第0話:冷めた目覚め
「………(寒い)。」
どのくらい前から、そしていつまでもこうなのかはわからない。
とにかく寒い。
首から下が消えたみたいに、何も感じない。
小学生の頃、夜中に金縛りにあった時みたいな気分だ。
飛行機のなかだったはずだ。
してんの家族と合同で、南の島に行くために。
ーー暖かい場所のはずなのに。
‥‥こんなに寒いのは、なんでだ。
最初に聞いたのは爆発音。
そうしたら、とても寒く、焦げた匂い、叫び、泣き声。
それからなにもかんがえられなくなった。
次に目覚ますと、頭や顔は寒くなく、アルコールの匂い、一定リズムの機械音。
どこかの医療機関‥‥そうおもった瞬間、あの寒さが戻ってくる。
怖い。
動かない体の中で、恐怖だけは自由に動く。
「‥こうせい。おい、こうせい。聞こえておるか?」
聞き覚えのある声。
しかし、声の主を見ようにも、首が動かない。
「ん?‥ああ、頭固定されとるからこっち見れんのか。わしだよ。鞠ノ瀬だ。」
ーーしてんのお祖父さん。
「CTでは異常はなさそうだが、喋れるか?」
「‥はい。‥‥してんのお祖父さん?」
「ああそうだ。多少の意識の混濁はあるようだが、記憶障害はなさそうだな。なら、これだけは覚えておけ」
確かに多少思考がまとまらないところはあったが、
それでも次に、してんの祖父が言った言葉だけは、生涯忘れられないのだろう。
「天目 鋼生お前には、わしの計画のため人間を超越する存在になってもらう」
その狂気をはらむ言葉に、体の中の恐怖すらも冷たく動かなくなった。
第1話へ続く




