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デウス=コード 〜オレが鋼で、キミが光で〜  作者: 熊野御堂


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3/12

第2話:微温の再会

ーー半年ぶりに歩く道だった。

以前は、当たり前のように歩いていた通学路。

あの、五月の事故から、約半年が経過している。


ジジイの悪魔のような言葉とともに、長く冷たい時間が始まった。

そして、つい昨日までこの体の調整のため、必死に続けた実験生活リハビリ


その成果が、この体だ。

機械だとは思えないほど、今もスムーズに歩みを進めている。

あの実験生活から一転して、平穏な世界に戻ったわけだが、心は何も動かない。


世界は平穏でも

ーー俺の存在はもう、ここでは異物だからだ。


しかし、気がかりはある。

あの事故から半年間、アイツに一度も連絡できていなかった。


ジジイから一方的に、アイツの近況は聞かされていたが、俺自身については「事故後の手術とリハビリのため、海外で半年休校」という事に、ジジイがそうしたらしい。


確かに、実際に海外で手術を行った。しかし、経過観察は、最初の一ヶ月間だけで、あとは日本の山奥に移されて、リハビリと言う名のジジイの実験漬けの生活だった…。その間ずっと、実験の秘匿性のためにとかで、通信機器の類は一切の所持を許されなかった。


生活に多少の制限はついているが、スマホの所持は許可が出た。

早く買いに行かなくては。


ーーそう考えながら歩いていると、角を曲がった先で、聞き覚えのある叫び声がした。

「うわーっ! どいて! ぶつかる! どきなさ〜い!」




家を出るとき、祖父の表情がなんとなく引っかかっていたけど、

そんなことより、時計を見て青ざめた。

ホームルームにまで、あとわずかなことに気づいた。


この時間なら、走らないといけない。

けど、最近やっと工事が終わったアーケードを通れば、近道になるはず。

みなさん工事お疲れ様デス!


私は、陸上部もびっくりの全力ダッシュ!

風が気持ちいい。これならバッチリ間に合いま——す…?


「わ、わわっ! 人影っ!? 止まれな——い!」





「……そして、今にいたる訳か。」

「ソーナノデス、ズミバゼン」


結果的には、急には止まれずにパニクる詩天に対して、

逆に鋼生は、冷静に武道家さながらの、最小限の体捌きでサッと彼女を躱した。


当然、躱された詩天は、そのまま電柱へ結構な勢いでぶつかった。

しかし、傷ひとつない。


「……あれで無傷とか、相変わらずお前はどうなっているのか。」

「体が丈夫なのと、明るさが取り柄でして。」

「……そうだな。」

「そうだな、じゃないよ!『他にもたくさんあるよ』とか! フォローしなさい!」


確かに、そうして軽口を叩いてる詩天は、昔と変わらずに明るい。


「まったく、今の勢いで普通の人にぶつかっていたら…。」

「ん?普通の人?鋼生だって、普通の人じゃんね?なんか、さっきの動きは武道の人みたいだったけどさ!でも今までそんなのやってないじゃん、さては半年間秘密の特訓してたろキミ〜。」

「…普通の人か。」


鋼生は先ほど思った、世の中からの疎外感が少しだけ柔らぐ感じがした。

昔からコイツは、調子を狂わせてきたり、時々こうして変に鋭かったりする。


「…お互い無事なら、そろそろ行くぞ。遅刻する。」

「いけなっ、そうだよ!私は丈夫な上に、無遅刻無欠席なんだからっ!」


そう言って、詩天は再び全力ダッシュの姿勢をとる。


「鋼生もついてこれるなら、ついてきたまえ〜私速いんだから。」

「……そうか。」


詩天の後ろ姿を見ていると、わずかだが、体の中に熱が戻る気がした。

そして、二人は陸上選手顔負けのスピードで、

朝の道を全速力で駆け抜けていった。

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