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転生したら推しが魔王様になってた件~④三度の結婚式は大パニック!  作者: 銀文鳥


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第三章(4):漆黒の婚礼衣装と、魔王の誓い


マリイとイザベルが用意してくれた漆黒のドレスの最終試着の日。


私は、ルシアン様から贈られた漆黒の桜の髪飾りを紅い髪に挿し、そこにマリイが選んでくれた、まるでブラックダイヤモンドのようにキラキラと輝くティアラとネックレス、そしてイヤリングを身につけた。左手薬指には、ルシアン様から贈られた、漆黒の輝きを放つ婚約指輪がすでに輝いている。


全身を飾るブラックダイヤモンドの煌めきが、統一された美しさを演出していた。鏡に映る自分を見て、私は思わず息をのんだ。


「うわぁ……」


今まで、こんなに本格的なドレスを着たこともなければ、豪華な装飾品を身につけたこともない。


漆黒のドレスは私の肌の白さと紅い髪を際立たせ、きらめく装飾品が顔周りを華やかに彩る。まるで、別人になったようだ。


(もしかして、私、こんな意外な魅力が開花したのかな!?)


内心でこっそり喜んでいると、そこにルシアン様が入ってきた。私の姿を見た途端、目を見開き、感嘆の息を漏らした。


「セラフィナ……! 美しい……! 息をのむほどに、お前は……!」


ルシアン様の瞳は、まるで熱を帯びたかのように私を見つめている。


「……ありがとうございます、ルシアン様」


彼の視線に照れつつも、純粋に褒めてくれるその言葉が素直に嬉しかった。


「マリイさん、イザベル。本当にありがとうございます! こんなに素敵な衣装、私、今まで見たことがありません!」


私は心からの感謝を伝えた。


マリイは優雅に微笑み、イザベルは満足そうに胸を張った。


「もちろんですわ! セラフィナ様には、この魔界で一番美しいお姿で、ルシアン様の隣に立っていただかねば!」


こうして、魔界での婚礼衣装は無事に決定した。





翌日の婚礼を控え、魔界中は祝祭ムードに包まれた。


魔王城の周辺はもちろん、魔界中に巨大な案内板や、ルシアン様と私の姿が描かれたポスターがところ狭しと張り出され、魔物たちは皆、大喜びでその日を心待ちにしているようだった。





そして、婚礼前夜。

ルシアン様は、私を連れて魔王城を後にした。


私たちが向かったのは、以前魔界に来た際に建設してくれた、城とは別の場所に位置する、ルシアン様と私専用の建物だった。

そこは、魔界の中心部から少し離れた、静かで眺めの良い場所に建てられた、人間界の別荘のように安らぐ佇まいの場所だった。



静かな空間で、ルシアン様が不安そうに私に尋ねた。


「セラフィナ。準備が急ピッチだったが、疲れてはいないか? 無理はしていないか?」

彼の言葉には、心からの気遣いが溢れていた。


「はい、ルシアン様。大丈夫です。皆さんが頑張ってくださったおかげで、滞りなく進んでいます」

私がそう答えると、ルシアン様は安堵したように息をついた。



「……やっと二人きりになれた」



ルシアン様は、私の手をそっと取り、指を絡ませながら、私をゆっくりと引き寄せた。


そして、慈しむような、しかしどこか熱を帯びた眼差しで私の顔を見つめると、クリスマスの夜の、触れるだけの慎重なキスとは異なり、今度は迷いなく、深く唇を重ねてきた。


彼の唇は私の唇を優しく吸い上げ、絡みつき、熱を帯びた吐息が混ざり合う。


初めて感じる、甘く蕩けるような感覚が全身を駆け巡り、心臓が激しく脈打つ。


彼の舌がそっと私の唇を押し開くように触れ、さらに深く探りに来るのに、私は息をするのを忘れてしまいそうになる。


彼の腕が私の背中に回り、優しく抱き寄せられると、まるで世界が二人だけになったような、濃密な幸福感に包まれた。


(ひ、ひいいいっ!? な、何!? ルシアン様、キスが急に上手くなりすぎてない!? クリスマスの時は触れるだけだったのに、この数ヶ月で一体何が……! そうか! やっぱりそうなんだ! 日本から帰ってきて、アルドロンさんたちと「愛について」とか「キスの極意」とか、そういう研究をしてたんだ!? もう、この完璧なリードは一体……!?)


そして、名残惜しそうに唇を離すと、少し息を乱しながら、静かに、しかし切実な声で語り始めた。



「……セラフィナ。俺は、お前との夜を、一刻も早く、誰にも邪魔されずに迎えたいと、そればかりを願っている。」



彼の言葉に、私は少し驚いてルシアン様を見上げた。



「この魔界での式が終わっても、まだ日本と勇者の世界で、あと二回も控えている。だが、この三度の式をすべて終え、そしてすべての世界に、俺たちが正式に夫婦であることを公言するその瞬間まで、俺は己に課した誓いを守ろう。口づけは許される。しかし、それ以上の行為は、その時まで、この心に深く刻みつけておく。焦がれるほどに、お前を求めているのだから。」



ルシアン様の視線は真剣そのものだった。


その熱を帯びた瞳と、あまりに直接的で、しかも律儀な彼の「けじめ」の言葉に、私の顔は瞬時に真っ赤を通り越して、蒸気が出そうなほどに熱を持ち、心臓はまるで暴走機関車のように激しく脈打った。

全身が甘く痺れるような感覚に襲われ、思考回路がショートしそうになる。


(そして、私の”推し”が、こんなにも私に一途で、早く夫婦になりたいだなんて、もう、もう尊すぎて心臓が破裂しちゃう! 何!? この完璧なけじめの精神! この清廉さと、それでいてこんなにも焦がれるような情熱の融合…! 無理、尊い、無理! 呼吸困難! やっぱり、ルシアン様が世界で一番の”推し”だよおおお!!)


興奮のあまり、頭の中がぐるぐると渦巻く。


普段はクールで威厳のある魔王が、焦がれるような、切実な響きを帯びた声で、私への愛を語ってくれたのだ。


彼の言葉は、自分に課した厳格な「けじめ」であり、私への揺るぎない誓いなのだと、ひしひしと伝わってきた。魔王としての責任感と、一人の男性としての純粋な願いが混じり合った、彼の深い愛情の表れだった。



「は、はいっ! もちろんです、ルシアン様っ! わ、私も一刻も早くルシアン様の妻になりたいですっ! 魔界の婚礼、絶対に成功させましょうねっ! 全力で、全、全集中で臨みますからっ!!」


私は興奮冷めやらぬまま、ルシアン様の手を強く握り返した。


最高の推しからの最高の愛の告白に、私の「推し活」はさらに深みを増していく予感に満ちていた。




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