第3の町-①-

新章開始です

時は遡り、時間にして鏡達が試練を受けている頃。第3の町に到着した集団がいた。


「一番乗り~」


そういって第3の町にその場の誰よりも早く足を踏み入れた少年がいた。その少年はクスクスと笑っている顔が一番良く似合う少年で、金の髪に猫のような瞳をした少年だった。


「おい幻龍!俺が一番に入ろうとしてただろ!」


次に町に足を踏み入れたのは赤い髪に銀のドクロの指輪を全ての指に付けて、首にもドクロのネックレスをつけたギラギラとした男。


「少しは落ち着けよ年長者が...」


赤髪のテンションの無駄に高い男を睨み付けたのは白銀の髪に目の下に真っ黒なクマを浮かべる少年。


「風太の言うとおりだ。それに俺達が最初に到着したとは限らないしな」


そう言って町の中に足を踏み入れたのは、蒼い髪を後ろで結んで垂れ流している高身長の成年。


「風太~。町に人いる?」


蒼流の言葉に幻龍が風太に問いかける。その言葉に目を瞑り数秒。沈黙を破るように開かれた口からは、「気配なんてない。俺達が一番乗りだよ」だった。


「だってさ蒼流、ダッセー蒼流」

「ところでこの町の試練は何処にあるんですかね」

「おぉ~、蒼流が年上をスルーしたぞ」


火崎のおちょくりを軽くスルーした蒼流に驚く幻龍。そして、無視された張本人は気にした様子はなかった。


「それにしてもこの町はやけに暑いな、炎を操る俺でも汗をかきそうなくらいに暑いぞ」

「そりゃ湖の方に火山があるからな、この町の下にはマグマだまりがあるんだろ?」

「ふ~ん、マグマ、ね。この程度の暑さじゃ僕は何にも感じないね」


火崎の言葉を筆頭に蒼流が補足し、幻龍が何ともないようなことを言った。そして、風太と言うと


「暑い、死ね」


と汚い言葉で舗装された道路をガシガシと蹴ってた。


「妹が見つからなくってストレス溜まるのは分かるけど、道に当たるのは良くないぞ」

「そうだ、そうだ、そんな事している時間あるならさっさと試練終わらせるか妹ちゃんを探しに行けよ」

「うるさい、だがお前の言いたいことはわかった」


風太はそんなことを言うと続けて爆弾を投下した。


「妹を探すために2つ目の町に戻る」

「いや、いや、いや、いや。落ち着こうか風太君。今君に抜けられるのはとても良くないよ!」

「どっちだよ」


呆れたような視線を風太は向ける。探せと言ったのはお前だろ?と視線に込めて火崎を再度睨み付ける。


「あは、あはははは...。後で探すの手伝うから、今は目の前の試練を終わらせようぜ」

「仕方ない、なら1秒でも早く終わるよう、お前が頑張れ」


ヤル気の一切無い声で告げられた言葉に火崎は目を白黒させる。


「えぇー、俺ががんばんの!?」

「俺は試練なんて興味ない。妹を見付けられればそれでいい」


風太はそれだけを言うと歩きだした。


それを心配そうに追いかける蒼流。


「...風太はわかってんのか?試練を終わらせるってことは探してる妹と一緒に帰れるって事だぞ」


離れていく風太の小さな背中を眺めながら独り言を呟いた。


「クックックッ、それも踏まえて火崎さんが頑張れば良いんだよ」


ニヤニヤとした時々見せる嫌な笑みを浮かべた幻龍に一瞬だけ汗が流れる。


皆の前ではいつも通りの対応をしているが、何故か幻龍と2人きりになると心臓を鷲掴みにされたような錯覚をして落ち着かない。


「幻龍、お前も少しは頑張れよ」

「それは火崎さんの努力しだいかな」


再びクスクスと可愛いげのある笑みを浮かべた幻龍に火崎は落ち着きを取り戻す。


「ま、俺も自分の中で決着を付けないと行けないことがあるから、あまり人のことは気にしてられないんだよな」


火崎のその言葉に幻龍はクスクスと笑った。

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