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「さようなら」

今回の話は、いつもより暗さ多めですが、最後まで読んでください!!

有明さんは、職員室を出て行った。

放課後、みんなが帰るのをずっと見ていて欲しいということと、逃げないで、ということ。これを僕に告げて、出て行った。


彼女の声は小さかった。ほとんど、息と変わらないくらい小さな声だった。でもそれは、すごく力強く、彼女の決意があり…何よりも、重みがあった。



だからか、僕は怖くなった。彼女が僕にあぁ言ったのは、放課後何かがあるからだ。逃げたくなるほど、恐ろしい何かがあるからだ。

そして、彼女の声が力強く、決意が感じられて、重みがあったのは、僕に期待しているからだ。


「恐ろしい何か」とは、イジメの事だろう。

「期待」は、そのイジメから助け出してくれる、というものだろう。


僕の心の中は、恐怖と焦りと不安で、いっぱいになった。





一時限目の始まるチャイムが鳴って、ようやく僕は我に返った。

有明さんが出て行ってから、チャイムが鳴るまで、数分しかなかったのだろう。だが、僕には何時間もあったかのように感じた。そして、我に返ってしばらくしても、まだ冷や汗が止まらなくて、僕は必死に落ち着こうとした。僕は社会科の担当で、二時限目には授業が入っていた。だから、早く落ち着かなくては…。

「ポンッ」

その時、僕の机の上に乗っているパソコンが、受信を知らせる音を出した。たいした大きな音でもないのに、今の僕の心臓を驚かせるには、充分な音量だった。

そして、恐る恐るパソコンを開くと、そこに書いてある名前を見て、僕の心臓は止まるかと思ったくらい、驚いた。差し出し人には、「安間 四郎」と書いてあったからだ。バクバクと、未だに煩い心臓の音を振り切って、画面をクリックした。そこには、こう書いてあった。

「さっき、有明さんがそっちに行ったんだってね。放課後来いって、言いに行ったんですよね?きっと。宮崎先生が今、どう思っているのか、何と無く想像できます。」

そこを見て、僕はギクッとした。安間は、本当になんでもわかってしまうのだろうか。そして、画面をスクロールした最後に、こう書いてあった。

「来るかこないのかは、先生が決めて下さい。」

こんなものを見てしまったら、僕がどちらを選ぶかなんて、決まってるじゃないか。安間が、今の僕の心情が想像できているのなら、このメールを読んだ後の僕の行動も、想像出来るはずだ。なんで、こんなメールを送ってきたんだよっ、安間っ…わざと、なのか。







僕は、そのメールを読んでから、少しだけ落ち着きを取り戻した。長い間座っていた職員室の椅子から立ち上がり、授業に備えて準備を始めた。そして、一時限目の終わったチャイムを聞いて、僕は職員室を出て行った。



それからの僕は、淡々としていた。二時限目の授業を終えると、一度職員室に戻って、準備をする。それから、次の授業までの一時間は、書類を作成した。そしてまた時間が来ると、授業を行う教室へ向かった。

昼にはいつも通り、コンビニの弁当を食べて、職員室にあるコーヒーを飲んだ。

また、午後からは授業が入っていたいなかったため、また書類の作成を開始した。


自分でも、驚くほど仕事がはかどった。


そして、六時限目が終わったことを知らせるチャイムが鳴った。しかしもう、僕は焦らず、落ち着いていた。





帰りのHRのため、F組へ向かう。






教室に入ると、いつも通りみんなの目が僕に向けられた。その視線にいつも戸惑い、緊張していた僕だったが、今日は違った。鋭いその視線もみんなの呼吸も、何も気にならなかった。そして、HRの最後に僕は、「さようなら」と言った。すると、安間、もう1人はおそらく有明さんが、「さようなら」と返してくれた。それを聞いて僕は、教室を後にした。







遠く、後ろの方で、「宮崎先生っ‼︎‼︎」という、女の子の、悲鳴にも似た声が聞こえたが………気のせいだろう。










今回の話しは、私にとって、大冒険でした!!これからも、よろしくお願いします!!

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