馬鹿
遅くなりましたっ!!
朝のHRを終え、チャイムが鳴った時、生徒たちが、次の授業に備えて、準備を始めた。
それを、僕はただ眺めていた。
そんな僕のことを、チラチラと様子を伺う生徒がいた。流石に、HRを終えたのに、ただ眺めているのも、不自然であろう。
でも、そうとわかっていても、すぐに教室を後にする事はできなかった。
今はもう、みんな無言であるが、さっき、みんなから声が聞こえたのだ。これは、大きな変化だった。さらに、これに加えて安間からの、二度目のありがとう。
何とも言えない…でもこれはきっと、嬉しいにすごく近い感情。
そんな不思議な感情が、僕の頭を、体を、ぐるぐると、流れているのだ。
そんな時、ふと安間と目が合った。いや、安間がこちらを、ずっと見ていたのだろう。
流石に、少し照れ臭くなって、はにかんだ。そうすると安間も、笑った。でもその笑顔は、少し悲しいものだった。でも、それはおそらく、窓からさす日差しで、安間が黒っぽく見えるからだろう。
教卓に置いてある荷物を持ち、僕は教室を後にした。
職員室に戻る僕の足取りは、妙に軽いものだった。たったあれだけの変化で、しかも数分の出来事で、ここまで喜ぶのは、おかしいことかもしれないが、あのF組での出来事なのだから、仕方ない。
職員室に着き、自分の机まで向かった。その途中でも、やはり周りから見ても、僕の様子は変なのか、視線を感じた。気にはしないが、やはり、少し落ち着かなくては。
僕は一度、はぁっと、息を吐き、また大きく吸い込んだ。
すると、ガラガラっとドアの開く音がした。そこに目をやると、有明さんが立っていた。彼女は僕の方を見ると、スタスタと何の迷いもなく、歩いてきた。そして、僕のところまで来ると、ピタッと立ち止まり、深くお辞儀をした。僕も驚いたが、周りの先生方は更に驚いていた。すると、彼女はその体制のまま、こう言った。
「ありがとうございます。宮崎先生には、本当に感謝してます。」
「あっ、いやいや、そんな感謝されるようなことはしてないよ!顔を上げて!」
僕は驚いていたためか、早口になった。それでも彼女は落ち着いていて、ゆっくりと顔を上げた。そして今度は、顔をズイと、僕の顔に近づけてきて、小さな声でこう言った。
「宮崎先生。安間君は隠したがっているけれど、私は先生に見て欲しいんです。」
「……。」
「今日の放課後、私たちが帰る間、ずっと見ていて下さい。」
「…わかった。」
「そして、逃げないでください…っ!」
「あぁ、わかった。」
なんて僕は、馬鹿なんだろう。
あんな事で浮き足立って…。
なんて僕は、馬鹿なんだろう。
何にも、知らないくせに喜んで…。
どうでしたでしょうか??
これからは、少しでも早く書けるようにしたいです…。
これからも、よろしくお願いします!!