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転生したら推しが魔王様になってた件~④三度の結婚式は大パニック!  作者: 銀文鳥


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第十章(2):城外の激戦、聖獣の咆哮


カスパールが召喚した聖獣は、純粋な光を纏い、威厳に満ちた姿で深淵の主へと突進していった。



『ガアアアァッ!!』



深淵の主の剛腕と、聖獣の聖なる光が激しく衝突する。


天地を揺るがすような爆発が聖域を襲い、耳鳴りがするほどの轟音と共に、その衝撃波は城全体を震わせた。


聖域の天井に、いくつもの亀裂が走り、瓦礫が雨霰と降り注ぐ。


「くそっ、このままじゃ城が保たねぇぞ!」


カスパールが悪態をつきながら、飛散する瓦礫を紫色の魔力で弾き飛ばす。


「深淵の主は、我々の戦力では、この聖域で完全に無力化することは難しい…! 外へ誘導するぞ!」



アルドロンが即座に状況を判断し、声を張り上げた。その声には、一刻を争う緊迫感が宿っていた。


彼の緑の宝珠が光を放ち、周囲の瓦礫を一瞬だけ静止させる。



「ローゼリア、ルシアンとセラフィナを頼む! 私とカスパールで、足止めする!」


アルドロンの言葉に、ローゼリアは頷き、桃色の宝珠の光でルシアンとセラフィナを包み込み、聖域の奥、より安全な場所へと移動した。



『グオオオオオオオオオオオオオオォォォッッッ!』



深淵の主は、聖獣の攻撃に苛立ち、その巨体をさらに暴れさせた。


聖獣の聖なる光が深淵の主の瘴気を浄化し、その動きをわずかに封じるが、深淵の主の圧倒的な質量と破壊力の前には、聖獣も徐々に押し負け始めていた。



「チッ、聖獣でも時間が稼げねぇのかよ!」



カスパールは舌打ちすると、深淵の主の動きがわずかに鈍った隙を突き、再び黒雷を放つ。


その雷は深淵の主の核らしき部分に直撃し、さらなる亀裂を走らせる。



「行くぞ、カスパール! 『賢術・空間転移陣!』」



アルドロンが叫び、杖を地面に叩きつけた。


聖域の床に巨大な緑色の魔法陣が瞬時に展開され、深淵の主の巨体を包み込む。


同時に、城の正面広場に、同じ紋様の巨大な魔法陣が浮かび上がった。


深淵の主は、空間転移の力に抗おうと暴れるが、アルドロンとカスパール、そして聖獣の三方向からの攻撃で足止めされ、その巨体が光に包まれていく。



ドォォォォンッ!!



聖域全体を揺るがす轟音と共に、深淵の主は光の中に消え、同時に城の地下聖域の天井が完全に崩壊した。


聖域の重苦しい空気が一瞬で入れ替わり、上から僅かな光が差し込む。






王城の広大な正面広場に、突如として巨大な魔法陣が展開され、光と共に深淵の主が出現した。


その圧倒的な巨体が広場に現れると、周囲の石畳がミシミシと音を立て、地面を深く抉る。


大量の土煙が舞い上がり、広場を一時的に覆い尽くした。



「な、なんだあれは!?」



「魔物だ! 逃げろーっ!!」



避難誘導を進めていた聖騎士団や民衆が、目の前の光景に恐怖し、一斉に悲鳴を上げて逃げ惑う。


アシュレイは、魔物の出現に目を見張りながらも、冷静に指示を飛ばす。



「落ち着け! 民衆の避難を最優先に! 勇者様方の指示を待て!」



その時、深淵の主の足元から、アルドロンとカスパール、そして聖獣が光と共に現れた。


同時に、カスパールの周囲を飛び交っていた無数の従属魔物たちも、主の指示を待つかのように、深淵の主を取り囲んだ。



「くそっ、瘴気がひでぇな。ここなら、好きに暴れられるだろ、このデカブツが!」



カスパールが、深淵の主を挑発するかのように言い放つ。


彼の言葉通り、広場には民衆も聖騎士団もほとんど残っておらず、深淵の主が暴れるには十分な空間が確保されていた。



聖獣は、深淵の主の瘴気にも怯むことなく、その聖なる光の爪を振り下ろす。


同時に、カスパールの従属魔物たちも、一斉に深淵の主へと襲いかかった。炎、氷、雷、影……様々な属性の魔術が雨のように降り注ぎ、深淵の主の巨体を容赦なく叩きつけた。



『グオオオオオオオオオオオオオオォォォッッッ!』



深淵の主は、怒りに任せて無数の腕を振り回し、聖獣へと猛攻を仕掛ける。


聖獣は、その身軽さで攻撃を躱しながら、カウンターで聖なる光を放つ。


しかし、深淵の主の攻撃は、一撃一撃が重く、聖獣の体を捉えるたびに、その光をわずかに弱めていく。



「やはり、単独では厳しいか…」



アルドロンが呟いた。聖獣は確かに強力だが、深淵の主の圧倒的な回復力と破壊力の前には、徐々に消耗していくのが見て取れた。



「チッ、これじゃジリ貧だぜ!」



カスパールは、聖獣を援護するために、広範囲殲滅魔法を放つべく、ピアスの揺れる紫色の宝珠を人差し指で弾いた。


カツン、と乾いた音が響き、彼の瞳に鋭い光が宿る。


宝珠から放出された魔力が瞬時に彼の全身を駆け巡り、空間に複雑な魔法陣が構築されていく。



「邪魔だ、この瓦礫が」



カスパールが冷徹に呟くと、彼の足元から漆黒の虚無が噴き出し、広場の石畳を侵食しながら一瞬で巨大な魔法陣を形成した。


その魔法陣の中心から、無数の闇の鎖が深淵の主へと向けて射出され、その巨体をがんじがらめに縛り上げる。


そして、鎖の先端からは、空間そのものを歪ませるかのような漆黒の雷が迸り、深淵の主の全身を激しく焼き尽くした。



『グオオオオオオオオオオオオオオォォォッッッ!』



深淵の主の苦悶の咆哮が広場に響き渡る。カスパールの魔法は、一時的に深淵の主の動きを完全に封じ、その体に新たな亀裂を刻んだ。


しかし、深淵の主の再生能力は凄まじく、すぐにその亀裂から濃い瘴気が噴き出し始める。




その時、彼の肩から、あの小さな影が「ポンッ!」と可愛らしい音を立てて、宙へと飛び出した。



「フワワ…! お前!やってくれるか?」



カスパールの問いかけに答えるかのように、その光は、まるで意思を持っているかのように、聖獣の周囲を旋回し、聖獣の体に吸い込まれていく。


聖獣は、その小さな光を迎え入れるかのように、一層眩く輝いた。


聖獣の聖なる光が、ピンク色の光によってさらに増幅され、その体は見る間に巨大化していく。


純粋な光を纏っていた聖獣の姿が、瞬く間に神々しい虹色の鱗に覆われ、強靭な四肢と巨大な翼を広げる。


その威厳に満ちた瞳は、宇宙の深淵を覗き込むかのような輝きを放っていた。


伝説の竜神へと変貌したのだ。


可愛らしいフワワの面影を残しながらも、その姿は見る者を圧倒する存在感を放っていた。




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