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『神獣戦記 -47の神と神獣の物語-』 ーぐうたらJK、世界を救うってマジ?ー  作者: 居間田 ねむ
第2章『神域巡行録が突然始まるー青森・岩手編』
9/45

第九節:神使、起きたくないってよ。


翌朝。

目覚ましのアラームが5回目に鳴ったあと、私はようやく布団の中で片腕を伸ばした。


「……うるさ……現実、まだ続く感じか……」


体がバッキバキだった。特に、普段動かさない肩と腰。


もう一歩も動きたくない。ていうか今日、登校日ってどういう地獄?


スマホを開くと、**“東京都内で小規模な爆発音と騒音被害。原因は不明”**のニュースが上に出ていた。

ぼんやりそれを眺めながら、私は思う。


(……あれ、やっぱ夢だったんじゃね?)


部屋の向こうから、トントン、と控えめな音。


「ミコト~、起きてる~?」

ゆるっとした声。


扉を少し開けて、白い耳がぴょこっと覗いた。

「おはよう。ユキです」


「……ああ、夢じゃなかった」


テンション、0。


ユキはにっこり笑いながら私の布団にずかずかと入り込んでくる。

ぬくもりとモフみが私の理性を溶かしにきてる。


「ほらほら、起きないと。キリが朝食作ってるよ~。見た目ちょっとアレだけど、意外と味は悪くないよ?」


「やなフラグ立てるな……」


布団に沈む私の背中に、黒い影がすっと落ちる。


「こら寝るな。起きろ神使。新たな神域への調査、今日からだ」


「うわ、始業式の通知みたいなこと言ってくる……」


キリは既に、いつものごとく背中にちょっとした刀っぽいものを担いでいる。

ウサギの癖に準備万端すぎない?


「今日は“神域”のひとつ、北のほうに異変が出てる。早めに移動して調査した方がいい。神の気配もある」


「ちょ、まって。いま、“北”って言った? まさか――」


「うん、たぶん青森」


「新幹線で行くの……?」


「いや、ワープする」


「ファンタジーかよ!」


「うそ」


「うそかよ!」


私は頭から布団を被った。

昨日、神と契約した。

言霊の力が目覚めた。

世界の“裏”が見えるようになった。


――でも、これがずっと続くのかと思うと。


「……だれかこの設定、1回リセットして?」


「無理無理、それもう配信されてるから」

「この人生、バグってない?」

「バグじゃなくて仕様です」

「やめて公式感ある返し……」


現実逃避が通用しないのを悟りながら、私はモフモフに挟まれたまま、ぐにゃりと溜息を吐いた。

外ではすでに、光と影がせめぎあいながら一日を始めている。

けだるさと共に、でも確かに


――私はもう、知らないフリができない場所に来てしまったんだ。

ぐうたらJK VS ぐうたらはさせない兎

ファイ!

次節 神域巡行録が突然始まる編の開始です。

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