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第8話 面倒事はやってくる

どうしてこうなったんだ……。

右にはウィルフリート、左にはニコラス。

そんな地獄みたいな空間に俺はいた。


「まず最初に回復薬を作ればいいんだよね?」


毎年恒例の指示書を手にウィルフリートが問いかけてくる。

ああ、そうか。コイツら初めてだから言わねぇと分からないか。


「いや、回復薬は……」

「阿呆か?お前。回復薬に必要な材料となるモンスター退治が先だ。回復薬はそこに書いてある薬草だけじゃ作れん」


ニコラスが俺の言葉を遮り、呆れたような目でウィルフリートを見る。

指摘自体はなんら間違っては無い。

むしろ、学生にはそこそこ難易度の高い回復薬の材料が頭に入ってるなんてよく勉強してんなと思う。

ただ、言い方に棘があるんだよなぁ!

普段からニコニコしていて滅多に怒らないウィルフリートの目には明らかに怒りが宿っていた。

俺は思わず溜息をつきながら、ウィルフリートの肩に手を置いた。


「一言多いけど、その通りだな。ウィルフリート、モンスター退治しに行くぞ」

「……そうだね」


怒りを収めつつあるウィルフリートに安堵したのも束の間、ニコラスは勝手に森の奥へと進んでいく。

たく、教師の話聞いてなかったのか?コイツ。

これ以上先は一年生には対処が難しい上級モンスターが出る区域だ。

毎年怪我する生徒続出で半殺しにされる奴もいる危険な場所でもある。

イケメンは嫌だが、別に怪我して欲しい訳では無い。


「待て、ニコラス。そっちは三年が授業で使う区域だ。一年には対処が……」

「だからなんだ」


ニコラスは傍から見て明らかにイラついていた。

だが、先輩として面倒見てる以上は止めなければいけない。

大方、勉強はかなりしているようだし自分の腕に自信があるのだろう。

しかしながら、机に向かっての知識を入れる勉強や安全な場所での魔法訓練は、実践でモンスターと戦うのとは全然違う。

この授業はそれを先輩が身をもって一年生に教えるためのものだ。


「危ないから行くなっつってんだろ。毎年いんだよ、一年で三年区域に行って怪我する奴らが……」

「そんな奴らと一緒にするな!」


俺の言葉を遮ったその瞬間、ニコラスは魔力でこちらを威嚇してきた。

半径数メートルというところだろうか。ニコラスの魔力で覆われている。

これからモンスターと対峙するというのに無駄な魔力の使い道だ。


「うっ……ルーファス、これ大丈夫なわけ?」

「ああ。酔いそうなら下がっとけ」


とはいえ、ウィルフリートはコイツより魔力ないし魔力に当てられて酔われても困る。

強い魔力で身体に圧がかかる魔力酔いっつーのは結構厄介だったりするからな。


「シャイニング・ウォール」


魔法の壁を作り、ニコラスの魔力を跳ね返す。

これでウィルフリートが魔力酔いを起こす心配は無い。

問題は。


「俺はニコラス・ツララだぞ。そこら辺のモブと一緒にするな!」

「わかったから落ち着け、ツララ家の長男坊」


コイツだ。

初対面の相手にここまでキレなくてもいいだろ。

ましてや危ないからそっち行くなって言っただけだぞ?

余程プライドが高いのか、俺が何かアイツの地雷を踏み抜いたのか。

分からないが、何となく嫌な予感がする。


「ちょ、ルーファス!あれってもしかして……」


青ざめた顔のウィルフリートに腕を引かれ、斜め後ろに視線をやる。

そこに居たのは……。


「げ……上級モンスター」


まあ、こんな所で強い魔力使えばこうなるだろう。

モンスターは魔力に寄ってくる。

当たり前の事ではあるが、最悪だ。


「あぁ、面倒な事になっちまった……」

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