表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
デウス=コード 〜オレが鋼で、キミが光で〜  作者: 熊野御堂


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/12

第3話:冷ややかな陽気

久々の2年A組の空気、クラスメイトの顔。

鋼生はいつもより、少しだけざわついている教室の気配を感じていた。


朝のHR。鋼生は、担任であり、日本史担当の新橋しんばし 京香きょうかの横に並んで、教壇に立っている。


そして、教室の扉のガラス越しには、なぜか楽しそうに揺れる謎の人影が見えた…。


「HRを始める。まずは、グッドニュースからだ。」


新橋はハキハキと言う。


「半年間、海外で療養していた天目が復活した。本人と保護者からは、メンタル面にも問題なしと申告もある。みんなも以前のように接してやってくれ。天目、ひと言頼む。」


鋼生は軽く息を吸い、前へ出た。


「…復帰しました、天目です。ご心配おかけしましたが、とにかくまずは、授業に追いつくように頑張りたいと思います。皆さん改めてよろしく。」


新橋の拍手に続き、教室全体からも拍手が起こる。


「お帰り天目。あと席替えしたから、お前は窓際の一番奥、鞠ノ瀬の隣だ。」


「…わかりました。」

鋼生が席へ向かうと、こちらを見て笑う詩天の顔があった。


その明るい笑顔に、

戻ってきたという安堵と、温かさが胸に溢れた。


「あと、鞠ノ瀬は学級委員だから、天目にここ半年の変更事項を伝えてほしい。まあ、いわれなくても絡んでいくとは思うが。朝のダッシュすごかったらしいじゃないか!職員会議で話題になったぞ。天目と二人で陸上部に入部しないのかって」


「それってどういう意味ですか〜っ。しかも、それ広まってる⁉︎」


詩天が立ち上がって抗議する。

クラスが笑いに包まれる。

鋼生はその賑やかさに苦笑いしつつ、同時に、


(…あの影、笑っているのか)


と、ガラス越しの影からの視線を感じた。


「コホン。続いてバッドニュースの方だ」


新橋の声色が急に冷たくなった。


「あさってから産休に入られる副担任、丸山先生の後任としてーーなんでかうちに来てしまった、非常勤講師だ。…おい、そこで笑ってないでさっさと入ってこい。」


「(新橋先生にしては態度が冷たい?)」

自分が休んでいた半年の間に、なにかあったのか。


そのとき、

ガラス越しに揺れていた人影が動いた。


扉が開き、教室がざわつく。


うきうきとした足取りで、入ってきたのはーー

長身・中肉中背

皺のある白衣

後ろで束ねた長い茶髪

顔には無精ヒゲ

黒縁メガネを掛けた、20代前半の青年だった。


「はい、どうもはじめましてー。バッドニュースとして呼ばれた新任の非常勤講師、蓮見はすみ 煉陽れんようでーす!」


教室の空気がいっきに明るくなる。


「物理担当です。趣味は釣り、考古学、ロボットいじりでーす。あっ、それとーー後ろで騒いでいた詩天の従兄弟でーす。みんなの頼れるお兄さんとしてよろしく〜!」


一部の女生徒から小さな歓声があがる


「え、意外と顔整ってない?」「あのヒゲ、逆にいい…」「鞠ノ瀬の親戚!?似てるじゃん!」「あとで、話しかけようかな〜」


しかし、名前のあがった詩天はーー


「………」

机に突っ伏して動かない。

HR開始から情報量が多くて、オーバーヒートしている。


(…煉陽さんがなんで…。)

詩天の反応を横目に、鋼生の背筋に冷たいものが走る。


教室のざわつきが少し収まるのを待ち、新橋が溜め息とともに、話し出す。


「はいはい、質問はそこまで。自己紹介どうも、蓮見先生」


新橋は露骨に不機嫌になっている。


「あと補足事項だが、先生とは大学の同期でね。先生のことは良くも悪くも、色々と知っている。女生徒は気をつけろよ(ニヤリ)。以上、朝のHRは終わり」


カツカツとヒールの音を鳴らし、

バンッと扉を開き、足早に教室を後にした。


さっきの賑わいが嘘のように教室が静まり返った中、

教壇に残された煉陽は、


「気をつけろって、人聞きが悪いよね〜はははっ。じゃあ、まあそういうこと

で皆さん一限の授業頑張ってね!これからよろしく〜」


新橋の言葉に特に気にした様子もなく、

彼女とは反対に、軽い足取りで教室を出て行く。


机に突っ伏して、沈黙していた詩天がようやく独り言をつぶやく。

「煉陽にい、絶対何かやらかしそう。はぁ〜」


その冗談ともつかない言葉に、

鋼生の胸に冷たい疑念が渦巻いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ