第七章(1):指輪に込める誓い
ルシアン様との挙式は、もう数日後に迫っていた。
夕食後、リビングでルシアン様と寛いでいたとき、私は彼に話しかけた。
「ルシアン様、あのね、日本では、結婚すると、お揃いの結婚指輪をするんです!」
「男性も女性も、左手の薬指に。そうすると、誰が見ても『この人は結婚しています』っていう証になるんです! 婚約指輪とは別に、毎日つけるものなんです!素敵ですよね!」
私の左手薬指には、ルシアン様からもらった漆黒のブラックダイヤモンドが煌めく婚約指輪が輝いている。
ルシアン様は、興味深そうに眉を上げた。
彼の右手人差し指には、漆黒の宝珠が埋め込まれた、見慣れた指輪が光っている。
「左手の薬指か……問題ない。俺の指輪は、それぞれの指に意味を持たせているからな。どちらも、俺にとって大切な証となるだろう」
彼の返答は常に即断即決。
私は嬉しさのあまり、ソファから飛び上がってルシアン様に抱きついた。
ルシアン様が左手薬指に結婚指輪をはめている姿を想像し、私は一人、ソファの上で小さく身悶え、心の中で悶えまくった。
(ああ、ルシアン様の美しい指に光るゴールドリング…最高に似合うに決まってる! 無駄に色気が溢れ出てしまう…想像しただけで鼻血が出そうだ! 彼を独り占めできるなんて、こんなに幸せなことってある!? 世界よ、これが私の推しだ!)
翌日、ルシアン様と私は、帝都中央の高級宝飾店を訪れた。
煌びやかな店内にも動じることなく、ルシアン様は静かに私の隣に立っていた。
「セラフィナ。何か好みのものはあるか?」
ルシアン様は、あくまで私の好みを優先する姿勢だ。さすが、私の推しは最高に紳士だ。
「うーん、婚約指輪がブラックダイヤモンドだから、重ね付けできるようにシンプルなのがいいな。あとは、ルシアン様とお揃いになるデザインがいいです!」
私はショーケースの中を覗き込み、目を輝かせた。
最終的に私たちが選んだのは、ブラックダイヤモンドの婚約指輪と重ね付けしても違和感のない、細身のゴールドリングだった。
シンプルでありながらも洗練されたデザインは、ルシアン様の指にもきっと似合うだろうと、二人で意見が一致したのだ。
「サイズや刻印は、俺の魔力で調整しよう。お前が望む通りにできる」
ルシアン様がそう言うと、私は目を輝かせた。
彼の魔力なら、どんな細かな調整も完璧だろう。
「あとね、この指輪には、刻印も入れたいんです! 私の誕生日でもある、挙式の日、四月四日と、『ルシアン様ハート』って!」
私が少し照れながらもそう言うと、ルシアン様は面白そうに口元を緩めた。
(『ルシアン様ハート』か……あの黒いお守り袋の文字と、同じだ……)
「では、俺の指輪には、『セラフィナハート』と刻もう。そして、日付はお前と同じ、四月四日で良い」
ルシアン様の言葉に、私は嬉しさで胸がいっぱいになった。
「はい!」と、大きく頷くと、ルシアン様は「ああ。お前の望む通りにしよう」と優しく微笑んでくれた。
そして、私を優しく見つめながら私の頭を優しく撫でた。
「これを、挙式の時に指輪の交換の儀式で使うんです。 なので、今はまだつけないんです!」 私は、手にしたばかりの指輪をキラキラと輝かせながら、ルシアン様に言った。
「ああ。それが、お前が望む儀式ならば」
ルシアン様は、指輪を収めた箱を私に手渡し、そっと私の指にキスを落とした。その仕草に、私の顔は一瞬で赤く染まった。
「きゅ、キュン死するからやめてくださいよ、ルシアン様!」
「ふむ。この『キュン死』とは、日本の文化において、極度の感動を表す言葉か?」 ルシアン様は、少し首を傾げながらも、私の反応を楽しんでいるようだった。もう、こういうところも最高に推せる……!
指輪を手にし、ルシアン様との絆がさらに深まったことを実感した私は、日本でも私の夫となるルシアン様の手をぎゅっと握りしめた。
(早く、みんなにこの指輪を見せたいな!特にエリアス様とか、どんな反応するかな~!きっとまた何か面白いこと言ってくれるに違いない!)
私の心は、もうすぐ始まる挙式と、再会する勇者たちへの期待でいっぱいだった。




